「働き方」の教科書:「無敵の50代」になるための仕事と人生の基本
- 作者: 出口治明
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/09/18
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (12件) を見る
この「働き方」の教科書という本、副題の"「無敵の50代」になるための仕事と人生の基本"というのがなければ50代の自分は手に取らなかっただろうと思う。
冒頭の「50歳は社会人の折り返し地点でしかない」という表現に妙に救われた。
何度か読むうちに、若い人にとって大事なこと、自分のような中年にとって大事なこと、人生観とか世界史観として重要なことに気付いたので、メモしておきたいと思う。
(1)人生は九十九%失敗する
「人によく思われたいと思う」という自意識が失敗を恐れ、チャレンジを阻害する。
無数のチャレンジがあったから現在の数多くのイノベーションは存在するという見方は、「ゆくべきか行かざるべきか」と迷った時に思い出す必要があるだろう。
自分はそもそも保守的で、自意識過剰な生き物である、という視点は自らが自由に発想し、行動するためには肝に銘じておきたいものだ。
(2)年金に愚痴を言わない
自分も何度か今の年金制度の「世代間扶養」の概念に異を唱えたことがある。
世代間でなく、「自分で積み立てて自分で給付を受ける制度であるべき」と思っていたが、「ケチケチ考えず、次世代に国富をどれだけ残せるかを考えよ」という言葉に共感した。今の現実から出来ることを考えたいと思う。
(それにしても1961年に開始した国民皆年金制度が、発足当時はサッカーチーム(11人の現役で一人の高齢者を"5年"支える)だったのに対し、現在は騎馬戦(現役3人で高齢者一人を"20年"支える)であり、もうすぐ"肩車(一人で一人)"になるというのは深刻だ。これが「現役一人で二人支える」とかになるとさすがに破たんするかもしれない。地に足のついた施策を早急に考える必要がある。)
(3)人生はトレードオフ
旅行に行って、「景勝地そのものに触れて何かを感じたい」のか、それともデジカメでその風景を記録したいのかどちらだろう。
手近にスマホがあり、何でも撮影できるからつい"撮影"を目的にしてしまう。
音楽の先生から「ライブ(生演奏)で得られるものは記録からは感じられない」という話を聞いたことを思い出す。
尊敬する人の講演で、聞いた内容を必死にメモしていることがあるが、記録自体が重要なことではない、むしろデジタルの記録社会になっている今は「その瞬間を感じる感性」の方に注意を払うべきなのだと思った。
(つづく)