藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

塾の意味。

学習塾の口コミサイト"塾ナビ"運営のイトクロが上場したという。
株価の動向はともかく「塾の教育への口コミ」という、昨今特徴野的な「特定目的別の口コミ」である。
価格コムに始まり、人々の関心のあるテーマの口コミを「レイティング」するのはユーザーの欲するところでもある。
同様の試行は医療分野でも、単なる日用品の価格比較でも、弁護士などの士業でもすでに多くのサイトが出現している。

思うのは単一の「出来上がった製品の価格比較」と異なり、サービスの比較は容易ではないだろうということだ。
特に教育とか、知的サービスに類する業態ではその業務そのもののコンセプトが問われることになるだろう。
つまり、今のように「日本の教育そのもの」が今後の方針の再考を求められる中では、それを支援する「塾ビジネス」もその影響を受けざるを得ない。

教育とは何か。
目的と手段はどうするか。
定型的でない個人個人にどう対応するか。

といった、いわゆる「学歴補助の機関」ということではなく、自らも一つの独立した教育機関であり、固有のコンセプトを示さねばならないのだと思う。
教育がいよいよこれからは「画一性」から脱し、個別の人格ごとに対応でき、またその「自発性の伸長」などを本当の目的にしていかねば、今の教育機関である大学も、そして補助機関である予備校や塾も早晩、足元がグラついてくると思う。

そもそもの教育ということについて、そしてその方針に則った育成方法について本気で考えないと、「戦後の価値観の継承路線」はいよいよ終わってしまうのに違いない。

自分たちは日々の社会人生活の中で、そうしたリアリズムを感じているのである。
「戦後復興」がテーマだったこれまで5-60年の価値観やメジャーと、これからのコンセプトはがらりと変わるような気がしてならない。
過去の継承を必須にするのではなく、原点からこれからの教育像を作る時期に来ているのではないだろうか。

イトクロの山木学代表取締役「サイト訪問者数、業界首位を維持」
2015/7/30 18:26日本経済新聞 電子版
 学習塾の口コミサイト「塾ナビ」などの運営を手掛けるイトクロは30日、東証マザーズに新規上場した。初値は公募・売り出し価格(公開価格、1930円)を4%上回る2010円だった。午後に入り利益確定の売りが優勢になり、終値は1865円と公開価格を下回った。同日、東証で記者会見した山木学代表取締役は「サイト訪問者数は業界首位を維持する」と語った。主なやりとりは以下の通り。
 ――終値が公開価格を下回った。

イトクロの山木学代表取締役(30日、東証
 「株価は投資家の判断なので、短期的な値動きは見ていない。今後は業績を向上し、企業価値を高めることで株価を上げていきたい」
 ――主力の塾ナビの強みは。
 「塾ナビは教育関連のポータルサイトの中で先駆け的存在だ。サイトへの訪問者数も競合と比べて群を抜いており、業界首位を維持していきたい。小中高生の子どもをもつ保護者が塾選びに参考にする『口コミ』の数が多いことも特徴だ。基本的に全ての口コミをチェックし、誹謗(ひぼう)や中傷を排除することでサイトの信頼性を高めている」
 ――市場の先行きをどう見ていますか。
 「少子化が進む中でもここ数年、学習塾や予備校の市場規模は9000億円台を維持している。子ども1人当たりにかける教育資金が高まっているからだ。その中でインターネット広告市場は拡大基調にある。学習塾の広告は折り込みチラシがメインだったが、これを塾ナビ向けの広告に置き換えたい」
(宮川克也)