藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

自分達で考える。

日経より。
日本全体でも「観光立国」をスローガンに主要都市や観光地で、ずい分積極的な取り組みが目立ってきた。
10年前にはあまり聞かなかったけど、ようやく日本とか地方都市も「どうしていきたいか」というのがはっきりしてきたのではないだろうか。

今の都市や自治体の様子は、一昔前と違い「経営色」が強くなってきたなぁと思う。
高度成長期には行政頼みでしかなかったのが、ここへ来て「自分たちで考える」というカラーが出てきているような気がする。

東京など大都市圏はまだ「一極集中」への対応に夢中だし、それは強みのあることだと思うけれど、もう地方も「他人任せ」ではなくなってきている。
記事中では東急沿線の都市が取り上げられているが、その気になれば日本にはまだまだ「地元の強み」を出せる場所は多い。

結局は地元が「自分が主人公」になってストーリー展開を考えるかどうかということなのじゃないだろうか。

放っておいても人口が増え、観光客が集まる大都市圏はともかく。
地方都市にはその地元ゆえの魅力が案外どこにもある。
中央政府からの補助金とか、地域整備の費用を当てにして生きていくのではなく、いよいよ「地方自生」がテーマになってきているような気がする。

自分達が住む街をどんな風にしたいか。
それを自分達で考えて、民間・行政で計画を作ってゆく。
当たり前のようだけれど、これまでの高度成長・中央集権のシステムがいよいよ移行する時期に来ているのに違いない。
大都市圏に暮らす人は、それはそれで自分達のライフスタイルを考え。
そしていよいよ地方都市の人たちが「自分の町の現在と将来」を自分達で考える時期が訪れている。

自分達の町の将来を考えることは、全く経営と同じ性質のテーマだ。
業績(収支)のこととか、社員(住民)のこととか、治安とか。
これからは地域に地域の経営者が配置される時代になりそうだ。
そんな意味でも優れた"地方都市の経営者"の育成は急務だと思う。
いよいよ地方行政も知恵とビジョンの時代がやってくる。

ドラマ「金曜日の妻たちへ」の舞台は今
2016/2/21 3:30
日本経済新聞 電子版
 1983年に始まり社会現象として今も記憶されるテレビドラマ「金曜日の妻たちへ」。日本がバブルへと向かう中で、郊外の住宅地で華麗なる生活を送りながらも孤独を感じる妻たちが不倫に陥っていく。そのモデルとなった街は60年代に整備された横浜市の「美しが丘」だった。


横浜市の「美しが丘」も高級住宅地だが高齢化か進んでいる。階段や坂も多い
横浜市の「美しが丘」も高級住宅地だが高齢化か進んでいる。階段や坂も多い

 「妻たちはもうババたちねって住民の方々と冗談をいうこともあります」――。

 東急電鉄の次世代郊外まちづくり担当の岡本洋子さんはこう話す。美しが丘は東急田園都市線の、たまプラーザ駅近くにある。なかでも3丁目は1972年に全国初といわれる「住民発意による建築協定」を発足させた、美しい街並みの高級住宅地だ。

 「30〜40代の医者や弁護士、大学教授とか社会で活躍する人たちが入ってきたんだよね」。この街に住む大野承さんはこう振り返る。今も豪華な注文住宅には高級車が並ぶが、住民の3割は65歳以上になった。坂や階段が多く、バス停から自宅まで一気に歩けない人もいるという。都心に引っ越す人も多いが、家を売却しない場合もあり、外からは「見えない空き家」もあるようだ。

 そうした状況を受けて横浜市と東急は、たまプラーザ駅周辺を郊外再生のモデル地区に指定した。駅前への住み替えを促したり、住民の交流を支援したりして再生に取り組んでいる。「若い人を少しずつ入れていかないと、今は良くてもこれから大変なことになる」と岡本さんは感じている。


   ◇   


 地方の過疎に比べて、郊外の住宅地の問題は見落とされがちだ。これからの郊外はどうなるのか。まちづくりに詳しい横浜市立大学の斉藤広子教授に処方箋を聞いた。

 ――郊外の高齢化にどう対応したらよいでしょうか。

 「一つは予防をしっかりすること。若い人に魅力的な街にし続けることだ。近くに良い小学校があるなど、子育て世帯が住みやすい地域の住宅は流通している。働く、住む、遊ぶ、学校に行くということがセットでできる環境が必要だ」

――具体的には。

 「建築協定も必要なら見直した方がいい。例えば二世帯住宅を建てられるようにするとか、環境を壊さない範囲で地域に子どもたちが帰ってこれるようにしてはどうか。若い世代にも自治会の役員になってもらうなどの工夫が大事だ。企業や行政の力も必要だし、行政もいろんな部署が連携することが重要になる」

――外国の郊外はどうなっていますか。

 「ロンドン郊外にレッチワースという有名な住宅地がある。ロンドンが人口過密になる中で、郊外で働いて遊んで勉強しようというコンセプトで始まった。デベロッパーは住宅のほか商業施設やオフィスもつくって不動産収入を得る。街の価値が上がればその収入も増えるので、様々な方法で価値向上に取り組む。例えば病院をつくってバスを走らせたり、住民のサークル活動にも積極的に関与したりしている。街の価値を上げる仕組みが初めから組み込まれている」

 「米国のニュージャージー州にあるラドバーンという郊外も有名だ。ここは戸建て住宅で管理組合ができた初めての場所で、住まいに必要な様々なサービスを自分たちで創り出した。米国人は人生に6回住み替えるというが、他と同じ街では家の価格が下がっていく。だから価値を上げていこうという意識が高い」

 (福山絵里子)