藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

険しいだけの道でなく。


いよいよ規制の壁にもヒビが入ってきた。

ウーバーの参入に、業界が抵抗しているが少し先を見て関係者は思考を変えねばならないだろう。

今となっては「自由に人の運送ができて何が悪いのか」ということに、長らく業界が慣れてしまったのだと思う。
郵便や宅配は先にその競争を経験しているから「安全性」とか「業務の質」とかをお題目に、参入規制ありきというのは崩れてしまうだろう。

まずは「公共機関の空白地域」ということだけれど、自分はタクシー業界のサービス革新は「手詰まり」に来ていると思う。
料金面でもそうだが、安くなくとも「さらなる付加価値を伴うサービス」はいくらでも可能なはずだ。
カーナビが付いているのに道順が分からないとか、道路状況を調べていないとか、運転の質が良くないとか、改善項目だって幾らもあるだろう。
どうも「規制があるから、この程度のサービスでもいいや」という意識が見え隠れしていないだろうか。

自分が乗った過去最高のタクシーは、元大手銀行役員の専属運転手をしていた人だった。
自動ドアを開けるところから、何よりも加速減速のスムーズな運転技術とか、さらには会話の内容や巷のニュースや天気についてなど、全く「これがコンシェルジェだ」というような接客ぶりだった。(今でもレシートは記念に保存している)

あんなドライバーが増えれば、間違いなく公共交通機関よりも「タクシーの乗り心地」を求める人は増えるだろう。
黒船ウーバーを契機に、「おもてなしnippon」がさらなる高みに行けばいいなと思う。

やる気になればこの国の人はすごいから。

ウーバー「縛りだらけ」の日本参入 タクシー業界抵抗
京都・京丹後市で事業開始
2016/5/26 23:35
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 米配車アプリ大手のウーバーテクノロジーズは26日、日本で初めて一般の運転手が客を有料で同乗させる事業を京都府京丹後市で始めた。乗車できるのは一部地域に制限され、運転手や車両は国に登録が必要で、がんじがらめのスタートだ。背景にはタクシー業界の強い抵抗がある。世界で事業を拡大する同社にとって、日本は狭く険しい道となる。

タブレットを使いウーバーのシステムを見せる住民ドライバー(京都府京丹後市
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タブレットを使いウーバーのシステムを見せる住民ドライバー(京都府京丹後市

 「やっとスタートがきれた」。京丹後市で開いた記者会見。日本法人ウーバージャパンの高橋正巳社長の言葉にはこれまでの苦労がにじんだ。

 新サービスは住民が運転する自家用車と乗客をウーバーのシステムで組み合わせる。18台が参加し、料金はタクシーの半額程度。ウーバーは料金収入の一部を受け取る。

 自家用車で乗客を運ぶことが「白タク」として禁じられる日本でも公共交通機関の空白地帯なら認められる。だがウーバーが住民やタクシー会社への説明会を繰り返すなかで様々な縛りが付いていく。客が乗れるのは過疎が深刻な一部地域に限り、日々の運行実績を市に報告する方針が決まった。いずれも米国では必要ない。タクシーのように縛られ本来の自由なビジネスとはかけ離れた。

 この間、大手タクシー会社の幹部が調査の名目で京丹後市入りし、プレッシャーをかけるかのような動きをしたことも影響したとの見方がある。

 70カ国・地域で事業をするウーバー。日本ではつまずきの連続だった。昨年に福岡市で始めた配車実験は運転手への報酬が違法の恐れがあるとして国が中止を指導した。

 今年2月には富山県南砺市との実験計画を発表。訪日客の受け入れ体制を充実させようと田中幹夫市長が主導した。これにタクシー業界がかみついた。本格参入されれば市場を一気に奪われる――。市議会議員への働きかけを強め、市は3月、実験予算を撤回する。田中市長は「予算の計上前に発表すべきではなかった」と悔しがる。

 富田昌孝全国ハイヤー・タクシー連合会会長は「白タク解禁や合法化の動きにはいかなる妥協も条件付き容認もない」と言い切る。タクシー会社は中小が多く、グローバル競争とは無縁だ。東京などでは新規参入ができず、供給過剰になれば国が強制的に減車させる。

 既得権益が色濃いだけに、米国で多くのタクシー会社を経営危機に追い込んだウーバーへの警戒心は強い。ウーバーへの出資を決めたトヨタ自動車も「規制などの状況を踏まえて日本は協力の対象外にした」。

 米国のベンチャーに揺さぶられるのはホテルも同じ。だがタクシー業界に比べると抵抗感が薄いようだ。一般住宅などに旅行者を有料で泊める民泊仲介サイトの米Airbnb(エアビーアンドビー)。同社を通じて14年7月〜15年6月に約5000人が部屋を貸し約52万5000人の訪日客が滞在した。利用増を追う形で規制緩和が進む。

 いつまでも競争を排除するタクシー会社の姿は異様に映る。事業者の都合が優先されたままでは、日本の消費者の利便性は置き去りにされる。

(花田亮輔、浦崎健人)