藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

一網打尽の世界。

財務省国税庁が「デジタルデータの押収を合法化」するという。

今さらだけど。
デジタル。
ネットワーク。
クラウド

これらの恐ろしいところは「アナログ的手法」では物理的に叶わなかったことが、リアルに出来てしまうことだ。

アナログvsアナログ、だった時代にはお互いに限界があったのに、それが「サイバー世界」になった途端「一網打尽」できてしまう。
今やほとんどの重要情報が「デジタルネットワーク上」にある。

だから、敵方のスパイであれ、国家権力であれ、思想犯であれ、「デジタル情報を抑えた者」が極端に有利な存在になるのである。

その人物のデジタル情報を抑えれば、財産や人脈や計略や性格や過去の行動まで、すべてを手中にすることができる。
これはある意味最も恐ろしい。
デジタル情報を使えば「他人になりすます」ということも簡単にできそうだ。

ある種の国家権力がそうなるのも怖いし、また民間が節操なしに利用するのもよろしくない。
いよいよ「一極集中、デジタルの危うさ」を考える時代に入ってきたような気がする。

あえて、あえて「分散」が必要だということになるのではないだろうか。

脱税、ITデータも調査 強制収集へ法改正検討

 財務省国税庁は脱税調査に際し、クラウドなどインターネット上に保存されているメールなどの情報を強制的に押収できる権限を認める検討に入った。国税犯則取締法を68年ぶりに改正し、2017年にも実施する。IT(情報技術)を駆使した悪質な脱税や国際的な税逃れが増えていくとみており、国税の査察権限を強化する。夜間の強制調査も可能にする。

 財務省が今月開かれる政府の税制調査会に脱税調査の見直しの方向性などを提示する。国犯法の改正は年末にかけて与党の税制調査会と調整し、17年度税制改正大綱に盛り込む考えだ。国犯法は1948年の改正以来、ほぼ見直しをしておらず、条文もいまだにカタカナ表記だ。今回の改正に伴い同法を国税通則法編入する見通しだ。

 現在、国税査察官が脱税調査をする際、被疑者の協力を得て任意で提出してもらわないとIT関連の機器に保管された情報を入手できない。電子化された情報を差し押さえられる明確な規定が国犯法にないからだ。被疑者側が任意提出するケースが多いとみられるが、担当の弁護士や税理士が拒否すると入手が困難なケースがある。

 法改正によって査察官が自宅や会社などからパソコンを差し押さえた上で、被疑者の同意がなくても中に入っているデータを複写して調査できるよう法的権限を持たせる。クラウドなどコンピュータ(サーバー)が提供しているネットワークに保存されている電子メールや会計の帳簿なども、運営主体のインターネット企業に開示を要請して収集できるようにする。

 現在もネット企業側は国税に一定の調査協力をしているようだが、被疑者からプライバシー侵害などで訴えられるリスクを抱える。協力企業を何らかの形で保護するよう法制面から手当てする。

 メールなどのIT情報の調査は刑事訴訟法では認められている。脱税調査では査察権限の強化につながるとの慎重論もあり、対応が遅れていた。脱税事件は租税回避地タックスヘイブン)の節税実態を暴露した「パナマ文書」で関心を集めたように急速に国際化が進んでいる。

 手紙や書類の郵送で情報をやり取りするケースは減少する一方で、クラウド上などにある海外子会社や会計事務所とやり取りしたメールなどが入手困難なままだと脱税の摘発に支障が出かねない状況になっている。

 海外の税務当局から現地の被疑者の情報について照会があった場合、その被疑者との関係が疑われる日本の企業や個人のIT情報を収集し、提供できれば協力関係が深まるメリットもある。

 今回の改正では深夜などの夜間の強制調査も可能にする。関税法などでは夜間調査は認められているが、国犯法では「日没」以降は認められていない。例えば深夜に調査する必要が生じても調査できなかったりといったケースがある。査察官は許可を得なければ自分の管轄区域の外の地域では職務執行ができなかったが、それも可能にする。