藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

究極の茹でガエルたち。

あるシンクタンクの調査で、20代の59%が将来の生活に不安がある、と回答していた。
日本社会にまん延する、この不安感はなんだろう。

大人たちの誰もが保身して、結局は本筋の改善に手がつかない。
そのまま「船」は沈むしかない。
もちろん沈没し始めてからの立て直しは難しいだろう。

大企業の人と話していると、こうした「ことなかれ」の発言に接して驚くことが多い。
特に優秀な人ほど、色んなものが見えるのだろう。
端から「難しいと思っています」とか言う。

確かにそうなのだと思うが、改革とか改革なんておバカにしかできないのかよ、と言いたくなる。

端から「この船は沈むだろう」などと言って甲板の上で佇んでいるのはいかがなものか。
大人の一人として、「やり方次第で未来は明るい」という話くらいはしなけりゃいけないと思っています。

(十字路)ストックとフロー
2016/7/19付
 あるシンクタンクの調査で、20代の59%が将来の生活に不安がある、と回答していた。日本社会にまん延する、この不安感はなんだろう。
 日本は過去、毎年の経済成長というフローを積み重ね、インフラに代表される厚いストックを形成してきた。日本のインフラ充実度は世界トップクラスであり、日々の快適な生活を支えている。

 問題は社会保障、特に年金だ。所得再分配カニズムを持つ年金はフローの話でもあるが、制度の確からしさは個人の将来の生活を左右する最重要ストックでもある。その信頼感が今大きく損なわれており、消費が伸びない理由もここにある。

 北欧諸国は税金が高いことで有名だが、いずれ返ってくるものだから、と国民に痛税感はない。彼らにとって、税金は貯蓄であり、将来に安心感をもたらすストックの積み上げだ。この安心感が健全な消費にもつながる。

 日本では、人生最大の買い物である住宅も、将来に安心感を与えるストックとは言いがたい。ローンを払い続ける一方、建物の価値は築15〜20年でほぼゼロとなる。だが、英国では築100年という物件も多く、リノベーションを繰り返し、ストックとして有効活用している。

 経済の発展段階によって、求めるものは変わる。チェコの経済学者であるトーマス・セドラチェク教授は「成長より安定」を唱えている。フロー重視からストック重視への転換である。

 成長を追い求め、成果を積み上げてきたつもりだったが、気づけば、頼れるものがごくわずかしか残っていない――。これほど不安な社会はない。成長というフローがストックとして積み上がり、将来に安心感を持てる社会をどう構築していくか。まず、税・社会保障の一体改革をはじめ、信頼できるシステムを早急に設計し直す必要がある。
三菱商事調査部長 武居秀典)