aeraの現役銀行員の対談記事より。
自分は(AIというまでもない)「最後の聖域のIT化」で最も荒波にさらされるのは「お役所と金融」だと思っている。
自分のいるITとか法律とかも安穏とはしていられないが、いわゆる製造・サービス業界がそれこそ「必死こいて」自動化できないこととか、クリエイティビティとは何ぞや、と本気で考えている今「この程度の問題意識なのか」と驚いた。
私案としては「隣接領域」を攻めるのが一番だと思う。
これは銀行に限らず弁護士などの「士業」の人にも言えることだけれども、彼らは国家資格を持って業務領域を定義されているので、当然ながら「大きく逸脱してくる」ことは少ない。
つまりそういう資格者の先生たちが「リアルなビジネスの指導」をしてくれるということはこれまではなかった。
ビジネスモデルそのものをどう作るか、とか商品群の設計とかマーケティングなんかについては「経営コンサル」と言われる人たちの領域だった。
コンサルタントというのは、「客の分野に踏み込んで」その業界にいるお客以上の指導ができるというスタイルだ。
だから士業の人はこれをやればいい。
「コンサル×専門性」これでしばらくは保つだろう。
もう目指すべき「ダブルスキル」は見えているような気がするが、それとてまだ見ぬ「AIさま」に怯えながらのものである。
決算書を見て、資金繰り表を見て「フジノさん、今のリソースでこういう新サービスはどうですか?」とか
「営業スタッフを二人増員して、間接部門はアルバイトにしましょう」なんてコンピュータが話しかけてくるのはそう遠くないような気がする。
「銀行にはさらに厳しいリストラが必要」アラサー行員たちのホンネ
2018.1.21 07:00#ビジネス
アラサー行員たちのホンネは?(※写真はイメージ)
日銀のマイナス金利政策がきっかけで本業の「融資」では稼げなくなった、このご時世、当の行員たちはどのように思っているのか。アラサー行員4人を集めて座談会を開いた。
●座談会参加者
Aさん(29歳・男性)=メガバンク勤務。国立大卒、総合職、個人向け業務と法人営業を経て、現在本部に勤務/Bさん(32歳・男性)=メガバンク勤務、私立大卒、総合職。都内3店舗で一貫して個人向け業務を担当/Cさん(26歳・男性)=地銀勤務。国立大卒、総合職、現在2店舗目。個人向けローンや地元の中小企業向け融資などを担当/Dさん(27歳・女性)=地銀勤務。国立大卒、一般職、現在2店舗目。主に個人の資産運用を担当。最近、お客さんに紹介された男性と結婚した。* * *
──AIやフィンテックの台頭などの影響は?D:AIが発展すると銀行の窓口係とか、営業行員なんかも要らなくなるという話ですよね。私は結婚後も長く働きたいと思って銀行に就職しましたが、最近はこのまま勤め続けられるのか不安になっています。同期で転職する人もチラホラ出てきましたし。メガバンクでも大規模リストラの話が出てますよね。
B:ああいうニュースは僕たちも報道で初めて知るんですよ。自分の会社のことなのに「へえ、そうなんだ」と。
A:僕はリストラのニュースが出て正直よかったと思っています。ようやく議論が正しい方向に向いてきたなと。だいたい銀行は非効率すぎます。コンピューターで自動化できるようなことをいちいち入力したり、印鑑がないとダメだとか。どれだけ時代遅れなことをやってるんだと入行当初から疑問でした。人を切れないから、その人たちのために無駄な仕事をつくってるようじゃ、外資とかテクノロジー系の新興勢力に勝てるわけがない。
──もっと厳しいリストラが必要だと?
A:明らかに人は今ほど要らない。来店客数も実感としてかなり減ってますし、世間からも銀行の存在意義が問われている。バブル入社組で使えない人たちは特定の部署に幽閉されてますが、リーマン・ショック後の就職が厳しい時に入社した僕らからすれば、「楽に就職できただけラッキーなんだから、もう甘えたことは言わないで」と言いたいですね。
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アラサー行員たちのホンネは?(※写真はイメージ)
C:地銀の状況はかなり深刻です。そもそも地域に信用金庫、信用組合、地銀、第二地銀の全部は要らない。再編統合は避けられないでしょう。ただ個人としては、不安には思っていません。統合したからといって、仕事さえできれば急に待遇が悪くなることはないだろうし、いざとなれば転職すればいいし。
B:確かに銀行業はこれから変わらざるを得ないでしょう。ただ僕はやはり、融資は資金規模の大きい銀行にしかできないし、AIやフィンテックの時代といっても、人間同士が直接会って話をしないとわからないことも多いと思ってます。
A:貸し出しだけじゃなくて付加価値を付けていかないとダメですよね。ただ、支店レベルでこれまでのやり方を変えていくのは難しいので、本部が将来を見据えた上で制度を改革していかないといけない。僕はいま本部にいるので、そこに貢献していきたいと思っています。
(構成/編集部・石臥薫子)