藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

肉体の補助はすぐそこ。

AIも大騒ぎになりつつあるが(これからが本番かも)、人体補助器具の進化もこれからだ。

20年前に「パワースーツ」が報道され始めて、いよいよの感がある。
実際に高齢者も含めた「四肢の動きの支援器具」としてこれから大きく発展すると思う。

足の筋肉が衰えたり、麻痺が起こった人たちが「全く普通に」運動できる日は案外近いのではないだろうか。

何となく、将来は「肉体の限界からの解放」が実現しそうだ。
意識さえはっきりしていれば、散歩したり走ったり、乗り物に乗ったりが、筋肉に関係なくできるだろう。

そして。
逆向きに。
このパワードスーツを着て、「自分の欲しい筋トレ」をする未来も近いのではないだろうか。
自分の作りたい肉体をデザインして、パワードスーツの指導に従って生活する。
賢く道具を使いこなす未来はすぐそこなのかもしれない。

産業向け「パワードスーツ」の黒船、ドイツから到来

 ドイツのロボティクス企業であるGBS German Bionic Systems(以下、GBS)は2018年9月11日、同社の産業向けパワードスーツ「Cray X」を日本で販売開始すると発表した。

日本におけるパワードスーツ市場は、サイバーダインやイノフィスといった大学発ベンチャーパナソニック社内ベンチャー制度から生まれたATOUNなど、多くの有力企業がひしめく激しい競争下にある。GBSは競争厳しい日本のパワードスーツ市場で黒船となるのか。同社日本法人のディレクターを務める山下英夫氏に同社の戦略を聞いた。

ドイツでは初となる産業向けパワードスーツ開発企業

 ドイツのアウクスブルクに本社を置くGBSは、「眼鏡並みにパワードスーツを人類の身近な存在にすることを掲げ、産業向けパワードスーツを開発、製造する企業」(山下氏)だ。アウクスブルクは、産業用ロボットメーカーKUKAやフォルクスワーゲングループの自動車メーカーであるMANの本社所在地であるなど工業都市としても知られる。

GBSの創設者でCTO(最高技術責任者)のPeter Heiligensetzer氏はKUKA出身であり、「(Heiligensetzer氏は)ドイツのロボット業界では有数の技術者。彼がEUの研究プロジェクトで生み出した成果を事業展開するために、GBSは2年前に設立された。ドイツで初となる産業向けパワードスーツを開発する企業だ」(山下氏)とする。このためEU圏では注目度が高く、出展したハノーバーメッセ2018では同社ブースを多くの来場者が訪れたという。

同社が開発、製造するCray Xは、パワードスーツの中ではライトエクソスケルトンに分類され、腰と下半身のサポートを行う。スーツの重量は7.9kgで、スーツに搭載されたサーボモーターは15kg分の負荷をアシストする。バッテリー持続時間は最大で8時間だ。スーツの操作は、スマートウォッチ上で動作するアプリケーションで行うことができる。

同社では、Cray Xの主な利用シーンとして“ロボット、機械で完全に置き換えることができない人的作業”を想定している。既にドイツや近隣国では顧客先で多くの実証試験を実施しており、「特にコンテナやパレットからの重量物積み下ろしなど物流や生産現場で高いニーズがあった」(山下氏)とする。

「とある現場では、重量50kgの電線ドラムを1日に600回積み下ろしする作業があった。この重量を15kgサポートするだけでも、積み重ねでワーカーにとって大きな負荷軽減となる。GBSは、労働で障壁となる身体的負担を減らしたいと考えている」(山下氏)


 このCray Xを実際に着用し、重量物を持ち上げる体験を得ることができた。Cray Xを背負い、胸と腰をベルトで固定。足の負荷をサポートするフレームはサポーターで大腿部に結束し、着用が完了する。着用完了後は直立姿勢をとり、ユーザーの基本姿勢をスーツに学習させる初期設定を行った。

スーツの身体機能サポートを試すため、上半身を屈曲しつつ上半身から力を抜く姿勢をとった。この姿勢は重心が前寄りに移動するため、つま先を踏ん張るようにしないと維持できず、スーツを着用していない状態では前方に転倒しやすい状況となる。

しかし、スーツを着用するとこのような不安定な姿勢でも維持しやすい。上半身は背負っていたリュックサックに持ち上げられるようなイメージで、腹筋などが力まなかった。下半身では重心が前に寄りすぎないため普通に立っている、という不思議な感覚だった。

重量物の運搬を模擬し、ガラス瓶が複数入った容器を持ち上げた。腕のサポートはないため、腕にかかる負荷に変わりはない。しかし、持ち上げるときの屈伸運動にスーツからサポートが入るため、足と腰にかかる負荷が軽減する。このとき、立ち上がろうとするとスーツから大腿部に伸びるフレームが腰から開く方向に駆動しており、重量物の持ち上げを違和感なくサポートする。アシスト量はスマートウォッチで操作可能で、着用者の好みに合わせることができる。

山下氏はCray Xの姿勢サポートについて「姿勢の移行をセンシングしており、最適なアシストを提供する。開発には理学療法士の協力の基、人間工学を採用している」と語った。

現在、GBSは日本国内で将来的な顧客にアプローチを始めている。とある国内の顧客は、「物流センターが郊外に立地しているため、集まる人材はパートの女性がメイン。重量物を取り扱う場合は、他の現場から男性社員を応援で呼んでおり物流現場が非効率なこと」を課題としており、同社製パワードスーツの活用による物流効率化を検討しているという。

山下氏は「日本市場は高い競争力を持つコンペティターがいるマーケット。この市場に参入できることを楽しみにしていた」と自信を見せている。

EE Times Japan

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