藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

問題は人間に。

*[ウェブ進化論]人の限界を知ること
AIと採用についての記事。
 採用活動ほど効率を計りにくいものはない、と思う。
企業の規模に関わらず、採用の担当者は大変な役割だ。
吟味したとて、結果が伴うとは限らない。
「採用後の環境」は個別に違うからだ。
いっそ採用時の「点」ではなく「線」として採用後の評価もずっとAIで追いかけてはどうだろうか。
恐らく、最も頼れるアドバイザーになるような気がする。
人が外部の環境によってどんな反応をするかは千差万別だ。
むしろ細かく「性格」や「能力」や「意向」がその後10年、20年、30年後にどう変化したかを長期的に追いかけるべきだと思う。
社会で働く人たち全部の「そうしたデータ」が集まれば、「適材適所とはなにか?」「人事の役割とは何か?」という課題に一定の正解が見えてくるのではないだろうか。
AIの役割がどうこうという前に、自分たちがいかに限定的な範囲でしか「人」を見られていないかを反省するべきだと思う。
これからもこうした「AI適用分野」はどんどん増えるのに違いない。
 
AIによる採用活動、その限界は? 弁護士が解説
2019年4月26日 19:30
最近では、人工知能(AI)を活用した企業の採用活動も注目を浴びている。しかし、AIによる採用は何らかの問題を生じないのか。弁護士の二木康晴氏に、AIによる採用活動の限界について聞いた。
――AIによる採用活動は広がっているのか?
二木弁護士(以下、二木) 2017年5月に、ソフトバンクエントリーシートの判定にAIを導入するというリリースを出して、大きな注目を集めた。
これまで書類選考では、企業側は膨大な量のエントリーシートを見る必要があった。その審査には相当の時間と人手を要しており、効率的な審査方法が求められていた。また、最近では、学生の売り手市場が続いているため、なるべく優秀な学生の取りこぼしをなくしたいというニーズもあり、今後もAIの利用が拡大していくことが予想される。
――AIを採用活動に使うことに問題はないのか?
二木 企業には、契約自由の原則に基づき、採用の自由が認められている。そこには、どのような方法、基準で人を採用するかの自由も含まれているため、採用活動にAIを用いることも企業の裁量の範囲内とされるであろう。
ただし、AIを採用活動に用いる場合には、現在のバイアスを固定化することがないように留意するべきである。採用活動にAIを用いることは、過去の膨大なデータを読み込ませることで最適な人材を学習するものであるため、もともとのデータが差別的な背景に基づくものであると、社会的差別を固定化する危険性もはらんでいる。
例えば、ある大学の出身者が特別に出世をするような学閥主義の企業において、大量の社員データをAIに学習させると、その大学の出身者ばかりが高い評価を受けるようになる可能性がある。また、男性しかいない職場において、AIで新しく女性を採用しようとしても、過去のデータの蓄積がなく、うまく機能しないかもしれない。
学習によって特定の大学出身者が有利になるかもしれない
厚生労働省は、「公正な採用選考の基本」を公表し、応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないよう注意しており、AIを用いる場合もこのような視点に注意する必要があるだろう。
――最近では、学生がSNSをはじめとして、多様な媒体に個人情報を発信するようになっているが、AIがこのような情報を収集して採用に活用することに問題はないか?
二木 採用活動の場面で、SNS等の情報を活用して学生を調査する場合には、法令や通達、プライバシーとの関係で問題となることもあるので注意しなければならない。
――具体的にはどのような場合に問題となるのか
二木 職業安定法第5条の4は、「労働者の個人情報(-略-)を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。」としている。
また、これを受けて、平成11年労働省告示第141号は、(1)人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、(2)思想及び信条、(3)労働組合への加入状況については、特別な事情がある場合を除き、収集してはならないとしている。
AIは採用活動を効率化させることが期待される一方で、その判断の過程がブラックボックスに陥りやすいという特徴もある。AIを活用して採用活動をする企業には、どのような情報・事実を重視してその判断をしているのかを、把握することが求められるようになってくるかもしれない。
(Legal Technology代表取締役CEO 弁護士 二木康晴)
[日経クロストレンド 2018年7月24日の記事を再構成]