藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

忘却のかなたに。

*[次の世代に]退化するメモリー
日経産業より。
自分が三十代の営業の頃には200件くらいの客先の電話番号を覚えていたが、今はゼロだ。
個人の電話番号も自分のもの以外は覚えていない。ゼロだ。
もし急にスマホが破損したらと思うと、かなり恐ろしい。
さらにネットから遮断されてしまったら…かなり不便だ。
やっぱり幾らかの現金は持っておかねばならないなどと思う。
それはともかく。
 
さてもう実現しそうな「AIメガネ」。
自分の見ている景色の説明や、会った人の名前やデータなどを調べてくれそうだ。
(これを街中の「知らない人」にも適応させるとかなり恐ろしいことになるけれど。 facebookは仕掛けてくるだろうか)
それは便利だ。
けれど、けれどだ。
 
今で覚えている電話番号はゼロだ。
(唯一覚えていた実家の固定電話は解約された)
今度は人の名前をどこまで記憶できるだろうか。
今の電話番号のように「もうハナから覚える気などない」ということになりはしないか。
 
今でも大事な客先に行ったら、その人の名前や似顔絵や語呂合わせなどを駆使して、なんとか「顔と名前の一致」を図っているけれど。
もう家族や友達の名前くらいしか頭には残らないのではないだろうか。
そしてそうした「記憶作業」から解放された頭脳は、果たして何か役立つことを考えられるだろうか。
氾濫する情報にただただ反応するだけのような気がして仕方ない。
ネットから離れて「わざわざ考える時間」を作る必要があると思う。
 
 
「出会いの春」悩みと工夫

SmartTimes WAmazing代表取締役社長CEO 加藤史子氏

「出会いの春」悩みと工夫
2019年4月25日 19:30
私は人の名前と顔を一致させて覚えるのが苦手だ。特にビジネスパーティーや大規模カンファレンスで1度だけあいさつした方というのが難しい。過去にお目にかかったのに、2度目に会ったときも名刺を差し出してしまい「1度、お会いしましたよ」と相手に返されて申し訳なく恥ずかしい気持ちになる。
慶応大卒、1998年リクルート入社。ネットの新規事業開発を担当した後「じゃらんリサーチセンター」に異動し、観光による地域活性化事業を展開。2016年WAmazing創業。
私は名刺管理アプリを利用しているのだが、昨年1年間だけで1500枚以上の名刺交換をしていた。1年365日、休日も含めて平均4枚という計算になる。覚えられないのも無理はないと自分を慰めつつも対策を考えてみた。
1つ目は復習だ。心理学者のエビングハウスが実施した「無意味なつづりを暗記させたあとの保持率」という実験結果による「忘却曲線」は有名で、再学習による忘却防止の可能性を指摘している。20分後には42%を忘れ、1時間後で56%忘れる。それが9時間後では64%に達する。
その後は緩やかになる。1日後で67%忘れ、2日後には72%となる。6日後が75%、そして31日後で79%だ。つまり記憶してから1日の間に急激な忘却が起こるが、その後は緩やかに進むということだ。
だから「会ったその日のうちの復習」が有効になる。またこの実験は「無意味なつづり」の忘却度合いなので、意味のある内容や自分に関係のある内容なら記憶に残る率が高くなる。大量の名刺交換の後には10分の時間をつくって今後の仕事で連携できる可能性を考えながら名刺スキャンとデータ化を終えれば、記憶の定着率は上がりそうだ。
2つ目はテクノロジーによる解決だ。「こんな眼鏡なら10万円でも買いたい」という物を考えてみた。
その眼鏡をかけているとレンズ越しに見た人物が即座に顔認識される。そして氏名やインターネット上の関連情報、フェイスブック内のプロフィールが見える。さらに名刺データベースを参照して所属や部署名や過去の名刺交換履歴、共通の友人などが空中にAR表示されるというものだ。
次世代通信規格「5G」も実用化に向けて進んでいるし、顔認識技術は現在でもかなり精度が高くなっている。すでに実現は可能ではないだろうか。相手に気づかれないように視線の動きをおさえながら必死にネームタグを読み取ろうとする努力も、不要になる。
ビジネスカンファレンスやパーティーでスムーズに振る舞えるようになり、事前情報を得ることで相手との深く有意義なコミュニケーションも実現できるだろう。欲を言えば、顔認識の眼鏡をかけていると周囲に気づかれないようにコンタクトレンズ型も欲しい。
誰か開発してもらえないだろうか、と真剣に思う。とにかく、季節は「出会いの春」。悩みつつ工夫をしつつ、新たな人との縁から新たな事業機会を見いだしていきたい。
日経産業新聞2019年4月24日付]