*[ウェブ進化論]むしろメンタル。
日経産業より。
日本のベンチャーがアプリで社員の健康管理をするという。
とても大事なサービスだと思うが、自分はもっと大事なのは「従業員のメンタル」ではないだろうか。
一社で長く働く正社員はともかく、パートや派遣で働く人たちは互いの情報交流がとても少ない。
というのもプライバシーの尊重などが声高で、怖くて私生活のことなどとても聞けない雰囲気だ。
もちろん社員同士でも飲みにもいかず、家庭の事情など一切知らないといったことも往々にして聞く。
このアプリは「カラダかわるNavi」という名前で体重や食べ物やコレステロール値などを管理してくれるらしいが、ぜひ「ココロわかるNavi」の開発も検討してはどうだろうか。
AIなどを使ってアドバイスを強化していけば、そのうちいいお友達になるのではないだろうか。
アプリで社員の生活改善 食事を撮影、睡眠もチェック
2019年9月25日 2:00
健康関連情報サービスのスタートアップ、リンクアンドコミュニケーション(東京・千代田)はスマートフォン向けアプリで企業の健康経営を支援する。日々の食事提案や健康診断にもとづいた生活改善のアドバイスをする。健康経営の市場は拡大が見込まれるなか、アプリ一つでできる健康支援として、2021年度末までに現在の3倍超となる1万社の中小企業への導入を目指す。
日々の食事を撮影するとアプリで改善提案を受けられる
同社が2016年に提供を始めた健康管理アプリ「カラダかわるNavi」の導入を促す。現在はローソンや味の素など3500社が導入しているが、このうち3千社を中小企業が占める。
経済産業省の調査では中小企業の85%が健康経営に関心を示している。ただ中小企業には「社員の健康改善のために具体的に何をすればいいか分からない」といった悩みが多いという。リンクアンドコミュニケーションは、従業員が手軽に利用できるアプリは特に中小企業でのニーズが高いとみて、開拓を進める。
「カラダかわるNavi」は法人契約した企業の従業員が利用できる。食事や睡眠などの生活データをもとに日々の生活改善を提案する。たとえばアプリに日々の食事を記録すると、約3000万通り以上のなかから次の食事の提案や改善点などのアドバイスがリアルタイムに提供される仕組みだ。
アプリでは食事のカロリーや消費カロリーを表示できる
18年5月にはアプリで撮った画像から自動で食事のメニューや量を認識できる機能も盛り込んだ。画像認識に人工知能(AI)技術を搭載した。現在は約250種類のメニューを識別でき、順次対応できるメニュー数を増やす。食事の量はスプーンやはしの大きさをもとに推定する。
健康診断のデータとも連動する。企業の健診データと連係させることができるほか、診断結果をプリントした紙にアプリをかざせば身長や体重、血圧やコレステロール値などのデータを自動で取り込める。
リンクアンドコミュニケーションは02年の創業で、現在は三菱商事や東京海上日動火災保険、みずほ証券などが出資する。16年にアプリ「カラダかわるNavi」のほか、一般ユーザー向けの食事提案アプリ「カロリーママ」の提供を始めた。17年にはスポーツクラブの会員向けアプリ「カラダかわるNavi for スポーツクラブ」も始め、3アプリの利用者数は約100万人に及ぶという。
同社はアプリは自社で開発している。企業の健康経営への関心は今後も高まるとみて、従業員一人ひとりの抱える健康リスクへのアドバイス機能を充実するなどして、導入企業を広げていく。サービスの機能強化やシステム投資のために、19年6月に明治安田生命保険などから7億5600万円の資金を調達した。
健康経営を支援するサービスは相次いでいる。MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は企業向けに社員の健康リスクをAIで予測するサービスを19年度から始める。AIが将来の生活習慣病の発症リスクを予測。健康度を100点満点で数値化し、食生活や運動などの健康改善メニューも個別に示す。
健康×IT、3000億円市場に
健康領域にIT(情報技術)を組み合わせた「ヘルステック」分野は成長市場だ。調査会社の富士経済(東京・中央)によるとヘルステック・健康ソリューション関連の国内市場は2022年に3083億円となり、17年比で1.5倍に拡大する見込みだ。厚生労働省による企業のストレスチェック義務化や、従業員の健康増進を図る健康経営の推進などが背景にある。健康保険組合の医療費増加を抑える狙いもある。
ヘルステックを手掛けるスタートアップへの資金投入は活発だ。18年の関連スタートアップの資金調達額は前年より2倍に増えた統計もある。米保険大手のアフラックは、日本でヘルステック分野を中心としたベンチャーキャピタル(VC)事業を今年2月に始めた。
高齢化対策として地方自治体も動いている。神戸市は米ベンチャーキャピタルの500スタートアップスと組んで、ヘルステック分野の起業家育成プログラムを始めた。青森市はフィリップス・ジャパンと「ヘルステックを核とした健康街づくり連携協定」を結んだ。
米国ではヘルステック関連スタートアップの資金調達額が100億ドル規模といわれており、世界で投資が活発となっている。
(企業報道部 今井拓也)
[日経産業新聞 2019年9月24日付]