藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

新興国に見習う。

*[次の世代に]一周回る前に
国を挙げて病気を防ぐことは、国の財政や発展のために有効だ。
とかいうまでもなく、自国で病人を減らし、健康な人を増やすのは国策としては実に健全だ。
爆発的に人口が増える中国とかインドとか。
そうした国でやらばこそ、劇的な効果が期待できるだろう。
 
今の先進国では保険とか、費用面や制度でも難しいことが、途上国ならやれる。
「一周回って」というやつをそろそろ先進国も学ばねばならないだろう。
「これまでのしきたりとか因習に囚われていては、全く持って結果が出せない」ということを骨身に沁みて感じる必要がある。
特に政治や行政の人。
さらに大企業の人にも。
 
その気になれば、まだまだ先進国の医療制度や福祉政策は改善の余地があると思う。
それを既得権益や縄張り意識で阻んでいるうちに、財政は本当に破綻するだろう。
破綻してから組み直すのか。
それともその前に組み替えるのか。
自分たちの世代は「それ」の選択を迫られているのだと思う。
 
有望なインドの健康企業
2019年5月28日 19:30
2022年には中国を超えて世界最大の人口を抱えるともみられるインドは巨大な人口を基に急速な経済成長を続ける一方で、栄養環境の向上に伴い生活習慣病が顕在化している。
1997年慶応大総合政策学部卒、ソフトバンク入社。2000年ネットプライス(現BEENOS)社長、同社を上場に導く。15年シンガポールを拠点に起業家支援のBEENEXT設立
糖尿病の患者は2015年段階で6900万人を数え、30年には9800万人を超えるとの予測が出ている。これらの情勢を受け、インド政府は予防医療の啓蒙や医療保険の拡充に力を入れている。
その影響もあってか主要都市では新しいフィットネス施設が続々とオープンし、特に若年層の健康意識が高まってきた。
そんななかで生まれたスタートアップ企業がへルシアンだ。「Health for Indians」を社名の由来とする同社はインド人の健康寿命を10年延ばすことをミッションに掲げ、在宅での精度の高い健康診断サービスを提供している。
スマートフォンスマホ)で簡単な予約を済ませれば指定した時間に専門のトレーニングを受けた検査員が自宅に来て、その場で血液を採取する。
採取された血液サンプルは温度管理された専用容器で速やかに一番近くの提携検査施設へ運び出され、技師が精密検査を実施する。利用者は診断結果を24時間以内にデジタルデータとしてスマホ画面や電子メールで確認できる。
インドの健康診断
データはIDで管理され、過去の診断結果との比較が可能。次の診断時期には自動的にリマインダーの通知がくる。利用者がアプリ上で生活習慣に関する質問に答えれば、医師からの健康管理のアドバイスや食事療法のコンサルテーションを無料で受けられる。
検査員の訪問時には、その場にいる家族も血圧測定や血糖値確認などの簡単なサービスを無料で受けられる。家族全体の健康意識の向上にもつながり、まさに至れり尽くせりだ。
手軽でハイクオリティーなサービスが人気を呼び、開始から4年で実に60万人以上のユーザーが診断サービスを受けている。
同社の取り組みで重要なのは膨大な血液データだ。インドでは通常、健康診断の85%が中小の診断所で実施されるため、診断結果のデータは拡散している。
へルシアンはこれらをまとめてデータ処理し、膨大なデータを集めることができる。そのため今後は保険会社や製薬企業との連携を計画しているほか、将来は遺伝診断にもつなげようとしている。
もともとはデリー近郊で始まった同社のサービスだが、今では全国の30都市で展開している。今年は血液サンプルを集める専任スタッフを1000人以上採用し、一気に数百万人の顧客に対応できるような体制を整える予定だ。
同社はインドの健康市場に地殻変動を起こし、予防医療の入り口となるサービスを展開している。今後の活躍が楽しみだ。
日経産業新聞2019年5月27日付]