藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

国境なき医師団の訴え。

スイスの製薬会社ノバルティス社がインド政府を提訴している。
http://www.msf.or.jp/2006/12/20/5699/post_46.php


インドは開発途上国向けに、安価なジェネリック医薬品を製造している。
現在途上国でエイズ治療に用いられる医薬品の半分以上はインド製。
また、国境なき医師団(MSF)で治療するエイズ患者8万人のうち80%以上に用いられている、という。

請願書

現在、世界各地の数百万の人びとが、インドで製造されている安価な医薬品に頼っています。
インドの特許法には特許より人命を優先させるための原理が含まれています。
しかし、ノバルティス社はインド政府に対し特許法の改正を求めて訴訟を起こしています。
ノバルティス社も、また他の製薬会社も、人びとが必要な医薬品にアクセスする権利を妨げるべきではありません。
私たちはノバルティス社に対し、直ちにインド政府に対する訴訟を取り下げるように求めます。

人命は特許に優先します。数百万人の命が危ないのです!

→署名はこちらから


→ノバルティス・インターナショナルAG ダニエル・バセラ会長兼最高経営責任者への
公開書簡(英日)

利益の相反

製薬会社のいわゆる「ゾロ目薬品(特許切れで製造される薬)」や「途上国利用」をどこまで認め、特許を保護するか。


その使いみちが「途上国のエイズ治療」となれば、「人命優先」と思いたい。


他方、メーカの新薬開発投資は千億単位。結果的に利益が制限されては、研究開発にも影響が出る。


競争原理と公共の利益の相反。
何とかならないものか。


ただ、問題の本質は、もっと根深い。


命だけは、守れないか。

「値段」がついている、ということは、安いにせよ、高いにせよ、「買える人と買えない人」が存在する。


無料ではない。結局「安いゾロ目商品」を認めたところで、さらに使用できない人は存在する。あまり目にしないだけだ。



こんなことは考えられないか。

①対象者の基準(治療薬が買えなくて病状が悪化する人)を設定し、
②医師が認定者となって
③メーカは治療薬を「無償支給」する。
④製品は一個単位で無線タグで管理。管理は各国政府が責任を持つ。(不正があったら、適用除外となる)
⑤無料で提供したメーカは、使用した医師(または患者)のエントリーで国(or WHO or 基金)から一定額の補填を受ける。
⑥「基金」は、製薬業界全体で拠出も行う。


世界規模の「医療保険制度」か。

WHOは、この「無償薬品管理システム」のRFP*1を出し、国際入札を行う。

イスラエルかインドの企業が受注するだろうか。
この企業にも、一定割合、基金への協力をしてもらう。(その代わり、この会社は〝命を救うIT企業〟を名乗る。会社冥利に尽きないか。)


基本、プライオリティ(利益の優先権)は創薬メーカにあるべきだろう。それが競争原理。
が、一方で間接的にでも「知財」が人を殺める現実、も納得できぬ。


この問題に、ITやweb企業も正面から取り組みたい。


提案力が、試される。


この話、製薬企業にも聞いてみよう。


弁護士にも。
そう、ホームロイヤーズの西田所長の口ぐせ。

『法とは「富の移転」のためのルールである』

*1:Request for proposal:ユーザが、システムの導入に際し「ハード・ソフトの諸要件」を提示すること。IT企業は、これをもとに見積り提案を行う。http://e-words.jp/w/RFP.html