藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

AIコーチ。

これまでは「さほど関係ないかもね」と思われていた出来事が、どんどん分析されて「因果関係アリ」となったら大変だ。
多分「仕事ができる」とか「出世する」とか「稼ぐ」とか。
友人の数とか、笑顔が多いとか。

その人が感じる幸福度、なんかも分析できてくるのじゃなかろうか。
自分の知らない「自分の振る舞い」から分かってくるだろう。

もうそうなっては巷の自己啓発本とか、〇〇戦略とかいうような曖昧な話ではない。

7つの習慣は優れた理論だが、あれが「7千の習慣」とか「700万の習慣」とかになるだろう。
「あなたの今の発言は主体性がありませんね」とか「そろそろお酒をやめて刃を研ぐべきです」とか言われて。
なんと窮屈な。

けれど、特に「自分でなりたいイメージ」を頼んでおけば、究極のコーチが付いているようなものかもしれない。

なんだかコーチの言うことばかり聞いて、(あるいは反発して)自分で考えない人になりそうな気がする。
「それは知らない方がいいですよ」とか言われたら複雑だ。

踏み出す人々(1) 「命の格差」なくせ 41歳CEOの使命
 世界2位の製薬会社ノバルティス(スイス)でこの2月、41歳の最高経営責任者(CEO)が誕生する。現在は開発部門の責任者を務めるバサント・ナラシンハン。「人工知能(AI)で医薬品の恩恵を受ける新しい患者を見つけられる」と言い、AIで製薬会社の経営を変えることを使命の一つと位置づける。

途上国にも新薬

 ナラシンハンは米ハーバード大学大学院で医師資格を取得後、エイズ結核で苦しむ患者のため途上国で働いた。その経験から「革新的な薬が世界を救う」と信じ2005年にノバルティスに入った。途上国を中心に世界では5歳前の子どもが年間590万人死亡する。ルーツを持つインドでも医療が受けられない国民が苦しむ。

 薬の開発コストは上昇する一方だ。がんなど難病向け新薬の開発には10年以上の時間と1000億円以上が必要になる。薬価は時に数千万円に高騰し、各国の財政をも揺るがす。

 どうすれば薬を世界中に行き渡らせられるのか。開発の最前線を知るナラシンハンは、AIの活用こそが突破口になると見る。

 ノバルティスは年間500件もの臨床試験を実施するが、そこで得るデータのうち7割は分析されていなかった。既に200人のデータサイエンティストを確保し、AIを使い臨床試験に最適な患者を選び試験のコストや質を予想するシステムの開発を急ぐ。

 AIはあらゆる産業のあり方を変える力を持ち始めた。それを脅威と捉えるのではなく、ナラシンハンのように経営のツールとしてAIを使いこなそうとする新世代の経営者が台頭している。

顧客別に保険金

 「保険業界は人間の知識や経験に頼ってきた。顧客を深く理解できるAIが一変させるだろう」。中国初のネット専業損害保険会社、衆安在線財産保険の最高執行責任者(COO)、許煒(38)は言う。

 アリババ集団や騰訊控股(テンセント)などが出資する衆安は創業4年で80億件以上の契約を獲得し、中国を代表するフィンテック企業の一社となった。

 許は保険業界では門外漢だ。約8年にわたって米グーグルで広告サービスなどの責任者として働いた。データとAIで新たな価値を生む過程を最前線で見てきただけに、「独自のソースで積み上げた80億件の契約から得られるデータが最大の強み」と言う。血糖値などをきめ細かく保険金に反映させるなど新たな保険の姿を追求する。

 衆安は経営も徹底的に効率化している。顧客からの問い合わせの97%はAI技術を活用した「チャットボット」が答える。「顧客はまだ人間と話したがっているかもしれない。だが中国の新しい世代は問題を効率的に解決できるAIを受け入れていくだろう」。許はAIが生む新たな価値が人々の意識を変えていくと信じる。

 期待と恐怖が交差するAI。正面から向き合い、世界を変えようと前へ踏み出す人々を追う。(敬称略)