藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

生き残る遺伝子

*[ウェブ進化論]家具屋の逆襲。
FTより。
イケア(って家具世界最大手だったんですね)が過去最大の投資をしているという。
スマートホーム分野でトップを目指すと。
確かにこれからは「電化製品でないもの(センサー)」もネットに取り込まれるだろう。椅子とかベッドとかトイレとか浴槽とか。
 
それにしてもイケアが過去に色々と工夫をして、長い繁栄をしてきたという話には驚いた。
失敗もあったというが、このスウェーデンの世界企業には「生き残るための遺伝子」を感じる。
「イケアだけでやるべきではない。我々は異種混合のアプローチを好む。それでこそパーソナルで質の高い製品ができる。スマートホーム分野には、ニッチなプレーヤーも含め、数多くのプレーヤーが必要だ」
予め独占を謳わないあたりも新鮮だ。
 
[FT]イケアがスマートホーム機器に注力
 
2019年10月3日 17:14
 

Financial Times

家具世界最大手のイケア(スウェーデン)がスマートホーム分野でもトップ企業の仲間入りを目指している。同分野に過去20年で最大の投資を行い、米国のグーグルやアマゾン・ドット・コムといったシリコンバレーの巨大企業に対抗する構えだ。

 
イケアはスマートホーム分野でトップ企業の仲間入りを目指している=ロイター
「イケア」ブランドを所有するインター・イケアのトルビョーン・ルーフ最高経営責任者(CEO)はフィナンシャル・タイムズ(FT)紙の取材に対し、スピーカー、ブラインド、電球といった次々に投入される同社の商品に、新たに空気清浄機などを追加することを検討していると答えた。
 
「我々が参入すべき非常に興味深い分野だと考えている。よりシンプルな商品を手ごろな価格で提供したい」とルーフ氏は話す。さらに「イケアはスマートホームの分野をリードする役割を担えるのではないか」と述べた。
 
イケアはインターネット販売の促進や組み立てなどのサービス充実のほか、実験的な中心市街地への小規模店舗の出店も行っており、76年前の創業以来、最大の変革のさなかにある。現在はオランダに本拠を置くイケアグループは、電子商取引(EC)が急拡大する一方でショッピングモールや多数の実店舗の集客数が減少するなか、こうした小売業界の劇的な環境変化に対応しようとしている。
 
イケアによると、同社が現在行っている投資は、1997年に子供向けの商品群を展開し始めて以来最大という。スマートホームへの進出は2年前で、アプリで操作可能なスマート電球の投入から始まった。同社は財務状況の詳細を明らかにしていない。
 
シリコンバレーとは違うアプローチ」
 
同社は今夏、米音響機器メーカーのソノスと共同開発したスマートスピーカーを発売した。商品の一つは電気スタンドと一体になっている。新発売のスマートブラインドとともに、いずれも同じアプリを使って連携させることができる。
 
イケアはこれらを「ホームスマート」部門と呼ぶ。同部門を統括するビョーン・ブロック氏は、イケアはこれまでスマートホーム分野を支配してきたシリコンバレー企業やスタートアップ企業とは違うアプローチを取るつもりだと話す。
 
「我々にとってはホームが先だ。テクノロジー企業のなかにはスマート技術から始まったところもあるが、我々はホームから始まった企業だ」とブロック氏はFTに語った。
 
イケアはスウェーデン南部エルムフルトの主要拠点にソフトウエアエンジニアを集める一方、米国やアジアで開発拠点を立ち上げることも検討しているとブロック氏は話す。
 
同氏はまた、イケアはスマート機器の商品数を大幅に増やすことを検討していると説明したが、詳細は明らかにしなかった。同氏はイケアが取り組むべき世界的に重要な課題として、水不足や大気汚染を挙げた。
 
イケアはかつて、発売しようとしたテレビが厳しく批評されたことがある。ブロック氏は、イケアはこうした過去の失敗から学び、音楽のように新しい分野に進出する際には、ソノスのような顧客に信頼される名のある企業と組むようにしたと話す。
 
同氏は、テクノロジー企業は単なる「競争相手ではなく、協力相手にもなりうる」と強調する。ただし一緒になって「おもちゃ」を作るのではなく、問題を解決する製品を作るべきだとも語った。
 
「イケアだけでやるべきではない。我々は異種混合のアプローチを好む。それでこそパーソナルで質の高い製品ができる。スマートホーム分野には、ニッチなプレーヤーも含め、数多くのプレーヤーが必要だ」
 
By Richard Milne
 
(2019年10月2日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/