藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

近未来のために。

*[ウェブ進化論]独裁しないために。
日経MJより。
徐々にデジタル社会が進む中、一気に街を作ってしまうという話がちらほらと。
どうして人工的にこんな実験的なものを作るのか今ひとつピンとこないが、何れにしても"情報集約の加速"はとどまるところを知らない。
それにしてもこういう話、古くは手塚治虫氏の作品やSF映画ではすでに当たり前の話題になっている。
(前略。トロントでは)すると、一企業がデータを独占しプライバシーも侵食するとして市民が抵抗し、プライバシー擁護組織も声を上げた。美しい外見や未来の夢とは裏腹にスマートシティーの本当の姿を露出させ、誰も確固とした回答を持っていないことも明らかになった。最終的にデータ管理はトロント市の機関が受け持ち、市や郡、連邦政府などと連携してポリシーを決めるという。
急速に生活に浸透している技術の肝はここだろう。
自分は、これには今の政治体とか官僚ではなく、全く独立した管理機関を持つか、あるいは「最後の部分の便利さ」をあえて捨てて管理を分散するかが必要だと思う。
万一不正に利用されたら、人権までもなくなりそうな世界にすでに突入しかけているから、トロントをお手本に今から考えておくべきだ。
チームを作って別に動かさないと、今のような世間では到底対処できないに違いない。
消えた年金とかマイナンバーとかいうレベルの話では全くない。
 
トヨタも構想するスマートシティー あなたのデータは誰が管理?
 
2020年1月16日 4:30
 

NIKKEI MJ

今年のCESでびっくりしたのは、トヨタ自動車がスマートシティーを建設する計画だ。富士山を望む静岡県裾野市の工場跡に2千人が住む新都市を作る。刻々と時代が変化していると感じた。

 
トヨタの豊田社長(左)はCESでスマートシティー構想を明らかにした
変化の一つは、自動車メーカーのトヨタが自動運転車だけでなく、IT(情報技術)が隅々に浸透した生活の未来像を描くという事実だ。デジタル化により業種の垣根がなくなり、暮らし全般を捉える必要が出てきたのだと思う。
 
また、人々が実験のようにそこに住み、究極のデジタル生活を営む構想も興味深い。「生活する実験室(living laboratory)」と豊田章男社長は説明したが、これはCES会場を回って得る実感に通じるものがある。
 
出展される製品やプロトタイプが以前のようなコンピューターやスマートフォン関連ではなく、生活に関わるものになっている。ソフトウエアで体験してきた開発途上の「ベータ版」が生活自体にも適応されつつあるようだ。

 
トロントのスマートシティーの市民ワークショップ(18年8月)
連想したのは、グーグルの親会社アルファベット傘下のサイドウォーク・ラボがカナダのトロントで進めているスマートシティー構想である。
 
トヨタと同じく、トロントの構想もテクノロジーが統合された未来都市を描いている。緑と自然にあふれた町並みで、未来都市なのに木造で構造物を作ることはトヨタのアプローチと共通している。
 
トロントでは2年にわたり市民を集めたワークショップを開催。メモやカードにたくさんの要望や意見が書き込まれ、デジタルな未来都市とは思えないほど手間をかけた過程に驚いた。オープンな都市づくりを進めたいという姿勢が見て取れた。
 
ところが構想が固まり始めたところで問題が噴出した。データの収集と扱いに関するものだ。そこここにセンサーを設置して人々の移動や生活の様子をモニターし、都市の「向上のために」データを使うことになっていた。

 
たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。
すると、一企業がデータを独占しプライバシーも侵食するとして市民が抵抗し、プライバシー擁護組織も声を上げた。美しい外見や未来の夢とは裏腹にスマートシティーの本当の姿を露出させ、誰も確固とした回答を持っていないことも明らかになった。最終的にデータ管理はトロント市の機関が受け持ち、市や郡、連邦政府などと連携してポリシーを決めるという。
 
トヨタもデータを利用して生活や健康を向上させる計画を盛り込んでいる。住むのは一般市民ではなく、トヨタの従業員を中心に関係者になる計画のようだ。データ収集や利用に合意した上でここの住民になるのだろうか。
 
米国ではスマートカメラのような機器レベルから、ハッカーの侵入によるセキュリティー問題や行政による監視問題が浮上している。スマートシティーの絵に描いた餅のような構想の「本当のところ」を具体的に議論できる日が早く来てほしいと思う。