藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

学びのイロハ(2)

*[読書]*[次の世代に]問題提起の秀作。

 

昨日紹介した出口治明さんの『哲学と宗教全史』は「自分に足りない"圧倒的な知識の習得"」に必要な一冊だったが、こちらは「問題提起の一冊」。

外交、年金、政治、経済などの「最も身近な問題」について、データと今の識者の見解を示し、そして「自分で考える」という作りになっている。

この自分で考える、というところに実に考えさせられた。

著者の考えに共感できるところもあれば「うむ?」と反論したいところもたくさんある。

年金は破綻しないか?

経済成長は必要か?

少子化は悪いことか?

恐らく今の人々が「実は疑問に感じていること」についての問題提起と、著者の考えが「考える素」になっているところがミソである。

どのテーマも、少し深く考えようとすると、不足しているデータや知識が多く、「では統計を調べてみよう」という気になり、そしてデータを元にさらに深い構造を考える、という「思考の循環」が起きてゆく。

 

と思って改めて見てみればサブタイトルには「知識と考える力が同時に身につく」と書いてある。

やるな幻冬舎

 

というわけで、普段は報道などで情報を啄(つい)ばむように食べているが、その根っこになる問題を考えるのにはとても良い一冊だと思う。

 

お正月にいかがでしょうか。