少しひんやりしてきたこの頃、秋の夜に自宅で裁判用の書面を起案していた。
ようやく文章の方向性が見えてきたので、ウィスキーのソーダ割りを片手に推敲をし始める。
で、興に乗って来たかな、と思った矢先。
耳元で「ボトボト」いう擬音。
ハッと見れば、ソーダ割りがキーボードの上にボトボトとこぼれている。
あわてて拭き取り、キーボードを乾かして、落ち着いてみれば、すでに彼は死んでいた。
これしきの水浴びで、完全に死んでしまうのか、と逆恨みするくらい、彼はあっけなく逝ってしまった。
取り急ぎの入力装置を、とビックカメラで無線LAN対応キーボードなど購入し、また無駄な出費を重ねてしまう。
ああ愚かなり。