藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ひたひた。


戦時下の混乱期を越え、昭和四十年代以降、何のかんの言っても日本で「預金破たん」が起きたことはない。
なので、自分ももちろん「銀行取り付け」を目の当たりにしたことはなかった。
金融の進んだ欧米では「つぶすべきはツブす」と言い、事実銀行の倒産は珍しくない。
日本でもここ二十年に幾つかの銀行が潰れたが、預金が消失する、というのは今回が初めてである。


ペイオフが制度として導入されたのは、確か2000年の金融ビッグバンのあたりだった。
それから十年。
静かに、何かが日本でも進行しているような気がする。


どうも時代の警告は、十年ほどは遅れてやってくるようなのだ。

振興銀、破綻へ 再生法申請の方針 ペイオフ発動見込み


金融庁から行政処分を受けて経営再建中の日本振興銀行(東京都千代田区)は9日、民事再生法の適用を申請する方針を固め、経営破綻(はたん)する見通しになった。
債務超過の恐れがあり、預金の払い戻しができない恐れが高まったためだ。
10日にも民事再生法の適用を申請するとともに、預金保険法74条に基づく届け出を行い、預金保険機構の管理下に入って再生を目指す。


振興銀が破綻しても、預金者の預金は元本1千万円とその利息までは保護され、払い戻される。
ただし、それを超える金額については一部が払い戻しされない可能性がある「ペイオフ」と呼ばれる仕組みが実施される見通し。
これまでの金融機関の破綻では預金は原則全額保護されてきたが、今回、事実上初めてペイオフが発動される見込みだ。


振興銀を巡っては、昨年6月から約9カ月間と異例の長さで同庁が立ち入り検査に入った。
その際、業務にかかわる重要な電子メールを意図的に多数削除したことなどの疑いから、金融庁が6月に警視庁に刑事告発し、警視庁が本格的な捜査に乗り出した。
7月14日には小泉政権下で当時の竹中平蔵金融担当相のブレーンとして、金融庁顧問も務めた木村剛前会長と現職の社長など経営幹部計5人が逮捕、その後に起訴された。
金融庁は5月下旬、検査結果をもとに振興銀行の主な業務を約4カ月間、停止する行政処分を出したが、預金者の側に目立った混乱はなく、預金量は減らず、資金繰りに懸念はなかった。


ところが、木村前会長らが逮捕されて以降、預金者の間に不安が高まり、預金の引き出しが殺到。
手元資金だけでは預金の払い戻しができない見通しとなり、事業を続けるのが難しい状況に陥った。
また、融資の返済が滞ることに備えて、9月中間決算で多額の貸し倒れ引当金を積む必要が出る可能性があり、債務超過が避けられなくなった。