藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

マーケットトレンド。


あまり人ごみに出かけるのは好きではないのだが、驚いた。
先週末、秋葉の量販店にて。


ザッ…と「どの階が混んでいるか」とか場内のアナウンスが「何をガナリたてているか」ということを観察すれば、今何が注目されていくかがつぶさに分かる。
薄型テレビでも、3Dテレビでもない。
i-Padでもない、イーモバイルでもない。
それは"スマホ"だった。
とにかく、これほど契約する人がいるのか、というくらい、申込カウンターは引きも切らない。
並んでいる人の中を見ると、案外年配の方も多く、スマートフォンに機種変更というよりも、新規申し込みの人も多いようである。
また機種も多い。
一時のモーターブームの時に、次々と繰り出され、またモデルチェンジが施された車たちのように、それぞれのキャリア別に、また機種別に、
旧モデルと新モデルのチョイス、
そして旧モデルの在庫確認に、新モデルの在庫確認、
そして「新モデルの予約受付」へとユーザーは押し寄せる。
さらにそれぞれの性能や特徴についての質問。
値段についての質問。
通話料金についての質問。
互換性についての質問。


あっという間に携帯電話は「かつての車以上」の日用高級品になってしまったのだ。

それはこれまでの"携帯ブーム"とは一線を画した「底上げ」を予感させる。

それを確信したのは、ほかでもない。
ついにユビキタスが到来している。

周辺機器の厚さ。

カウンターに並ぶ、あるいは順番待ちをする年配の人たち(といっても六十過ぎくらいまでだが)を横目に眺め、自分のスマホの充電器などを探していて、驚いた後のこと。
"アクセサリーコーナー"はえらい騒ぎになっていた。
まだ土曜日の午前十時のことである。

先の「新規契約・機種変更者カウンター」はいわば「エントリー部分の人が居並ぶ関門」である。
そうしてどんどん契約した人たちが、「周辺機器部門」にはいた。
この人たちは、契約の時だけじゃなく、これからもずっと「スマホユーザー」である。
例えば、日本特有(海外では見たことがない)の「携帯電話カバー」。
そして、ジャラジャラと「携帯ストラップ」。
さらに「専用充電器」とか「ワイヤレスイヤホン」、「覗き見防止フィルター」「専用外部スピーカ」などなど。
携帯ライフ、を楽しむためのあらゆるものが集積していた。
もう携帯は日常の「愉しみの一つ」になっている。
そして、だからそこに群がる異常な数の人々。
それこそ老若男女、みなが「携帯ライフの住民」であることを見せつけられた思いがした。

ごく地味な白髪頭のオジサンやおばさんが、手に「携帯電話のカバーとか、デコレーショシール」とかを幾つも籠に入れて品定めしているのであるから、一昔前ならおばさんが若い子の服を自分用に買っているようなもので奇妙な感じである。

そして蛇足だが、その中でも、数ある日本・韓国製の新製品に比して、圧倒的に売り場のシェアを取っているのが"i-Phone"である。
なんとi-Phoneは外付けのカバーだけで実に3000種類がそろっているという。
シリコンでできたものとか、ポリカーボネイトとか、ハイブリッドとか防水とか、ワンピースバージョンとか。(ほし)
これがAppleの"熱狂"なのだなと思い知る。
その集積度は、他者の製品ごとの熱の入れようが「一か所」に集まっているようだった。
売り場は「i-Phone 対 他社スマホすべて」といった様相である。


ともかく。
スマホは国民的ブームなのだ。と思いつつ。
自分も必要かどうか今ひとつ確信のない「ブルートゥース対応イヤホンマイク」なるものを買ってしまって帰宅した。


市民の買い物は世相を映す、は小売りの金言だが、たまには量販店に出かけて、周囲の様子をウォッチしてみるのも悪くない。

そういえば。
帰る道すがら、店内を怒声むなしく「ただいまから、P社とS社の3Dテレビの実演販売を行います!!どうぞお集まりください」と連呼するアナウンスと、当該のテレビ売り場のまばらな客足が印象的だった。
「テレビ」は「携帯性」には敵わなかったのだろう。