藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

今や押し買いの時代。

押し売り、は昔からの伝統的悪徳商法
今度は「押し買い」。
商売人は、必ず"悪の方向"にも知恵を注ぐものが一定割合いるものである。
オレオレ詐欺の巧妙さなどを見ていると、被害にかかった者への「息もつかせぬ舞台回し」は、脚本家さながらである。

この悪への情熱に燃える人に以前会ったことがあるが、「金儲けのためには悪をも厭わない」と言う感じではなく、むしろ「悪行を楽しんでいる」といった感じだった。
ちょっとヒーローものに出て来る、悪の統領のような雰囲気が漂っていた。
そういう人は、どこかユーモアを含んでいて妙に人間的な魅力があるのである。
そうか。

悪さといえど、部下がおり、それを統べていくためには強いリーダーシップがいるのだ。
それはホワイトカラーの世界以上のものかもしれない。

高齢者を標的「押し買い」被害急増
法の「すき間」をついた悪質商法による高齢者被害が急増している。貴金属を強引に安く買い取る「押し買い」や、老人ホームの利用権を押し売りするケースなどが目立つ。法改正が検討される一方、地域で自衛の取り組みも行われている。(岡安大地)

 関東甲信越地方の60代女性は今年9月、自宅を訪問して貴金属などを強引に安く買いたたく「押し買い」被害に遭った。「貴金属を買い取る」という業者が自宅を訪ねて来た。買い取り相場が4万円の白金のネックレスを、1000円で売ってしまった。長時間居座り、しつこく勧誘され、断りづらくなったという。「業者の名刺や領収書はなく、事業者名もわからず、なすすべがない」と途方に暮れる。

 全国の消費生活センターに寄せられた貴金属の押し買いを巡る相談は、2009年度に137件だったのに対し、10年度は2367件。今年度は上半期だけで1742件。その大半が60歳以上の高齢者だ。トラブル急増の背景には、こうした商法を規制する法整備が追いつかず、その間に高齢者を狙って、法律の「すき間」をついた手口が横行しているという実情がある。

 こうした事態を受け、消費者庁は、訪問販売などの取引を規制している特定商取引法特商法)を改正する方針だ。特商法は、商品の販売やサービスの提供に限って解約(クーリングオフ)の規定を定めている。ところが、押し買いは消費者側が売り手となるため、規制対象とはならない。そこで、買い取りでも原則8日以内なら、売り手側が解約できる規定などを盛り込む予定だ。

 有料老人ホームの利用権などの権利の押し売りや、日本で換金困難な外国通貨の押し売りを巡る、高齢者からの相談も急増している。権利や外貨は、特商法が対象としている「商品」とみなされず、規制をできないからだ。

 また、消費者事故の発生を把握した自治体などに、消費者庁への報告を義務づけている消費者安全法も改正し、悪質業者への調査権の強化や罰則付きの行政処分をできるようにする方針。

 もっとも、いずれの法改正案も来年の通常国会に提出され、審議を経る必要があり、成立の見通しは不透明だ。そこで、被害を防ぐため、地域の高齢者団体などによる自衛の取り組みが始まっている。東京都世田谷区の高齢者サークル「楽多(らくだ)の会」も、その一つ。今年から、雑談を楽しむ場などで、同区内の消費生活アドバイザー悪質商法の手口や対策を話してもらっている。

 千葉県船橋市の本町地区社会福祉協議会でも65歳以上を対象に、法のすき間をついた悪質商法の手口や防止策などを紹介する消費者講座を開いている。この講座で講師を務めた消費生活専門相談員の鈴木春代さんは、「電話勧誘や訪問販売で『おかしい』と思ったら、家族や友だちに相談してほしい。特に一人暮らしの高齢者がいる場合には、周囲の人たちも気にかけてほしい。地域で被害を防止することが大切」とアドバイスしている。


トラブルに巻き込まれないための心構え
・突然訪問してくる買い取り業者を、家に入れない。
・貴金属などを売りたい場合は、きちんとした店を構える業者で。
・有料老人ホーム利用権などの権利の取引は複雑で、知識や経験のない消費者は、手を安易に出さない。
・親切にされて断れなくなり、契約してしまうケースも。取引のつもりがなければ、はっきりと断る。
・おかしいと思ったら、早めに地元の消費生活センターに相談をする。
(鈴木さんや国民生活センターの話を基に作成)
特定商取引法
 訪問販売法を改正、改称して2001年に施行。訪問販売や通信販売、電話勧誘販売など、トラブルを生じやすい取引形態を対象に、解約などのルールを定め、「販売目的を隠す」などの行為を禁じている。規制の対象は、商品の販売とサービスの提供に限られている。

(2011年12月20日 読売新聞)

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