藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

結局は心理経済

都心には確かに工事中の大型オフィスビルが目につく。
また百坪以下の雑居ビルの空室、の看板も目立つように思う。
オフィスはことしにバブル期以来三番目の供給量(154万平米)を記録するそうで、数字もそれを裏付けているようだ。

また、団塊の世代が退職し始めたのが「2007年問題」だったが、それが雇用延長で緩和されたツケがくるのも2012年だという。
60歳定年も5年も伸ばして、いよいよ65歳でリタイア、という人は多い。
本格高齢化、実影響が出てくるのは実は今年から、のことなのかもしれない。

減らぬ消費

一方、リタイア後の人たちの消費には衰えの傾向がないという。
日本の富の七割を保有する、という高齢層。

「国内の65歳以上の消費額は2010年に87兆円だが、25年には138兆円まで伸びる」という。

年金の中からも、まだ貯蓄を遺す、とい日本人だが「あまり多くを抱えて死んでもつまらない」ということだろう。
ドラッカーはずい分前から、人の平均寿命が延びている今の社会構造に対応し、「定年十年延長(70歳まで)」を唱えていたが、ようは高齢化時代、とは「高齢者もまだまだ社会参加する時代なのだ」という意識改革ができてくれば、今の「超高齢化問題」はずい分緩和されるのではないだろうか。

日本の国民皆保険、は諸外国からの評価が高いが、もう少しそれを伸ばす。

生活保護、と言うと何か庇われているようでしっくりこないが、そうした暗いイメージではなく、もう少し国民の福利厚生に近いニュアンスの「国民養護施設」を地価の安い地方(あるいは東京の議員宿舎とか官舎を利用して)に計画的に建設し、今の憲法の保障する「文化的で最低限度の生活」の中身をもう少しくっきりとさせるのだ。
つまり「働けるうちは、ずっと働いて、でも一人身で身体が動かなくなっても、"決して国民を野垂れ死ににはしませんから"というオファーを政府がすれば、ずい分と「いわれなき将来への不安」は解消され、消費も上向くに違いない。
平均三千万円も「持って逝く」人たちがせめてその七割方くらいまでを使ってくれることは、経済には劇的に効くだろう。(なにせ1000兆円ありますから)

そして、そのためには高齢者が「社会からお荷物扱いされないインフラとサービス(介護とか)」をインフラとして政治家が作るべきだと思う。
安心すれば、年寄りは若い者の意見に従うものなのである。

「2012年問題」色々あるの? オフィス過剰や団塊の退職など様々
日本経済新聞 プラスワン  
「『2012年問題』が日本経済に大きな影響を及ぼしかねないと聞きました」。
近所に住む就職活動中の大学生が持ち込んだ依頼に、探偵の松田章司が身を乗り出した。「どんな問題があるのか、調べてみましょう」


「まずはインターネットで下調べだ」。章司が検索サイトで「2012年問題」と入力すると、検索結果の上位には「マヤ暦の予言と地球滅亡の関係」といった内容のサイトが並ぶ。古代マヤ文明の暦が、現在の暦で今年12月22日にあたる日で終わっていることを理由に「地球(または人類)が滅亡してしまう」との説があるのだという。「そんなオカルトみたいな話が経済に影響するかな?」

章司は、世の中の様々な事象と経済の関係について調べている三井住友アセットマネジメントのチーフエコノミスト、宅森昭吉さん(54)に話を聞いた。「マヤ暦についてはわかりませんが」と笑いながら「今年、米大統領選挙をはじめ世界各国で大きな選挙が相次ぐことは経済に影響しそうです」と説明を始めた。

3月のロシア大統領選に続き、今月から来月にかけてフランス、11月に米国、12月には韓国で大統領選挙がある。中国でも今秋、最高指導者が交代するとみられている。こうした年には自国の景気を良くしようとする政策が採用されやすく「特に米国は大統領選挙の年に経済成長率が高く、株価が上昇しやすい経験則がある」(宅森さん)という。米国の景気や株価は日本への影響も大きい。

■供給量12%増
章司がさらに調査を続けようと東京の都心部を歩いていると、あちこちで新しい高層ビルが建っていることに気付いた。「そういえばオフィスビルにも『2012年問題』があると新聞で読んだ記憶があるぞ」

章司は森ビルに向かった。「今年の東京23区の新規オフィス供給量は、延べ床面積で154万平方メートルで昨年より12%増える見通しです」と担当者。150万平方メートルを超えるのは6年ぶりで、1986年以降で3番目の高水準だという。

今年、供給が始まるオフィスビルの多くが2007年頃に計画が始まった。当時は景気回復期待などから都心部の大型再開発が一斉に動き出すなど「不動産ミニバブル」と呼ばれた。

小さなオフィスビルを持つ会社の経営者(62)に話を聞けた。「空室が増えるので困ります。テナント引き留めのため、賃料を下げざるをえません」と渋い表情だ。「おまけに『エレベーターの2012年問題』もあり、年内に更新しなければならないかも」と不安げだ。日立製作所三菱電機など大手エレベーターメーカーが今年あたりから、製造中止後20〜25年程度たった機種の交換部品を供給しなくなるからだという。一社が供給停止の方針を明らかにすると、ライバル企業も次々に追随して「問題」が大きくなったようだ。

■労働力が減少
「ずいぶん色々な『2012年問題』があるんだな。企業が一斉に動くと、必ずしもプラス面ばかりではないようだ」。章司は認識を新たにしながら、ニッセイ基礎研究所を訪ねた。主任研究員の斎藤太郎さんは「日本経済への影響という観点では、団塊世代の大量退職が本格化するインパクトが最も大きいでしょう」と説明を始めた。

第2次大戦後、1947年から49年に生まれた「団塊の世代」は、ほかの世代に比べて人数が非常に多い。企業に勤める47年生まれは07年に60歳の定年を迎え、大量の退職者が発生する「2007年問題」として話題になったが、実際には定年年齢の引き上げや雇用延長、再雇用などの制度導入で、退職者はそれほど多くなかったとされる。

しかし、雇用延長などは「65歳まで」とする企業が多く、47年生まれの人が65歳になる今年が、団塊世代の大量退職が本格的に始まる年になるとみられる。ニッセイ基礎研の斎藤さんは、「労働力人口が大幅に減ることになれば、日本経済の活力低下につながりかねない」と懸念を示す。

みずほ総合研究所主任研究員の大嶋寧子さんにも聞くと「特に中小の製造業では生産現場で働く60〜64歳の割合が高い傾向にあります。熟練技術者の技能が若い世代に伝えられないまま退職すれば、日本の産業競争力が低下するかもしれません」と解説してくれた。

■消費はプラス
「あまり明るい話ではなさそうだな」。章司は最後に、三菱総合研究所に向かった。シニアエコノミストの武田洋子さんに話を聞くと「日本が活力を取り戻す道はありますよ」と意外に力強い言葉が返ってきた。

武田さんが期待するのは「シニア層の消費市場の拡大」だ。団塊世代の大量退職は労働力の減少をもたらす一方、健康・医療関連や娯楽などの分野で新たな需要を生み出す。武田さんらの試算によれば、国内の65歳以上の消費額は2010年に87兆円だが、25年には138兆円まで増える。65歳以下も含めた名目家計消費の合計も、10年の285兆円から25年の330兆円へと16%増えるという。

1990〜2011年の消費支出も、50歳代以下のすべての世代の支出が一貫して減少傾向なのに対して、60歳以上の11年の支出額は90年を5%程度上回る水準だ。「高齢者は、財布のひもを締めてはいません。シニア層の需要を取り込みつつ、労働力は女性の活用などでカバーすることが今後の日本の課題です」と武田さんは付け加えた。

団塊世代の大量退職は課題もありますが、悪い話ばかりでもなさそうです」。章司が事務所に戻って報告すると、所長は「シニア層がお金を使うことも大事なんだな」とうなずいた。そこで章司はすかさず一言。「日本経済のためには、リタイアする前からお金を使った方がもっといいですよ。今夜は所長のおごりで飲みに行きましょうね」

<38年に大規模データ障害? 同一基本ソフトの普及が要因に>
これまでにも様々な「××年問題」が話題になった。その中でも、コンピューターの「2000年問題」は様々な分野でトラブルが起きかねないとして注目を集めた。事前の対策が徹底されたこともあって実際には深刻なトラブルはほとんどなかったが、コンピューターの分野では「2038年問題」の存在も指摘されており、2000年よりも大きな影響が出る可能性がある。

2038年問題」は、コンピューターの基本ソフト(OS)として普及した「UNIX」の32ビット版などの内部で、時刻を「1970年1月1日0時0分0秒から何秒後か」で表すことが原因で起きる。この方法で表現できる最大値は2の31乗マイナス1(約21億秒)で、38年1月19日3時14分を過ぎると誤動作の恐れがあるという。

38年というとずいぶん先のことのように思えるが、問題はコンピューター内で約21億秒までしか扱えないことにあるため、それより大きなデータを処理しようとすれば、38年よりずっと前でもトラブルが起きる可能性がある。実際、04年1月11日に国内の銀行約20行で起きたATMトラブルは、この「2038年問題」が原因だったとされている。
(宮田佳幸)