藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

リーダーシップのない甘え。

昔は全く聞かなかった病名が多い。
セクハラ、パワハラ、うつ、非正規雇用、などなど。

また、高齢社会に突入する昨今では、「低額相続のトラブル」が激増しているという。
相続税の控除の枠内(まあ五千万円以下)でのもめ事が一番多いという。


総じて俯瞰すると、「リーダーシップの欠如」がキーワードではないかと思う。
リーダーが強かったからセクハラが許される、とかいうことではない。
セクハラやパワハラも、健全なリーダーシップによる統治があるところでは顕在化しなかった問題ではないか。
飴と鞭、実力のあるリーダーがいないから、ただのハラスメントだけが独り歩きして跋扈するのである。
うつ病も非常に多いが、それこそ飽食の時代になって、その中でよりベターな選択に迷っている人が多いのではないかと思う。


けれど、全体的に「誰もが進んで責任は取らず、しかしある程度の権利は主張する」というのが日本の体質になっているのではないかと思う。
正規雇用かどうか、ということは、本来法律の問題ではない。
経済の状態とか、企業の経営計画とか、また就業する人の意思で決まるものである。

それがいつしか「正規雇用」が目的になってしまった。

正規雇用ならば、解雇してはならないとか、残業は制限するとか、育児休暇とか、いろんな条件も増えてきた。
目的化した雇用問題に、行政が様々なルールを課したのである。
さらに定年も延ばせ、とか派遣は制限つきにする、とかさまざまな縛りが増えてきている。
「自由な企業経営」という観点で見れば、非常に重い「重し」を背負わされている状態だろう。


途上国に行って、そうした話は寡聞にして知らない。

世の中、自分をしっかりもっていないと、様々な外部の意見に惑わされることは多いものである。
低額の相続についても、事前に家長がビシッと意思表示(リーダーシップ)をはっきりとし、方針を決めて入れば残ったヒヨコたちが身勝手なことを言い出す隙はない。
折角の血縁者の間で、わずかな資産を巡って揉める姿は、いまの日本の姿そのもののような気もする。

これからの自分たちはそうした優柔不断を排し、自分たちなりの意見をはっきりと示すことが必要なのである。
豊かになっても、甘えは人々を結果不幸にしてしまう。

「資産がない」家でトラブル多発、大相続時代の心構え

2012/9/5 7:00
ニュースソース
日本経済新聞 電子版
 相続トラブルは、もはや裕福な家庭に限られた話ではありません。むしろ「わが家には、それほどの資産はないから何もしなくて大丈夫」と油断している一般家庭で、もめる事例が相次いでいます。相続トラブルを防ぐには、親と子がタッグを組んで、準備を進めることが必要です。

 「大相続時代」がやって来た。民間推計によると年間50兆円もの資産が、相続で動くといわれる中、相続トラブルは増え続けている。家庭裁判所に持ち込まれた紛争は、2010年までの約10年で25%増加した。


家庭裁判所に持ち込まれる「遺産分割」紛争は増えている(出所:『司法統計年報』)

 背景に、何があるのか。「長男中心から兄弟平等へ。相続の考えが変化する過渡期にある」。税理士法人レガシィ代表の天野隆さんは、相続観の変化を挙げる。親と同居する長男が資産を継ぐ「家督相続」から、民法で定められた法定相続通りの「均分相続」を兄弟が主張する時代へと変わりつつあるのだ。

 実際には、遺産は「実家とわずかな金融資産のみ」で分けようもないケースが少なくない。だからこそもめる。「今のミドル世代は、ささやかな額でも相続を期待している」と家計の見直し相談センターの藤川太さん。増税、手取り収入減と年々家計が厳しくなっているためだ。


この人たちに聞きました

 相続をめぐる環境が変化するものの、備えがおろそかな家庭は少なくない。「わが家は資産がないし、家族も仲がいいから大丈夫」と対策を先送り。相続税強化により、東京国税局管内では課税対象が2倍以上になるとの予測もある。それでも、「先祖代々の土地を手放したくない」など、税対策は後手になりがちだ。

 さらに「金融資産が不透明なまま、認知症になる親世代が増えている」と言うのは、タクトコンサルティング会長の税理士、本郷尚さん。「親は元気なうちに資産目録を作る、子供は老後支援を申し出る」ことを勧める。4つの「相続・新常識」を親子で共有して、早速対策を話し合ってほしい。

■新常識1:「資産のない家」ほどもめる

 相続争いは資産家の話と思っていたら大間違い。さほど「資産のない家」の方が「争続」は起こりやすい。家庭裁判所の「遺産分割」紛争を見ると、遺産1000万円強5000万円以下が最も多くて4割強、1000万円以下が約3割。典型例は「実家1軒とわずかな金融資産」という「分けられない」遺産だ。100万円でも納得できないと家裁に持ち込まれる例もある。


相続トラブルは、「遺産1000万円強5000万円以下」が最も多い(出所:『司法統計年報』2010年)

■新常識2:「普通の家」にも相続税がかかる

 「相続税など人ごと」では済まされなくなってきた。2010年4月から実家相続の税負担が重くなり、今後は相続税の大幅アップが見込まれる。税理士法人レガシィの試算によると、法改正により、東京国税局の管内では課税対象者が倍増する見込み。改正後は遺産総額5000万円前後でも課税対象となる例が出てくる。事前に対策を講じておきたい。


相続税の課税対象者は2倍以上にもなる  東京国税局のデータを基に、税理士法人レガシィが試算。「申告して税金ゼロ」は、小規模宅地の特例や配偶者控除などを申告して認められたケース。

■新常識3:孫へ資産を移す「飛ばし相続」も

 相続税アップで節税対策が限られてくる中、資産を渡す対象を孫まで広げて考えたい。例えば生前贈与。2人の子供に加えて4人の孫、計6人に非課税枠で生前贈与をすれば、節税しながら資産移転ができる。中には孫を養子縁組し、法定相続人とする資産家もいる。ただし「若くして資産を手にして働く意欲をなくさないか注意したい」(レガシィの天野隆さん)。


孫にも相続、直系で世代間格差を解消する

■新常識4:相続の前に「認知症」あり

 相続の前に、1つ大きな課題がある。それは介護。世界保健機関の2010年調査によると、介護を必要としない「健康寿命」と「平均寿命」の差は、日本人の場合7年弱。介護期間は平均7年と覚悟したほうがよさそうだ。「相続」と「介護」、さらに判断力が衰えた親の「資産管理」支援を三位一体で考える必要がある。専門家の力を借りることも検討したい


親の老後支援から相続までトータルで考える

 では、相続に関わる税負担を軽くし、しかも遺産分割でもめないためには、どうすればよいのか。まずは親子で資産整理を進め、財産を評価、遺言を書いて対策を練るのが、理想的なステップの踏み方だ。

■相続はやんわりと着実に切り出す

 相続税対策を考える前に、親の資産の全容を把握する必要がある。複数の口座に散らばる現預金や証券会社などで運用する有価証券、年金、保険の類もひとまとめにする必要がある。ただ「子供がなるべく早く親の資産を把握したいのに対し、親は運用内容を明らかにせず重い腰を動かさない」(ファイナンシャルプランナーの藤川太さん)。遅くなればなるほど親の能力は低下する。「なるべく早くに資産整理を」というのが専門家の一致した見解だ。

 専門家の意見を参考に、子供側から親に資産整理を促す会話の例を以下にまとめた。多くの専門家は、「いきなり親に『相続のことどうする?』と聞くと、親の財産を狙っているように映るので避けたい」と指摘する。「老後の生活をどう支援できるか考えたい」など、やんわりと切り出し、老後生活を親子で考えるという姿勢を見せることが大切だ。


子供から親の資産整理を促す会話の進め方  

■資産把握、子も協力を

 その上で資産の状況を把握する。預貯金は複数の金融機関に口座がある場合が多いので、手間がかかりそう。親が「いちいち調べる気も起きない」「どこに預けたか忘れた」という場合は、子供が積極的に親を連れて金融機関への問い合わせに動くことも考えたい。

 あるメガバンクによると、同じ銀行の複数口座の残高情報は電話で一括確認できるという。その際は本人確認が必要なのでカードか通帳を電話口に置く。通帳がないなら紛失の可能性もあるので印鑑持参で銀行支店に出向く。印鑑の記憶があやふやなら複数候補を持参。こうした作業は原則、平日の日中時間帯に行うことになる。

 注意したいのがローン。子供が相続を単純承認した場合、親の資産だけでなく負債も無限に引き継ぐ。「親が第三者の連帯保証人になっていたことが分かり、借り入れ返済などの対応を迫られる場合がある」(司法書士の川原田慶太さん)。子供は早めに親に対し債務の有無を確認したい。

 「兄弟間などでもめないためにも、早めに家族会議を開きたい」(夢相続代表の曽根恵子さん)との指摘も多い。親は大体の相続の方針を固めて、「自分はこういう理由でこのように財産を分けたい」と語りかける。同じテーブルで兄弟・配偶者が聞いておけば、後に相続でモメる可能性が低くなる。会議の結果を踏まえ親が心を落ち着かせて遺言を書く環境を整えたい。


確認しておきたい資産状況のチェックリスト

(日経マネー 野村浩子、南毅)

[日経マネー2012年9月号の記事を基に再構成]