藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

長生きかはともかく。

数学でも、物理学でも医学でも、「その道の第一人者」が逝去してしまう、というのはよくあること。
科学者が「言いっ放し」ではないだろうが、ご本人が血道をあげて追及していた学説そのものが宙に浮いてしまうのは残念でもある。

フランス人の健康説、ひいては世界中の「赤ワイン信仰」のもとになったルノー博士が「ボルドーメドック」で亡くなったという。
諸説あれど「赤ワインのポリフェノール信仰説」はこの人の功績のようである。

こうした食文化、酒、医学、生活習慣の関わる話題は、これからもまだまだ自分たちの興味を引き続けるに違いない。
また数ある「アルコール文化」の中でも、数ある製品の中からワインをそのトップに押し上げた功績は突出している。

「長生きのためのアルコール」というフレーズはそう長くは持たないかもしれないが、「楽しむためのアルコール」という話題はぜひ後進の方にも引き継いで追及していただきたいものだと思う。
ワインというのはそういう意味では実に複雑で研究に値する対象なのではないだろうか。
ウイスキー琥珀も良いが、ワインのあの深紅も実に酒飲みを惹きつけるのである。

フレンチ・パラドックス提唱の仏科学者が死去
 「フレンチ・パラドックス」を提唱したフランスの科学者セルジュ・ルノー氏がボルドーメドックで亡くなった。85歳だった。
 ルノー氏は1991年に出演した米CBSニュース情報番組「60 ミニッツ」で、フランス人が脂肪の多い食事をしているのに、米国人より心臓疾患が少ないのは、赤ワインをよく飲むからという説を主張した。この番組によって、米国で赤ワインブームが起き、ワインやアルコールと健康が関連する研究調査が加速した。
 カナダとフランスの流れをくむルノー氏はボルドーで育ち、祖父はアントル・ドゥ・メールに畑を所有していた。フランスの国立健康医療研究所などで働き、食事とワインの関係などを研究した。
 80年代の米国はワインブームが広まる中で、白ワインの人気が強かったが、番組放送の翌年には赤ワインの消費が大幅に増えた。「フレンチ・パラドックス」には、単純すぎて、食生活全体を考慮すべきなどの指摘もあるが、適量のワインは健康に良いとする考えが広まるきっかけにもなった。
 ルノー氏は2003年に引退したが、現地紙「シュド・ウエスト」などで持説を展開していた。ワイン普及の貢献によって、レジヨン・ドヌール勲章も受勲した。
(2012年11月5日 読売新聞)