藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

新聞から未来を読む。

米紙ニューヨーク・タイムズの過去の記事と、ネット上のフリー百科事典「ウィキペディア」といった他の情報・ニュース系サイトのさまざまなデータを組み合わせて、これから災害や疫病がいつ起こるか予測するコンピューターソフトが開発されたというのです。

昨日の記事では、起きた事件の内容を「自動で作成編集するソフト」の話だった。
それが一歩進むと自動での未来予測になるという。
そう聞かされてみると、それほど突飛でもないようにも思える。

なぜなら現在は、「ほんの少しのイノベーション(突発的な革新)と、ある程度の「過去の集積」だから。

News headlines used to predict future events(=ニュースの見出しは、未来の出来事を予想するために使われる)」。

というこの素敵な見出しは、
>>未来に起こる出来事の中でもとりわけ、暴動や大量の死者が出る事件事故、疫病の発生の予測に重きを置いており、的中確率は70%〜90%にも達するといいます。<<

「干魃、暴風雨、コレラ…発生間隔の“波”発見」。
これらの予測が可能だというのは、「過去資料からの周期の発見」が重要だと言われれば妙な納得感もある。

グーグル流に言えば、学校や職場でなぜ集団いじめが発生するのかといった人間の行動や考え方の根源的な謎にもある程度、迫れるのではないかと思います。

【岡田敏一のエンタメよもやま話】未来を予測…簡単! 的中9割、必要なのは新聞記事の「見出し」
2013.2.17 12:00
 今回ご紹介する“エンターテインメント”は、久々のIT(情報技術)系技術のお話です。
 昨年7月末の本コラムで、企業の決算発表やスポーツ記録といったデータを「アルゴリズム」(コンピューターを使って特定の目的を達成するための処理手順)の技術を駆使して、自動的に記事にしてくれる“コンピューター記者”が米国で大活躍しているというお話をご紹介しました。
 あれから約半年。もっとスゴい技術が開発されました。何と、米紙ニューヨーク・タイムズの過去の記事と、ネット上のフリー百科事典「ウィキペディア」といった他の情報・ニュース系サイトのさまざまなデータを組み合わせて、これから災害や疫病がいつ起こるか予測するコンピューターソフトが開発されたというのです。いやはや。時代はここまで来たかという感じです…。
東日本大震災も予知し、被害を防げた!?
 2月4日付英BBC放送(電子版)が報じています。見出しがスゴいです。「
News headlines used to predict future events(=ニュースの見出しは、未来の出来事を予想するために使われる)」。
 記事によると、このソフトは、計算機科学に関する研究を目的に1991年9月に設立された米マイクロソフト社の関連機関「マイクロソフトリサーチ」と、中東イスラエルにあり、米国のMIT(マサチューセッツ工科大学)と並ぶ工学系の世界最高峰「テクニオン-イスラエル工科大学」が共同で開発したそうです。
 BBCや、MIT傘下の世界最古の技術系雑誌、MITテクノロジー・レビュー(2月1日付電子版)の説明によると、使用されるニューヨーク・タイムズ紙の記事は現在、1986年から2007年までの22年分で、このデータにネット上に流れるさまざまなデータやニュースを組み合わせるそうです。未来に起こる出来事の中でもとりわけ、暴動や大量の死者が出る事件事故、疫病の発生の予測に重きを置いており、的中確率は70%〜90%にも達するといいます。
干魃、暴風雨、コレラ…発生間隔の“波”発見
 そして、このソフトを開発した2人の研究者の論文なども紹介されていました。マイクロソフトリサーチの科学者兼共同責任者、エリック・ホロビッツ氏とテクニオンのキラ・ラディンスキー博士との共同名義によるこの論文によると、過去のニュース記事とリアルタイムのニュース情報などを組み合わせてみると、アフリカでの干魃(かんばつ)や暴風雨とコレラの発生には明らかな関連性がみられたといいます。
 例えば、分かりやすい例だと、1973年のニューヨーク・タイムズ紙では、南アジアのバングラデシュ人民共和国で干魃が起こったと報じ、翌74年には伝染病のコレラが流行したと報じています。そして同じニューヨーク・タイムズは83年、バングラデシュで干魃が起こり、84年にはコレラの流行で多くの死者が出たと報じています。
 さらに、このソフトは、GDP国内総生産)や立地場所、人口密度などが似ているアフリカの2つの都市、ルワンダアンゴラのさまざまな出来事に関連性を見いだしている-などと説明しています。
 ラディンスキー氏とホロヴィッツ博士は「コレラ発生の危険性は事前に警告されていると考えるべきだ」と説明し「これまでから、この地域での干魃やコレラの発生に関してさまざまな研究が行われてきたが、それらは未来を予測するためではなく、コレラが発生するまでの過程、つまり過去を振り返るために使われてきた」と明言。
 このソフトを使えば「その道の専門家が、過去の膨大な観測データを元に行う予測が軽微に考える極めて発生可能性が低い未来の出来事の予測にも大いに役立つ」と胸を張ります。
 ホロヴィッツ博士はMITテクノロジー・レビューに「ここ数十年で、世界の主要な事柄はすっかり様変わりしてしまったのに、人間の行動や物の考え方、そしてわれわれを取り巻く環境の多くは何も変わっていない」と苦言を呈し、論文で「このソフトは(将来)疫病や災害の発生以外の出来事の予測にも使われるだろう」と述べています。
 2人によると、当面、このソフトを商用で使う考えはないといい、今後も精度を高めるための研究を続ける考えだそうです。
航空機事故を“予言”したメディアも…いじめ問題も解決?
 この原稿を書きながら、2人の言い分にも研究内容にも大いに納得しました。
 新聞社には「資料室」といって、過去の記事をさまざまな項目別に分類して保管している場所があります。いまは過去記事をネットで検索する記者が多いですが、かつてはみんな、資料室にこもって過去記事を探したものですが、過去記事を丹念に調べていくと、本当に不思議なのですが、確かに同じような事件や事故などが、一定の周期で発生していることが分かります。
 特にその傾向が顕著なのが航空機事故で、噂によると、他社の記者で、資料室にこもりっきりで航空機事故の発生周期を調べ続け「今度はこの年にデカいのが起こる!」と確信、しっかり準備していたら本当にその年に、でかい航空機事故が起こり、慌てふためく他社を尻目に圧勝した、という逸話があるそうです。
 しかしホロヴィッツ博士が指摘するように、記者も大抵は過去の出来事の分析に終始しています。未来を予想しようという発想はあまりありません。「●年に●で大事故が起こりますよ!」と叫んでも「夕べ飲み過ぎたんか?」とアホ扱いです。
 しかし、過去記事と現在の進んだネット技術が融合すれば、あらゆる出来事の予測は理論上、というか、かなりの精度で可能だと思います。米グーグルのように「人間の行動や考えは、数値化することですべて解き明かせる」と豪語し、世界中の人々の膨大な検索履歴を日々、貯め続けているネット企業もあります。
 このソフトがこれからどんどん進化すれば、将来、日本でも、大事故をはじめ、大地震の発生といった天変地異の予測だけでなく、犯罪の予防にも大いに役立つでしょう。グーグル流に言えば、学校や職場でなぜ集団いじめが発生するのかといった人間の行動や考え方の根源的な謎にもある程度、迫れるのではないかと思います。
 とはいえ、当然ながら知りたくない未来もあるわけで、そういう意味では「何でも知りたい」という人間の欲深さにも辟易(へきえき)してしまいます…。
(岡田敏一)

 【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部などを経て現在、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当。ロック音楽とハリウッド映画の専門家。京都市在住。