藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

これからの新体制

二十一世紀に入って十年余が経ち。
過去を振り返り、未来を考えれば「今が変わり目」だという。
けれど、いつの時代もその当事者にとってみれば「変わり目真っ最中」という感じで、なかなか客観的に、それこそ岸の水際に立って川の流れを眺めるような立場ではいられないだろう。

大抵は「一緒に流れに乗りながら、船の上で」やれ流れが速いだの、潮目が変わっただの、水かさが増減しただのと「感じていること」をその場その場で発言しているようにしか見えない。
過去を見れば、日本でも江戸以降の時代の変遷は、それ以前とは似つかない(産業革命もあったし)、まったく「新しい時代」のように思えるが、それはそれでこれからの日本がどうなるか、とかまた国際関係がどうなるか、ということはいろいろと推測ができるように思う。

戦前、そして大戦後とこれからの大きな違いは、恐らく大国同士の戦争はなくなり、しかし欧米、ロシア、中国のような一国支配もなくなる。
結局大陸を中心に再び「緩いブロック型」の群雄割拠になり、しかしこれまでのような「戦争頼み」ではない新しい地域連邦型の世の中になるのではないだろうか。

グローバル経済も金融を中心に一通り行きわたり、しかしボーダレスはそれほど永続的ではないことも経験して、結局地球上は8つ位の地球連邦国家になって、ある程度地政学的にも、宗教的にも距離を置きながら分化してゆくのではないだろうか。
経済的な、あるいは宗教的、民族的な争いは永年なくならないだろうけれど、そんな中で「地域単位、国単位」でユルい統治ブロックができてゆくのではないだろうか。
その意味では先駆けたEUは非常に先進的な試みだったと思う。さすがローマ、ゲルマン。

ウクライナの独立などはその走りであり、これから百年ほどはそんな「地球連邦化の時代」がやってくると思える。
ネットが発達したことも大きいし、いよいよ「地球レベルであれこれ考える」というインターナショナルの時代になるだろう。
そう考えれば、あながち「人間はダメでしかない存在」でもないと思えるのだけれど。

叡智が勝つのが人間だ、と思いたい。

ウクライナ危機が導く太平洋版NATO 中国けん制  編集委員 高坂哲郎
2014/3/20 7:00
日本経済新聞 電子版

高坂哲郎(こうさか・てつろう) 90年日本経済新聞社入社。国際部、政治部、証券部、ウィーン支局を経て11年国際部編集委員。専門分野は安全保障、危機管理、インテリジェンスなど。
高坂哲郎(こうさか・てつろう) 90年日本経済新聞社入社。国際部、政治部、証券部、ウィーン支局を経て11年国際部編集委員。専門分野は安全保障、危機管理、インテリジェンスなど。

 冷戦時代、北大西洋条約機構NATO)の意味合いを表す言葉として「ソ連を欧州から締め出し、米国を欧州に引き入れ、ドイツを抑え込む」というのがあった。ソ連の西欧侵攻を抑止し、時として孤立主義に傾く米国を西欧防衛に関与させ、2度の世界大戦を引き起こしたドイツを安定した同盟国に変えるのがNATOだったというわけだ。では仮に今「太平洋版NATO」ができた場合、どんな効果が期待できるだろうか。

関連記事
・3月7日 産経新聞朝刊「目指すアジア版NATO 集団的自衛権行使容認 首相、石破氏に調整指示」
・3月17日 INTERNATIONAL NEW YORK TIMES“In Kremlin, a craving for a new cold war”

■中国の台頭に対抗

今年2月、日米豪合同訓練に参加するためグアム島に駐機する航空自衛隊のF2戦闘機=共同
今年2月、日米豪合同訓練に参加するためグアム島に駐機する航空自衛隊のF2戦闘機=共同

 第一に、日本や米国、オーストラリアなど、民主主義と市場経済という価値を共有する国家群が、中国の軍事的台頭に力を合わせて対抗できる。近年、日米豪の3カ国による閣僚会合や共同訓練はごく普通の光景となった。豪海軍艦艇が米海軍に一時的に組み込まれる形で日本近海にいることもある。これを正式な多国間同盟にし、NATOがベルギーのモンスに設けている常設軍事司令部と同様のものを設ければ、武力侵攻やテロ、大規模な自然災害などに今よりも機動的に対処できる。

 南シナ海で中国と対立を深めるフィリピンや、北極海沿岸の地下資源への野心を見せる中国に警戒を示すカナダなどの参加も期待できるかもしれない。

今週の筆者
月(国際) 飯野克彦
火(企業) 田中陽
水(企業) 西條都夫
木(軍事) 高坂哲郎
金(企業) 村山恵一
 NATOは、オーストリアフィンランドといった中立の非加盟国と連携する「平和のためのパートナーシップ」など各種の協力枠組みを持っている。こうした仕組みを太平洋版NATOにもつくれば、非同盟政策を掲げるインドや、共産主義国家ではあるが中国と対立関係にあるベトナムなどとの協力強化も可能になる。

 韓国は中国の陣営に去ろうとしているようにも見える。一方で、太平洋版NATOは、今後の展開次第では、親日的な台湾を仲間に迎え入れることができるかもしれない。かつてソ連に併合されていたバルト3国が独立を回復し、今やNATO加盟国であるように、時間はかかっても状況が大きく変わり得るのが国際情勢なのだ。

 第二の効能として、米国を東アジア防衛により強く関与させる手段となる。日本のあるベテラン外交官は「いまや米国の孤立主義は、中国の台頭と並んで日本にとって脅威だ」と語る。多国間同盟の方が、米国は同盟上の義務をおろそかにしにくくなる。相手が複数だからだ。

日米共同演習で集結する艦船(2013年11月28日、沖縄県南東の海上
日米共同演習で集結する艦船(2013年11月28日、沖縄県南東の海上

 第三に、ドイツが戦後、NATOの傘の下で周辺の欧州諸国と和解したように、太平洋版NATOの下で、加盟国の関係がより緊密になるかもしれない。

 日本がNATO型の多国間同盟に参加するには、国連憲章がすべての国に認める集団的自衛権の行使を自粛するという、世界的に見れば特異な安保政策の修正が欠かせない。そして、それは既に政治の場で議論されている。また、自衛隊ソマリア沖海域での海賊取り締まり活動に参加したことを踏まえ、「日本は既に多国間軍事作戦に踏み込んでいるのだ」(元米政府高官)とみる向きもある。

■過去には「副作用」論も

 実は日米豪などの安保関係者の間では、太平洋地域にもう一つのNATOをつくるアイデアは以前からあった。ただ、これまで真剣に検討されてこなかったのは「副作用も考えなければならない」という見方が大勢だったためだ。中国の軍備増強を加速させ、さらにロシアを中国側に追いやりかねない、という配慮があったのだ。

 ただ、今回の「ウクライナ危機」が大きく前提を変えようとしている。実力で国際秩序を変更する姿勢を隠そうとしないロシアは、東シナ海南シナ海で周辺国と摩擦を強めるばかりの中国と同じ側に行ってしまった感がある。「太平洋版NATO」を構想する国々の側は、もはや「遠慮」を続ける理由はなくなろうとしている。