藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

グラウンディング。接地。

Yahoo!ビジネスニュースより。
「怒りに火が付く」とよく言うが、自分がそんなになっている、という印象は案外薄い。

よく「キレた」というけれど、自分がカッとなっても後から「俺って自分を失っていたな」と回想できる人はそう多くないと思う。

「我を忘れる」というのが感情が勝っている状態の描写なので、あえてそういう現象を「アンガーマネジメント」などと言わなくてもいいのにとも思うが、最近の先進国民の「キレやすい」という性質が、かつてない現象なのだとすれば、その「頭でっかちで感情が先鋭化する減少」については、「納め方のコツ」というのもあっていいのかもしれない。

ここ数十年は、特に日常生活に物資が溢れているせいもあり、あまり「他人とコミュニケーションしなくてもよい」という生活状態にある人(特に若者)は多い。
徐々に社会に慣れることもなく過ごし、急に二十、三十代になって「赤の他人」と接してみれば、文化や価値観の差についていけず、またそしてそうした摩擦を「怒り」に感じることも無理のないことなのかもしれない。

昔ならば、社会やご近所や家族に「ある種理不尽でもある人と人のしがらみ」のようなことを今は学ぶ場がないとすれば、アンガーマネジメントならぬ「感情の納め方」という妙だけれど納得感のあるテーマも必然的に表れて来たのだろう。

それにしても「イライラが沸騰したとき」にマニュアル的にそれを制御しようという話と、またその様子を「グラウンディング=基礎、接地」というのは面白い表現で、現代人にこそそういう「マニュアル的技術」が求められているのだと思うと、いよいよ「予め定義されているかいないか」ということが、自分にとっての「受け入れの判断」になるような時代になっている。
「聞いてないよ」という言葉が一時流行ったが、聞いていないことは「処理できません」ということが常識になりつつあるのを感じる。

「聞いてないこと」を土壇場で聴く、というのはある種不条理なことなのだが、「そういう不条理」こそが生物が共生していくときの大事な要素なのではないか、と思う。

火がついた怒りやイライラを一瞬だけ抑える「衝動コントロール」の方法
怒りやイライラの衝動をコントロールする方法

これまで、怒りやイライラの感情をコントロールする方法をいくつか紹介してきました。

とはいえ、「感情のコントロールができない人の特徴と対策」、「怒りやイライラをすぐに解消する「マトリックス図」の使い方」などは、中長期的に怒りやイライラを抑える考え方や方法でした。衝動的に沸騰した感情のコントロールには向いていません。そこで今回は、瞬間湯沸かし器のように火がついた怒りの感情をコントロールする方法を解説します。「グラウンディング」という技術です。

アンガーマネジメント「グラウンディング

怒りやイライラの感情をコントロールする「アンガーマネジメント」では、「グラウンディング」という技術を紹介しています。「グラウンディング」とは、意識をある物事・事象にフォーカスさせ、怒りの感情を強制的に他へ向けることです。我を忘れそうな怒りを覚えたとき、とっさに身の回りにあるものに目を向け、細かいディテールに意識を焦点化させましょう。以下のような具体例があります。

● 携帯電話やスマホの傷を数える

● ボールペンの名称を一字一句黙読する

● 手のひらの皺の数や長さなどを観察する

……などなど。グラウンディングの目的は、怒ったとき、イラッとしたときに、衝動的な言動をしないよう、冷静さを取り戻すまで時間稼ぎをすることです。そして時間が経過したうえで、先述した「マトリックス図」などを頭に描いて論理的に怒りのコントロールをするのです。

怒りやイライラの感情を論理的にコントロールしようとしても、火がついて衝動的になっているときは、論理思考が正常に機能しないこともあります。自暴自棄になったりする前に、とにかく冷静になること。衝動を抑えることをお勧めします。

私の場合、カッとなったら、まず「グラウンディング」をしてから冷静さを取り戻す試みをします。そして少しでも火が沈静化したら、無言でその場を離れ、周辺を歩き回ったり、トイレへ行ったりして距離を置きます。時間や空間に「間」が入ることで、衝動的にこみ上げた感情を分解し、いま自分がどういう言動をすべきか論理的に判断することができます。

誰にでもある失敗体験。もう二度と繰り返さないために……

ちょっとした出来事で、怒りに火がつくことがあります。しかし衝動的にやってしまったこと、言ってしまったことで失敗した経験は誰にもあるでしょう。「グラウンディング」ですべてを解決できるわけではありません。しかし強引に「間」を作ることで、自分の感情を客観視できるチャンスが与えられます。腹が立ったときは、身近なものに視線を向け、細かい文字や傷、デザインなどに意識をフォーカスする「グラウンディング」を試してみてください。


横山 信弘
経営コンサルタント

現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。「絶対達成する部下の育て方」「絶対達成マインドのつくり方」「営業目標を絶対達成する」など、「絶対達成」シリーズの著者。年間100回以上の講演、セミナーをこなす。ロジカルな技術、メソッドを激しく情熱的に伝えるセミナーパフォーマンスが最大の売り。