藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

甘さと甘え。

意思の力を鍛える、という心理学者の取材コラム。
スタンフォードの自分を変える教室」とのことだが、よく考えれば外国人特にアメリカ人はこういう話が無類に好きなことに気づく。
自分も結構惹かれる方なのだが、結局は「耳触りのよい甘言」である場合が多く、つまり殆どの自己啓発書はあまり意味がない、と思うようになった。

自分の体にせよ、心にせよ、何かの「栄養とか負荷がないことには強くならない」ことくらい、正気で考えれば分かりそうなものだが、ついついキャッチーな言葉に引きつけられて、毎回同じことの繰り返しになる、ということにこの年になると疲れもあって分かってくるのである。

コラムのなかでケリー教授は
「思いやりを持って失敗を振り返り、自分を許すことで、やけを起こしにくくなる」と話している。
自棄(やけ)を起こす、というのが自分の弱さであること。
自棄を起こすくらいなら自分を許してやること。
というのは「ヤケに走る人」については有効な施策なのだろう。

コンプレックスは誰にもあるものだし、また心理状態によってはストレスに負けそうになることもあるだろう。
そんな時はぜひそんな「セルフ慈悲心」は覚えておいていいのかもしれない。

けど。
けれどである。
自分を許すのは最後の手段である。
いつも自分を許して、何も成さない人はとても沢山いるものである。
そんな人間の中で「厳しさ」をとことん持ち続ける人だけが「鍛えられる存在」になるのであろう。
なのでいつ自分を許してやるのか、ということを日ごろ考えておく必要があると感じたのである。
究極の許し、は必要になることがあるかもしれないと思うのである。

(元気のひみつ)心理学者 ケリー・マクゴニガルさん
■失敗した自分を許そう

 人はなぜ誘惑に負けてしまうのか。どうしたら意志の力を鍛えられるのか。科学的な知見をもとに方法を伝える『スタンフォードの自分を変える教室』の日本語版が昨年、ビジネス部門のベストセラー1位となった。

 「例えばダイエットを決意したのに過食してしまったとき。どうせ自分はダメな奴(やつ)、と厳しく自己批判すると、罪悪感の反動でますます過食に走ってしまう。思いやりを持って失敗を振り返り、自分を許すことで、やけを起こしにくくなるんです」

 にこやかに話す姿からは想像しにくいが、7歳の頃からひどい頭痛に悩まされてきた。痛み止めが効かず、しばしば毛布にくるまって耐えた。

 転機は大学院時代に訪れた。「医学の講座で、痛みを排除するのではなく、痛みにも意味があるんだと受け入れることを学んだ。そう意識を変えることで、他のことにも集中できるようになったんです」。いまも頭痛は起こる。だが、ヨガや瞑想(めいそう)にも本格的に取り組み、痛みを和らげるすべを身につけた。

 「ストレスも同じ。害になると思うと病につながるけれど、集中力を高め、自分にとって大事なことを教えてくれるサインと思えば、心身にプラスに働くという研究結果も出ています」

 ファッションを「とても創造的なこと」と楽しみ、日本では原宿がお気に入りの場所だ。(文・佐々波幸子、写真・郭允)

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 1977年米国生まれ。スタンフォード大学の心理学者。専門は健康心理学。『スタンフォードの自分を変える教室』は中国など約20カ国で翻訳。日本では60万部を突破し、図解版も出た。雑誌「インターナショナル・ジャーナル・オブ・ヨガ・セラピー」の編集主幹も務めた。双子の妹ジェインはゲームデザイナー。