スイスの所得保障が毎月30万円になるかもしれない。
GIGAZINEより。
年金生活者、という言葉も半世紀前とはずい分違うニュアンスになってきた。
昔はもう本当の「余生を送る人」だったのが今や第二の人生がまだ三十年もある…という感じで、それはそれでとっても長い感じがする。
人生90年とすれば、あと三分の一あるわけでもう「おまけ」の範囲ではない。
昨今ではこの三十年の過ごし方で三千万円必要だ、とか介護になれば、という報道を見ない日はないけれど、結局「安心の保証」があればもう少し議論も前向きになるのじゃないだろうか。
年金が嵩む→財源が足りない→現役世代にしわ寄せ→消耗感と将来不安、というネガティブの連鎖ばかりが強調されているけれど、「衣食住は心配しないで→ともかく安心」という連鎖を考え出すスイス人の発想と言うのはあっぱれである。
どうしても「働かざるもの、食うべからず」という気風があるけれど「そこ」で議論していてはずっと埋まらない溝があると思う。
「みんなで働こうよ。でも無理しなくてもいいよ。」というのは性善説に過ぎるだろうか。
自分はそっちのほうが気持ちが楽になる気がするのだが。
2016年02月01日 12時30分00秒
働かなくても毎月30万円もらえる所得保障制度導入の是非を決める国民投票がスイスで行われることに
By Pictures of Money
一律に月額2500スイスフラン(約30万円)の最低所得保障を行うべきかどうかを決める国民投票がスイスで実施されることになりました。国民投票が可決されると、スイスでは働こうが働かまいが月額30万円が支給されることになります。
Switzerland will be the first country in the world to vote on having a national wage of £1,700 a month | Europe | News | The Independent
http://www.independent.co.uk/news/world/europe/switzerland-will-be-the-first-country-in-the-world-to-vote-on-having-a-national-wage-of-1700-a-month-a6843666.html
スイスでは、全成人国民に対して無条件で月額2500スイスフランを支給するベーシックインカム制度の導入を求めて国民投票(レファレンダム)を行う運動が2013年には12万人以上の署名を集めており、世界でも類を見ない手厚い保障のベーシックインカム制度を実現させようとする活動が行われていました。なお、スイスでは10万人以上の署名を集めた国民発議(イニシアチブ)については、憲法改正を要求することができる仕組みが採られています。
スイスで考案されている所得保障制度は、成人国民には月額2500スイスフラン(約30万円)、未成年者には月額625スイスフラン(約7万5000円)が支給される仕組み。制度に必要な費用の大半が税金によってまかなわれる予定です。しかし、制度導入に伴って既存の社会保障制度の一部を打ち切り、所得保障制度に一本化する予定。所得保障制度でかかる費用の約4分の1分は廃止される既存の社会保障制度の費用から捻出する予定で、複雑な社会保障制度をシンプルな所得保障制度に一本化することで、行政コストを削減できる効果も期待されています。
The Localが行ったスイス国民に最低所得を保障をするベーシックインカム制度の導入の是非について尋ねた調査報告によると、「最低所得保障制度が導入されたら仕事を辞める」と答えた人はわずかに2%で、「状況次第で仕事を辞める可能性がある」と答えた人は8%だったとのこと。手厚い所得保障制度の導入によっても仕事への意欲が大幅に低下することにはならないという調査結果が、国民投票実施への大きな後押しとなっています。
安定した生活を保障されることでゆとりが生まれ、少子化対策、貧困化対策としてうまく機能してかえって生産性が高まるという楽観論や、「富の配分にあたってスタートラインをゼロにする必要はない。2500スイスフラン(約30万円)からスタートしたって良いではないか」という先進的な意見がある一方で、税金が高くなることへの不満や労働意欲の低下をまねくのではないかと心配する声や、働く者と働かない者との不公平の問題が生じ得ることへの不満といった、所得保障制度導入への根強い反対意見もあるとのこと。
By Pictures of Money
成熟した先進国であるスイスで手厚い保障を約束するベーシックインカム制度が果たして成功するのか。世界中の注目を集めそうな所得保障制度の是非を問うスイスの国民投票は2016年夏に行われる予定です。