藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

成長とともに


長らく赤字続きで揶揄されていたamazonが、利益を出し始めた途端に「ブラック企業呼ばわり」されている。
思うに、一定以上の規模になったり利益を出し始めた企業というのは「そういうことを問われやすい」ということだ。
ベゾスCEOの「これが企業文化だ」という表現は本音なのだという感じがする。

世界中の多くのベンチャー企業ではそもそも「労働環境うんぬん」なんてことは問われない。
そういうメンタリティの人はそもそも劣悪なオフィスにいるベンチャーには来なかったから。
翻って、会社の労働環境とか、労働条件とかが問題になり始めたら「少し成熟期にある会社」と思っていいと思う。
これまでは海賊ベンチャーで好き放題にやってきたけれど、ようやく「規模的にも社会の一員としてルールに則る存在」になってきたということだ。

国や行政の決める労働のルールってどうしても弱者保護とか、一定以上の「水準維持」が課せられるものである。
最低賃金や残業時間の制限をなぜ国が決めるのか?という疑問はともかく「社会の一団(の中の一員)」としてのルール遵守というのは必要なことなのだ。
二十代の頃、「何だそんなルールは!」と無茶に突っ走っていたのは「そんな小さな存在」でしかなかったからだろう。

一定以上の存在になって、初めて社会のレギュレーションに触れて、改めて経営姿勢について考える。

IPOした経営者の多くは"窮屈だ"というけれど、「がむしゃらと遵法」というのは企業が成長する過程では踏まねばならないプロセスなのに違いない。

GIGAZINEより。
2016年04月06日 15時00分00秒
「『Amazonのやり方が正しい』とは言わない、しかし20年で根付いた文化だ」とベゾスCEOが発言
By Sam Churchill

Amazonが史上最速で年間売上高100億ドル(約1兆1000億円)を達成しました。その偉業を報告する株主に向けた書簡で、ジェフ・ベゾスCEOが具体的な業績に触れる前に、有力メディアから指摘されたAmazonの雇用環境の劣悪さについて反論し「Amazonの文化とは何か」について解説しています。ベゾスCEOの言葉は破竹の快進撃を支えるAmazonの強さの源が何かが伝わる内容になっています。

EX-99.1
http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1018724/000119312516530910/d168744dex991.htm

Amazonの職場環境が過酷なことは倉庫作業員を体験した記者の潜入レポートなどから広く知られることになりました。中でも、アメリカの大手新聞社The New York Timesが2015年8月に報じた「Amazonの内情:過酷な職場でのビッグアイデアとの格闘」という記事は、Amazonの職場環境を従業員の証言をもとに赤裸々に明らかにしたものとして注目を集め、Amazonから反論が出されThe New York Times側も再度反論するなど、議論が白熱していました。

AmazonThe New York Timesのバトルについては以下の記事で確認できます。

Amazonの批判と称賛が入り乱れる職場環境とは? - GIGAZINE


ベゾスCEOは「The New York Timesの記事の内容は、私の知るAmazonではない」と記事の内容を批判していましたが、記事掲載から約8カ月たった株主への業績報告で、名指しこそさけたものの、The New York Timesの記事に対する反論を再び行っています。

史上最速で年間売上高100億ドル(約1兆1000億円)に到達したAmazonの業績を報告する投資家向け広報の中で、ベゾスCEOは具体的な業績動向について述べる前に、「企業文化について一言」と切り出して、Amazonの「企業カラー」を説明しています。

良くも悪くもAmazonの企業文化は、永続的に忍耐強くそしてハードに変化しています。それは有利にも不利にもなり得ます。
それは長い年月をかけて社員やイベントによって培われてきたのものです。
過去の成功のストーリーや失敗のストーリーは企業の深い部分で受け継がれてきました。
もしそれが特異な文化だとすれば、カスタムメイドのグローブのようにフィットする人もいればフィットしない人もいるでしょう。
企業文化が安定している理由は、従業員によって自発的に選ばれたからです。競争心のある情熱を持つ人はある企業文化を選ぶでしょうし、開拓や発明の精神を愛する人はまた別の企業文化を選ぶでしょう。
私が言いたいことは、ありがたいことにAmazonは多くの優秀な社員と独自の企業文化であふれているということです。
「私たちのやり方が正しい」と主張するつもりはありません。しかしそれは、過去20年以上にわたって、同じ志を持つ人たちによって築きあげてきたものです。Amazonのやり方に情熱と意義を見いだした人たちです。

ベゾスCEOの発言は、見方によっては「情熱なき者、能力なき者は去れ」と解釈されるおそれがありそうですが、過去20年間でAmazonの規模を拡大してきたのがベゾスCEOのいうAmazonの企業文化であることは紛れもない事実です。ベゾスCEOが投資家に向けてAmazonの企業文化について何よりも先に説明したことは、投資家にもAmazon文化の是非の「選択」を迫ると同時に、今後もAmazonのやり方を変えるつもりはないという強い決意表明と言えるかもしれません。

By Xabier Cid