藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

政治もこれから。

ネットの普及で様々な内部告発が当たり前になり、パナマ文書で世界的に「富の偏在」が知られるようになった。
まだ今の時代だからこうした話題で住んでいるが、近いうちに「税金回避」とか「マネーロンダリング」という言葉は昔の言葉になるのではないだろうか。

電子マネーがどこまで普及するかはともかく、実際の現金のやり取りもそのほとんどが「電子送金」になっている。
それぞれの送金の記録が銀行側に残ってしまうわけで、もう既に「相対現金取引」というクラシックな方法以外には「秘密の資金移動」は難しい。

自分は将来はすべての現金に"ID"が付くと思っていて、そうなったら「闇取引」も「タンス預金」もできなくなるだろう。
ようやくそうなって「富の偏在はどうか」とか「税金とか社会保障費とか行政の費用とか」が具体的に見えてきて、正常な過不足の議論になるのだろうと思う。

ネットや情報化は、そうした「今まで知らなかったこと」を見えるようにして、ようやく考える土俵にみんながつける、という役割を担っているのに違いない。

これまでの権力層の「大人と子供」の関係が、ようやくフラットで「誰にも見える世界」になるのだろう。
本当の政治はこれから始まるのではないだろうか。

富裕層の資産、ガラス張り 日本も課税包囲網に参加
 富裕層への課税を強化している日本の国税当局が、海外資産を把握するための新たな手段を手に入れる。2018年、各国の税務当局間で口座情報を交換する仕組みが始まる。パナマ文書問題などで租税回避に対する批判が高まるなか、どこまで効果を発揮するか。

東京国税局の富裕層を専門に調査するチーム(東京都中央区

 「富裕層の資産が丸裸になる。威力はすさまじいものになる」。18年9月までに稼働する「CRS」に対する国税当局幹部の言葉だ。その評価は決して大げさではない。

■瞬時に情報交換

 CRSは(Common Reporting Standard=共通報告基準)の略称。海外の金融機関を使った租税回避への対応を目的に、経済協力開発機構OECD)が策定した。各国の税務当局が自国の金融機関から氏名や住所、口座残高、利子・配当の年間受取額などの報告を受け、自動的に交換する。

 これまでも情報交換は行われていた。個人や法人を特定し、書類で提供し合う方法などが主だった。新たなシステムがまったく異なるのは、大量の口座残高などの情報を電子データで瞬時に交換することにある。

 イメージはこうだ。○月×日。スイスの税務当局から国税庁にデータが届く。スイス国内の銀行や証券会社にある日本人名義の口座情報だ。各地の国税局や税務署が申告状況と照合した結果、都内の会社経営者に不審な点が見つかった。スイスに20億円分の預金があるのに、海外で一定以上の資産を持つ人に義務付けられた書類(国外財産調書)が提出されていない。「隠し財産ではないか」。東京国税局は本格調査の検討に入った。

 CRSには日本を含む101カ国・地域が加わる見通し。米国は加わらないが、英領ケイマン諸島など多くの租税回避地タックスヘイブン)も参加する。東京都内のある男性税理士は「国税当局にとって、CRSで得られる情報は宝の山になるだろう」とみる。

 「これまで申告していない財産がばれてしまうのか?」。都内の税理士は最近、こんな相談を相次いで受けた。金融関係者によると、CRSに参加しないカンボジアへの投資に関心を持つ人もいるという。

 国税当局の期待は、富裕層調査が難しくなっている現状の裏返しだ。相続税で現場に赴いて調査する「実地調査」の件数をみると、15事務年度は1万1935件。ピークの1998事務年度から2割弱減った。申告漏れの金額も約3千億円と、ピーク(95事務年度)からほぼ半減した。

 デリバティブ金融派生商品)を組み込むなど金融商品が次々開発され、海外に投資する富裕層も増えた。一国だけで個人の資産をつかむのが難しくなっている。13年から処分理由を文書化するなど税務調査のルールが厳格になり、事務作業が増した影響もある。

 しかし昨年表面化したパナマ文書で、企業や富裕層の課税逃れの実態が浮き彫りになり、「税の公平性」への関心が世界的に高まった。国税庁の迫田英典長官は「濃密なネットワークを形成することが重要。資産がガラス張りになればけん制効果も働く」と言う。

■エース級が調査

 包囲網は狭まりつつある。東京・築地市場近くにある東京国税局の8階に「富裕層プロジェクトチーム(PT)」がある。30〜40代のエース級職員10人で構成。経験とノウハウを生かし、看板通り、富裕層に絞った税務調査を続ける。

 富裕層PTは14年に東京、大阪、名古屋の各国税局に設置された。キーエンス創業家による1500億円超の贈与税申告漏れなどを手掛けた。

 一気に狭まる富裕層への課税包囲網。ただCRSの効果には懐疑的な見方もある。口座の「真の所有者」を金融機関が特定するルールだが、他人や企業の名を借りた口座をどこまで突っ込んで調べられるのか。

 米国の不参加も実効性を弱める。日本と資金移動が多い国の一つが漏れることは抜け穴になりかねない。国際化、複雑化する富裕層の資産を捕捉できるか、国税当局の力量も問われる。(川瀬智浄)