藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

一週遅れが先頭になること。

軍政から明けたミャンマーでネット利用が格段に進んでいるという。
十数年前、ミャンマーに仕事でよく行っていたが現地の高官が

我われは先進国に"まる一周"遅れている。
だから色んなことを勉強できる。

最後発がいつか先頭に立つことを目標にしている。

と真顔で話していたことを思い出す。
翻って、今の先進国は「忘れられる権利」だの「プライバシー」だの「個人情報」だの「業界団体の反発」だのでがんじがらめ。
一つ一つのルールは必要なことだが、全体でみると「なんじゃこりゃ」となっている。
(こういうのを誤謬というのだろう)

そういう先進国たちの悲しき愚かさを見ながら、ゼロベースで考え直す土壌がミャンマーにはある。
国自体がベンチャーなのだ。
冗談じゃなく、自分たちがお手本にする日が来るかもしれない。

ミャンマーのネットVB、はや開花 配車や電子決済

 ミャンマーでインターネットサービスを提供するベンチャーが早くも勃興している。配車や旅行予約のOway(オーウェイ)、決済代行の2C2Pなどが相次ぎ登場。スマートフォンスマホ)の普及を追い風に急成長している。携帯電話通信網の整備や第4世代の高速通信サービス(4G)の導入も進むことから、ミャンマーのネットビジネスはさらなる進化が期待されている。

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 交通量が急増する最大都市ヤンゴンで後部ガラスに「OWAY RIDE」のロゴを付けたタクシーが目立ち始めた。スマホの専用アプリを通じて配車を申し込めば、市内を走る約4千台の中から、最も近い車両を呼び寄せる。

 医薬品卸業のシン・シン・アウンさん(52)は「最近は渋滞で市内の駐車スペースがないため、タクシーが欠かせない。数分でタクシーを呼べるオーウェイはとても重宝する」と喜ぶ。市民の間で評判が広がり、アプリの累計ダウンロード数は15万を超えた。

 「ミャンマー版ウーバー」ともいわれるオーウェイを2012年に設立したのがネイ・アウン最高経営責任者(CEO)。米スタンフォード大で経営学修士号(MBA)を取得し、シリコンバレーのネット企業での就業経験もある。ミャンマーでは主に外国人をターゲットとする旅行予約サービスを始め、約700軒のホテル、約50の航空会社と取引があり、大手の一角を占める。

 ネイ・アウンCEOは事業の主軸を外国人からミャンマー人に変えようとしており、配車事業はその第1弾だ。「2年後に2万5千人以上の運転手を集め、既存の旅行ビジネスとの相乗効果も目指す」と意気込む。オーウェイは昨年、国際金融公社(IFC)から300万ドル(約3億円)の融資の提案を受けるなど、海外からも成長企業として注目を集める。

 ミャンマー経済は東南アジアの中でも後発で、携帯電話の普及も14年に始まったばかりだ。

1万2000店加盟

 軍事政権時代はネットを利用できるのは国民の1%に満たなかったが、14年夏、携帯電話市場の外資開放をきっかけに状況は一変。携帯普及率は3年で1割から100%近くに急伸し、その7割はスマホを使う。通信網も広がり、ベンチャーの台頭を後押ししている。

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 スマホの機能を活用した使い勝手の良さに加えて、旧態依然のサービスや制度を改善する役割を果たすことも人気の秘密だ。オーウェイが導入した距離に比例する料金体系はその典型。ミャンマーでは一般的だった運転手との料金交渉が必要なくなり、透明性も高い。

 同社と並ぶ成長株は電子決済サービスの2C2P。ミャンマーで昨年、銀行口座やクレジットカードを持たない消費者から、公共料金やネット予約した航空券の支払いを受け付ける「ワンストップサービス」を始めた。

 支払いを請け負う代理店はスマホで専用アプリをダウンロードすれば、利用者から受け取ったお金を2C2Pの銀行口座を経由し、別の代理店や電力会社の口座などに振り込める。特殊なPOS端末の設置が不要なため、都市部のコンビニに加え、農村の雑貨商など約1万2千店が加盟する。2C2Pは年内に3万店に増やす計画だ。

 ミャンマーは1980年代に2度の廃貨を実施したことなどから、市民の銀行への信頼度は低く、現金主義が根付いている。銀行店舗も少なく、銀行口座を持つ人は人口の3割前後にとどまる。2C2Pのワンストップサービスを使えば銀行口座が要らないため、利用者が急増している。

 他にも交通情報配信サービスのBスマート・テレマティクスミャンマーなどが事業を急拡大させている。

4G導入へ

 一方で伸び悩むのがネット通販だ。全国的な宅配網を持つ物流企業がなく、米アマゾン・ドット・コムが未進出であるほか、有力なネット通販はみあたらない。ただ、経済成長に加え、近代的な商業施設が少ないことから、成長性は高そうだ。

 ミャンマー運輸・通信省は今春以降、4G向けの通信帯域を開放する予定だ。4Gが相次ぎ導入されれば、ネット環境は一段と整備される見込み。「本格的なブロードバンド時代が到来すれば、ネットビジネス全体の成長性を浮揚させる」(2C2Pのアウン・チョー・モーCEO)との声も上がっている。

 ミャンマーの新時代を担うネットベンチャーの勃興に期待が集まる。

ヤンゴン=松井基一)