世界中で進むキャッシュレスの正体は。
便利だから、と一見、みえる。
が。
実はそうなのだろうか。
実は「リアル貨幣」への逃避なのではないか、と自分は思っている。
今世界中で紙幣を刷りまくって、利息もマイナスになって、それでも先進国は貿易戦争などと言っている。
さて。
勝者は誰でしょう? という話だ。
ドルや円やユーロの「貨幣価値」がなくなっても、実際の生活は無くならない。
必要なのはパンや牛乳一人分だ。
税金や行政の無駄金を含め、今の「国の貨幣経済」は相当行き詰まっていると思う。
それは役所に行っても感じるし、政治家を見ていても分かる。
けれど行政も政治も、そして経済界も「これまでの因習」を全く捨てられない。
彼らはそれを知っている。
だから密かに「次」を待っているのだと思う。
今までのキャッシュとは違うもの。
けれど、その新しい通貨で、ちゃんとパンと牛乳が買えればいい。
既存の通貨でやれ借金だの債券だの、というのは関係のない「リセットされた世界」の到来だ。
そんな世界は、もう数年で怒涛のように訪れるのではないだろうか。
絶対そっちの方がやり直しやすいと思う。
さらば銀行口座 キャッシュレスNOW
「海外では、20億人が銀行口座を持っていません」。6月14日に首相官邸で開かれた国家戦略特別区域諮問会議で、ドレミングホールディング最高経営責任者の高崎義一(60)は首相の安倍晋三(63)にこんな数字を披露した。特定の場所で規制を緩める特区の枠組みで高崎が求めたのが、「給料は現金もしくは口座振り込みで払わなければならない」という労働基準法の規制緩和だ。日本発のスタートアップでシンガポールに本社を置くドレミングは、給料をデジタル通貨にかえて払うアプリをつくった。現金を持っていると盗まれる心配がある途上国でニーズがある。税の適正な収納につなげるため、デジタル通貨に「税金用」などと色づけする構想もある。
日本でも外国から来て働く人は増えている。ドレミングが狙うのは、外国人向けサービスの実験だ。ところが、会議での厚生労働副大臣の高木美智代(65)の回答は「労働者保護に留意しながら検討したい」。日本人の給料を意識するからか、議論はなかなか進まない。
働くご褒美は「口座に現金」でないとうれしくないのか。
日本瓦斯(ニチガス)で働く鳥井三四郎(25)は、営業優秀者への「金一封」をスマートフォンの決済アプリ「プリン」で受け取る。7月20日にもらったのは5万円。「忘れたころに銀行に振り込まれるよりも、手元で入金が確認できるほうがモチベーションが上がる」と笑う。
銀行口座を介さない仕組みができるのは、「報奨金」は福利厚生の一部とみなされるためだ。銀行口座を介さずにお金をやりとりし、買い物をする世界はすぐそこにある。
インターネットイニシアティブ(IIJ)は1月、仮想通貨や電子マネーなど複数のデジタル通貨を取引するための新会社、ディーカレットを設立した。メガバンクや保険会社のほか、JR東日本や伊藤忠商事など約20社が参加した。
ディーカレット社長の時田一広(49)は「デジタル通貨を直接取引できれば、円に替える手間やコストがなくなる。少額保険の販売など新しいビジネスにつながる」と自信を見せる。デジタル通貨をSuica(スイカ)にチャージできる仕組みも考えているという。
三菱UFJ銀行もディーカレットへ出資した。同社は独自のデジタル通貨としてMUFGコインの発行を計画している。「スイカと交換できたら面白い」。行内ではこんなアイデアが飛び交っている。(敬称略)