*[次の世代に]政策よりも大事なもの。
バックキャスティング、と言われる「20〜30年後の未来人の視点から現代を振り返る」方法が始まっているという。
なるほど、そりゃそうだ。
今の立場や「自分のこの先」だけを考える大人たちばかりでは、長期的な策など望めない。
そんなジジイたちに任せるよりは、若くても「30年後に当事者になる人たち」に真剣に考えてもらう方がよほどいい。
バックキャスティングならぬ「当事者キャスティング」だ。
自分だって50年後の話を聞くと「オレ、もういないもんなぁ」と思ってしまう。
「日本の人口は減り続けるんだよ」なんて年寄りが言うのではなく、年寄りは知恵を出し、若者にはいろんなことを発想してもらうのがいいだろう。
それにしても、今の所よほどの新制度でもないと日本の人口は減り続けるらしい。
いわゆる「縮み」の時代になるようだ。
企業でもスタートアップの苦しみよりも「縮むとき」の経営の方がより難しいという。
まさに日本のこれからだ。
今の世界で起きている問題って全部この縮図に思えて仕方ない。
みんなが自分の立場からしか話さないのでは、そもそもまとまるはずがない。
若い人にはまずそこから説明しておきたいと思う。
未来から逆算し政策提案 SDGsにらみ導入機運
2019年5月19日 19:30
20~30年後の未来人の視点から現代を振り返り、持続可能な政策を提案する手法が注目されている。「バックキャスティング」と呼ばれ、再生可能エネルギーの導入やインフラ改修の計画づくりなどで実践例が出始めた。国連の持続可能な開発目標(SDGs)が自治体の政策目標になりつつあるなか、達成に向けた有力な手法になりそうだ。
2018年8月、中学生15人、高校生22人が参加してワークショップを開催。生徒たちはまず25年後の市の状況について説明を受けた。市の人口は現在、約1万6千人だが、45年には約9千人に減少。産業規模の縮小やインフラ維持費の増大などが見込まれる。
これを受け、中高生に取り組むべき政策を提言してもらった。生徒からは「特産のサトウキビでバイオマス産業を振興する」「ロケット射場のある種子島の知名度を生かし、地元高校に宇宙開発コースを設ける」といった提案が相次ぎ、八板俊輔市長に報告した。
将来予測は倉阪教授らが考案した「未来カルテ」に基づく。未来カルテは国勢調査や人口予測などの統計データを使い、いまの傾向が継続したとして将来の推移を予測する。産業構造や教育・医療・介護、公共施設・道路・農地の維持管理など10項目の状況をシミュレーションできる。
17年からは科学技術振興機構のホームページでプログラムを無料提供。西之表市に似た取り組みが千葉県市原市や八千代市、静岡県などでも広がり始めた。倉阪教授は「中高生が地域に強い関心をもつようになり、主体的な政策づくりが進む」と手応えを話す。
老若を問わず住民に「将来世代」になりきってもらう手法もある。西條辰義・高知工科大教授(総合地球環境学研究所特任教授)が提唱する「フューチャーデザイン」という方法だ。「仮想将来世代」は公募などで選び、現世代と討論して政策を立案する。
(編集委員 久保田啓介)
[日経産業新聞2019年5月17日付]