藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

未来への純粋

*[ウェブ進化論]思考のリセット。
日経のアンケート記事。
「AIでどんな課題を解決したい?」と題された企画は、AIという漠然とした存在を通して自分たちの「今の課題」をあぶり出す。
どの提案もめっちゃ面白いのだが、少年がAIに「自分のメンターを」とか大人が「就職・転職の総合アドバイザーを」「子育て支援を」「働き方改革を」「教育改革を」「万能通訳を」という姿は、現代の社会問題をそのまま映し出していて実に驚いた。
というか「みんな生きていくのに精一杯で、あんまり社会のことなんか考えていないんじゃないの?」ということではないらしい。
ひとたび「AI」という魔法がかかれば夢はいっぱいあるのが分かって実に頼もしい。
 
政治にはシラけ、経済にも閉塞感がいっぱいだが「そういうの」を取っ払って未来を考えてみると、老いも若きもいくらでもアイデアが湧いてくる。
案外未来はバラ色なのではないだろうか。

AIでどんな課題を解決したい? 読者の提案 金丸恭文・フューチャー社長

 
金丸社長の提示した「AIでどんな課題を解決したい?」という課題に対し、多数の投稿をいただきました。紙面掲載分を含めて、当コーナーでその一部を紹介します。

■動物と人間とAI
 三輪 愛里菜(クラーク記念国際高校総合進学コース3年、18歳)
最近、顔認証の機能が搭載されたスマートフォンが増えてきました。AIによってこの機能をさらに進化させていけば、わたしたちは動物たちと会話ができるのではないでしょうか。犬や猫だけではありません。表情がわかりづらいウサギ、ハムスターなど小動物の気持ちを読み取ることができたら、飼っている人の生活は今よりもっと楽しくなるでしょう。それに、これまで知られていなかった新たな発見が生まれるかもしれません。
人と会話ができるようになれば、盲導犬介助犬の訓練にも役に立ちます。今まで時間がかかった訓練も、会話によってスムーズに進められます。盲導犬介助犬がまだ足りていないからこそ、AIで気持ちを読みとる機械が必要な機械になるのではないでしょうか。
■AIが自分のメンターになる日
 中尾 貫太(朋優学院高校1年、15歳)
人工知能(AI)が人生のメンターになってくれたらいいなと思う。
生きていくための道標として、多くの出会いや、出会った人からのアドバイスはこれからも必要だと思う。それに、先人たちが記してくれたたくさんの書籍を読んで知識を蓄えること、それをもとに自分の考え方を持つようにすることは重要なことだとは思う。ただ、AIが発達するのであれば、世界にある書籍や論文、事例を登録し、自分が何かの行動を起こそうとして悩んだときに効率的な方向性を示してくれたら素晴らしいと思う。
たとえば、将来就きたい仕事をするにあたってトライしておくべきことや、仕事に就いたのちに初めて新しい企画を実施する場合に、AIが過去の成功例や失敗例から道筋を示してくれたらヒトの成長はもっと加速すると思う。できれば、個々人で違う性格なども考慮して提案をしてくれたらヒトとAIはぐっと近づけるのではないだろうか。
■胸を張って「今の仕事が天職です」と言うために
 山本 梨絵(会社員、27歳)
「自分の天職って何だろう?」。就職活動をしている学生や職歴の浅い人の多くは、自分のキャリア選択に不安を抱えている。もちろん私も。不安の正体は、働いてみないと分からないことが多く、自分の想像をよりどころにキャリア選択を迫られていることだと思う。
そこで、人工知能(AI)を活用した「バーチャルキャリア体験世界」をつくるのはどうか。自分の価値観やこれまでの経験をインプットしたアバターが、バーチャル世界で様々な職業に就き、人生を歩んでいく。自分の分身であるアバターの様子を見て、職業人としての可能性について視野を広げることが可能だ。また学生にとっては、進路選択や科目選択にも役立つだろう。
忘れてはいけないのは、アバターの人生は過去の自分や社会の延長線でしかないことだ。大切なのは、過去を参考にしつつ、変化の激しい社会の中で、自分の未来は自分でつかみ取る覚悟と行動力だ。
【以上が紙面掲載のアイデア
■AIで子育て百科事典を
 文平 京子(主婦、46歳)
子育てにストレスを感じる人は多い。学生時代に授業で習う機会はほとんどない。子育ての課題と言っても、例えば0歳児と中学生ではまったく違う。子育ての経験値や予備知識が少ないうえに、環境や課題が子供の成長に伴って常に変化するため対応が追い付かず、難しく感じてしまうのではないかと思う。加えて情報の氾濫により、何を信じたら良いのかわからなくなり、行き詰ってしまう。
AIで0歳から18歳くらいまでの子育てビッグデータを収集・整理・分析し、百科事典をつくることができれば、国語辞典を引くように直面する課題について専門家の見方、よくある事例、相談できる機関、参考文献などを一度に調べることができる。体や脳の発達について記載があれば、子供の次の発達段階について心の準備ができる。精神的に行き詰まる親が激減するのではないだろうか。AIで子育ての行き詰まり課題を解決したい。
■AIの家
 阿部 松代(団体職員、52歳)
少子高齢化や災害の対策として、「家」自体にAIを備える。住人や環境に合わせて家が自然に変化していく。使っているうちに形に変わっていく杖(つえ)のように少しずつ。ただし、緊急事態には即対応。例えば、子どもができたら、幼子が転んだりぶつかったりしても大丈夫なように、壁や床が柔らかくなる。高齢化が進んだら床の段差がなくなったり、階段がなだらかになったりする。また、外壁や屋根が気象に反応して住みやすい室温に近づけたり、水害が起きた際には水没しないよう建物自体が持ち上がったり、何かがぶつかってきそうになったら外壁がクッション材になって衝撃を和らげたり。そして、住人が亡くなったら自然に消滅して土に戻っていく。人や環境に合わせて「変化」してくれる家。「自宅は同志」と思えたら幸せだ。
働き方改革の実現
 矢頭 俊也(会社員、33)
AIで働き方改革を実現したい。単に残業を減らすことではなく、働いている時間が超超超楽しいと思えることが働き方改革だと考えている。そのために社内作業時では、パソコン画面カメラで顔の表情や声のトーンなどを分析し、その人の状態を全国のデータベースと照合、人事部や上司に連携できるシステムを作る。また社外でも同様の装置を携帯できるようにする。何ならその人の笑いのツボもAIに記憶させておき、いつでも笑える環境を作る。余裕があるであろう時を見計らって、ツボを押さえた冗談を言ったりすることも、度が過ぎなければ面白い気がする。笑いのツボも全国のデータベース照合により、人脈構築にもつなげられるのではないか。やはり笑いのツボが同じだとすぐに仲良くなれる。仕事中でもそうでない時間でも常に笑顔でいられるようなシステムをAIで実現したい。それが、働き方改革に直結するものと信じる。
■新・交通システム
 木戸 友仁(海陽学園海陽中等教育学校高校1年、16)
地域の過疎化は長い間日本が悩んできた課題である。この半世紀でどれだけの鉄道・バス路線が消えたことだろうか。運転手も乗客もいなくなってしまったのだから仕方ない。そこで私はAIの自動運転によるオンデマンドバスを提案する。もちろん配車もAIが受け持つ。初期投資こそ膨大な額になるだろうが、道路網がそう簡単に変わることはないので、維持費は燃料費と洗車費、そして管理者数名分の人件費くらいだろう。維持費が安いと運賃も安くなっていくはずだ。安いと乗る人が増える。交通の便が悪い地域の高齢者も、安心して免許を返納できる。運転がAIなら、深夜も昼間も関係ないので、24時間運転ができる。どうしても不便になってしまう人口希薄地帯にもある程度の便利さが保障されることでIターンを考えやすくなる。公共交通機関なので急病のときも安心。便利ずくめのこのシステムをぜひ開発してほしい。
■AIを使った通信制の小中学校
 福島 淳大(ルネサンス高等学校3年、17歳)
不登校の小中学生が急増している。文部科学省の調査によると、不登校の小中学生は平成29年度に14万人を超え過去最高となっている。不登校に対応する親、教員の負担も大きい。AIでこの問題を解決できないだろうか。そもそもダイバーシティ(多様性)を認める世界の流れのなかで通学制講義形式の旧来の教育システムを現代の全ての子供に強要させるべきではないと思う。通学せず、好きな時間に好きなだけ興味のある分野を学べる通信制の義務教育をAIを活用して作りたい。ユーチューブの動画のように15分ほどの細切れにした授業の方が誰もが集中しやすく効率的だ。生徒の勉強状態を学校側で把握できるシステムもAIで出来るはず。eスポーツの部活動で生徒間の交流もできると思う。
■子供の意見発信力を強化
 松井 潤吉(技術士、80歳)
わが国の国際市場における脆弱性の原因に、「意見を発信する力」が弱いことがある。これに対して外国語教育に問題があるとの指摘は多いが、実は国際社会へ意見を整理して分かりやすく発言する力が不足していることも大きい。その点が改善できれば、外国語そのものの力は低くても「発信力」は大きく改善できる。現在は外国語教育の問題点のみが大きく議論されている。その解決策として、対話能力を備えたロボットと対話分析能力を備えたAIを活用して、例えば「問題」を質問して回答させる対話システムを学童を対象とした「遊び」として導入する。意見を言わせて分析し、採点、添削するところまでの力を持つシステムを開発する。学童の間でポピュラーな漫画、アニメに関連する問題を用意して「遊び」の一環として普及させる。小学校の教員は多忙でこんな遊びに付き合うことは出来ない。AIの出番ではないだろうか。
■学校システムの大転換
 倉島 研(教職員、43歳)
最近の教育現場の忙しさは甚だしい。いじめ問題、不登校発達障害児の個別対応等の業務増大が主な要因だろう。学校はしつけの場ではなく勉強するところ、というイメージが未だに強いと思うが、AI技術の進歩に伴い学校システムの大転換を考える時期にあるのではないか。AIは人間関係上の問題、感情の問題、非定型の問題を扱う段階にはない。しかし、芸術系を除く教科教育(英国数理社)については、教員の一斉教授を比較的早い段階で代替できる可能性がある。労働時間削減の流れの中で、一部の教科教育をAIに代替させ、生徒の人間関係調整、コミュニケーションスキルの教授、芸術やレクリエーション活動、個別学習支援を教員の主たる業務へシフトしていく時期かもしれない。ただし、小学校ではクラスで担任と1日を通して関わることが児童の安定に寄与していると考えられるため、中学校、高等学校での導入が適切ではないだろうか。
■AIでもっと自由に
 山田 啓徒(クラーク記念国際高校3年、18歳)
人工知能(AI)は目の不自由な人や耳の不自由な人が生活するのに役に立つと思います。目の不自由な人の生活を助ける具体的な方法は、目の不自由な人の視点でカメラを配置し、そのカメラで撮った映像をAIに分析させ、目の不自由な人の前で起こっている状況を文章にして音声で伝えるというものです。これにより盲導犬などがいなくても、安全に街の中を歩くことができるようになると思います。また、耳の不自由な人に対しては、周りで聞こえる音や会話、言葉などをマイクで録音し、AIに分析させ、映像として文章を表示したり、画像などを表示したりして、わかりやすく耳の不自由な人に伝えることができれば、もっと安全に街の中を歩くことができるのではないでしょうか。このように、AIを、生活の不自由な人をもっと便利にしていくために使うことはとても良いと思います。AIがもっと進化すればいろいろな問題で困っている人の助けになると思います。
■世界中の言葉の壁を取り払いたい
 小松 卓司(会社員、56歳)
AIは将来、僕らの制御が効かない世界に行ってしまうのではないか。そんな怖さが少しある。それでも、もしAIが世界中の言葉の壁を取り払ってくれるなら、ぜひお願いしたい。
世界にはたくさんの言語があるが、それらをつなぐことができる人材は極めて限られている。このことが国際的にビジネスや政治、学問を進める上でどれだけのボトルネックになっているだろうか。自分も20代のころ、海外で仕事をして、寝る間も惜しんで現地の言葉を学んだけど、自分の思いを存分に伝えるレベルには遠く及ばなかった。
もどかしさと同時に、語学習得に貴重な時間を費やしていることがムダにも思えた。今後、AIが世界中の言語を学習し、自在につないでくれるようになったら、僕らはもっと躊躇なく世界に出ていける。中国、韓国、米国……どの国の人たちとも自分の言葉で話ができる。かつての船舶や航空機のように、AIにも世界の距離を一気に縮める役割を期待したい。