*[次の世代に]構造を知る。
以前も紹介しましたが改めて。
二度読みしたのだが、改めて感心したことは二つ。一つは
「哲学と宗教を同時に俯瞰する必要性」についてまず触れられていること。
もう一つは
ゾロアスター教から始まり、一気に現代にまで跳躍する「時代観のつかみ方」である。
着目する出来事や人物の選び方とその「粒度」がとても分かりやすい。
日本の義務教育には、この二つが決定的に欠けているのではないだろうか。
「みなさんは、今生きている世界のいろんなことをよく知りたいですよね」
「そのためには宗教と哲学のことを知るのが早道なので、まず過去をお浚いしましょう」などと言われていたら、自分はもっと勉強していただろう。
宗教や哲学がつどつど政治利用されてきたり(またそれは今でも普通にあることで)しかし哲学も宗教も、それ独自で見ると「突き詰めた理由」があるのだけれど、それらが「人」が生活する上でどうしても密接に絡み合わずにいられなかった…というような全体図がくっきりと見えるようになる。
しかも「さらに勉強したい人にはこの専門書をどうぞ」と推薦書が随所に紹介されているから、著者の出口氏はどれほどの知識を持っているのかと驚かされる。
凝縮した知識のインプットを"濃くて深いアロマの珈琲"のように抽出した作品だ。
著者も言っているが「何かに行き詰まった時に役立つビジネス書でもある」とも思う。
折に触れて哲学しましょう。