藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

車の着崩し。

*[次の世代に]独自の価値観で
ただ高価な車ではなく「着こなすクルマ」が人気だという。
戦後75年。
ひたすら高級車志向が自分たちの若い頃にもあった。
が、それが確かになくなっていると感じる。
もう「そういうこと」がかっこいいことではなくなっているのだ。
ある意味成熟していると思う。
 
例えばクルマなら、本当に気取らず「楽しめる付き合い方」がようやく根付き始めたのだろう。
同様に生活のスタイルでも「消費していることそのもの」がかっこいい時代が去って行った。

 そんな過渡期が「平成」という時代だったのかもしれない。(後から思えば)

今一度、自分が「本当にしたいこと」を整理し、考え直す時代に入っているような感じがする。
楽しそうだ。
今の二十代に接すると、やりたいこと、大事なことの感覚がまるで違う。
「見栄」がまるでないのだ。
 
それに気づいてしまえば、もう若者のものである。
老人たちには縛られずに「自分たちのこれから」を真剣に考えればいい。
何を言っても史上もっとも豊かな時代だ。
悲観することなど何もない。
 
高級車、おしゃれに着崩しチープアップ(日経MJ
2019年7月14日 4:30
クルマ離れ世代とされてきた30~40歳代の消費者が高級輸入車のハンドルを握っている。中古車に商用車風のホイールやゴツゴツとしたタイヤを装着するなどドレスダウンし、高級車とのギャップを楽しむ「チープアップ」が人気だ。ファッションと同様、あえて着崩して「ギラギラ感」を抑え、気取らずに乗れる。キャンプブームでクルマにこだわる動きも追い風となっている。
ドレスダウンさせたアウディA6(左)とフォルクスワーゲントゥアレグ(大阪市大正区のゼロカートラブル)
ハイブランド感ないが、こなれたオシャレな印象
「汚れていてもカワイイ。サーフィンに行くと駐車場でもウケがイイんですよ」。兵庫県伊丹市に住む沢田健太さん(30)の愛車は1999年式のアウディA6。新車で500万~600万円程度だが、外観はちょっと違う。
商用車のようにバンパーやモールは樹脂風に黒く、武骨なスチールホイールを装着する。高級輸入車がまとうハイブランド感はないが、こなれたオシャレな印象を醸し出す。沢田さんは「今後のクルマ選びでもチープアップは選択肢に入る」。
高級輸入車をどこか安っぽいスタイルにする「チープアップ」は大阪市の自動車販売店、ゼロカートラブルの三上直記代表の造語だ。元アパレル店の経営者で「古着のように、高級車を鈍臭い印象にして気軽に楽しむ」とのコンセプトで2010年ごろから始めた。欧州で見かけた「メルセデス・ベンツにルーフキャリアを付けて乗り回す、現地の生活感のある使い方」が原点だ。
アウトドア向けのタイヤに交換する(東京都葛飾区の「カードローブ!」)
実は田島氏もアパレル出身。ビームスの販売員だった。「日々ファッションセンスの高い人々と接していたが、クルマに気を配らない人が多かった」。自身ではホイールやバンパーに色を塗るなどして自分のスタイルに合うよう「着こなし」ており、こうした提案をする自動車販売店がないと、12年に起業した。
田島氏は高級感が強いメルセデス・ベンツでも、ためらいなくチープアップする。スチールホイールを装着、タイヤも泥道をこなすゴツゴツしたものにもする。京都から駆けつける顧客もいる。「車をカスタムする店だと勘違いされるが、基本は自動車販売店」とブームに苦笑いする。
東京、大阪の両店でチープアップを求める消費者の大半が30~40歳代だ。平均的な所得の人が多く、ファッション業界や美容師といった職業が目立つ。「不人気車種なら軽自動車の新車よりも手ごろ。それでいてデザインにヌケ感がある」(田島氏)。高収入でもわざわざチープアップを希望する顧客もいるという。
中古車雑誌「カーセンサー」編集長の西村泰宏氏は「この世代はメルカリなどで中古品に対する抵抗感がない」と分析。そのうえで「ファッションで1980~90年代のスタイルが流行しているように、クルマでも古っぽいスタイルが人気になっている」と話す。
さらに追い風となっているのがキャンプブームだ。おしゃれなキャンプサイトや道具にこだわり、「他人から見られる」ことやインスタ映えを意識する人が増えている。同様に、クルマも見せる道具としての位置づけになっているようだ。兵庫県の男性会社員(35)は「どんなにオシャレなグッズをそろえたサイトでも、クルマが生活感ありすぎると雰囲気が台無し」とボルボXC70にチープアップを施す。
実際、東西の両店ではアウトドア雑誌で特集が組まれた17年ごろから急激に受注が増えたという。カードローブ!では荷物の積載量を増やせるルーフラックを早くからチープアップのアイテムとして活用していた。田島氏は「キャンプ愛好者がインスタグラムでルーフラックを検索し、チープアップを知るきっかけになっている」と話す。
記者(35)はクルマ離れ世代だが、クルマは大好き。話が通じる友人が長くいなかったが、最近周囲にクルマ好きが増えてきた。ある主婦(36)は「デザインはカクカクした方が格好いい。今欲しいのはジープのチェロキー」と話す。自動車メーカーさん、クルマ離れ世代は年を重ねて戻ってきてますよ。
若者のクルマ離れというのは、本当なのか。中古車雑誌「カーセンサー」の西村泰宏編集長に現状、若者をひき付けるクルマの条件などを聞いた。
カーセンサー編集長 西村泰宏氏
■「完璧なモノより、不便さが愛着生む」
――新車の販売台数は緩やかに増えています。中古車はいかがですか。
「2018年の市場規模は3兆4396億円と17年比4千億円増えました。機能の充実で新車価格が上昇する一方、中古車でも十分に安全性能を備えたものが多い。予算と性能の両面から中古車を選んでいるようです。今はリユースの時代、中古車への抵抗がなくなっています」
――若者のクルマ離れって、本当ですか。
「クルマを嫌いになったわけではありません。『好き』の尺度が変わっただけ。昔は皆が憧れるクルマを誰もが欲しい、という大きな山がありました。次にプリウスのような環境に配慮したクルマを求める山。今後はクルマへ求めることが多様化し、小さな山々が増えていくでしょう。その1つがチープアップです」
「バブル期に自動車雑誌を眺めていた人の熱量と、今、インスタグラムのハッシュタグにタッチする愛好者の熱量は変わらない。ただ、かつてのような大きな山は現れないでしょう」
――新車には乗りたいクルマがないという声も多いです。
「空力や安全性、燃費を追究すると、どうしてもツルッとしたデザインになる。コスト削減のためにプラットホーム(車台)は同じ。だから新車は個性を打ち出しにくくなっています。デザインで個性を出すには、代わりに何かを捨てない限り難しいでしょう」
「昔のクルマをカスタムして楽しむ動きは、今のクルマにはない魅力があります。ボルボの『240』は新車にはまずないカクカクとしたデザインで、積載量が多く頑丈。トヨタ自動車の『ランドクルーザー』の古いモデルも人気が高い。日産自動車『キューブ』やスズキ『エブリイワゴン』は色を塗り替えたりタイヤを替えたりして楽しまれています」
――魅力あるクルマの条件は何でしょうか。
「何百回と消費者にインタビューして気づいたのが、人は完璧なモノには愛着を持ちにくいということ。不便が愛情を生むんです。メーカーは何かが欠けることを恐れずに個性を出せるか。失敗を許容した挑戦ができる企業こそ勝負ができる」
「最近では三菱自動車の『eKワゴン』が好例です。車体色を2トーンカラーの指定ができるデザインが多いなか、デザイナーが色の組み合わせを指定するという、攻めた姿勢を打ち出した。売れないリスクを許容してまで消費者へ提案したことは意義深いです」
チープアップなクルマを好む若者が増えている。いまどきの若者にとってクルマの魅力とは何か。クルマ好きで知られるお笑いコンビ「ジャルジャル」の後藤淳平さんに聞いた。
お笑いコンビ「ジャルジャル」の後藤淳平さん
■「誰が乗るねん!」に乗りたい
――クルマは昔から好きだったのですか。
「それが好きではなかったんです。26歳くらいの時に東京の仕事で不満なことがあって、鬱憤を晴らしたくて新大阪駅に着いた時に『車買うぞ』と。そこで初めてジープ『パトリオット』を新車で買いました」
「今ではクルマ大好きですね。新車も中古車も全部。もっともっと知りたいし乗りたい。スタイリングや乗り味、コストパフォーマンスを総合的に考えて中古車を選びます。新車では他の国産車が見劣りするくらいマツダがカッコイイ。新型『マツダ3』もよかった」
――愛車のボルボは「240」「245」と2台乗り継いでいるそうですね。
「新車には無いスタイルです。作家さんに教えてもらい『めっちゃかっこええ!』とグッときました。カクカクしていますが、実は緩やかに丸くカーブしていて。ベージュの内装も好きです。1970年代の設計でも中身は意外と新しくて初心者にぴったり。最近やたら街で見ますね。芸人仲間や作家さんも乗っています」
――中古車は故障するイメージもあります。
「エンジンがかからなくなったことはありましたが、原因は大したことないんですよ。消耗品が寿命を迎えただけ。止まった話だけ聞くと大変そうですけど、信頼できるお店を見つけて、メンテナンスしていれば大丈夫です。維持は楽ですよ」
――旧車より新しい輸入車をドレスダウンして楽しむ人も増えてます。
「誰も見向きもしなかったクルマを安っぽくして価値を高めるってすごいですよね。ドレスダウンする前と後では印象がガラリと変わって、すごく魅力的になる。しかも50万円台なんて頑張れば買える。クルマ好きの裾野を広げると思います」
――後藤さんは35歳、クルマ離れ世代ですね。
「昔の世代を知らないですが、あまりピンとこないですね。売れてないんやろうなとは思いますけど。ただ、昔のクルマの方がキャラクターがしっかり分かれていて魅力的です。今のクルマも10年たてば魅力的に見えるようになるのかな。でもどれも(キャラが)ぼやけています。その点ではマツダはすごいですね」
「クルマ『離れ』世代と言いますが興味がないのではなく、ただ知らないだけじゃないですか。ミニバンでもいいから、クルマを知ったうえで(好きかどうか)判断してみてほしい。興味を持ったなら大いに足を踏み出してみれば、想像しているより全然楽ですよ」
――今後の新車に求めることはありますか。
「大企業ほど攻めることは難しいでしょうけど、『これ誰が乗るねん!』というクルマを出してほしい。例えばトヨタ自動車は『センチュリー』の最新型で『和』のテイストの最高級車を作りました。すごくかっこいいですよね。あのテイストで小型車を作っても面白いんじゃないかな」
「最近はギラギラした外見のクルマが多いですが、そんなデザインばかりでなくてもいいのでは。銀メッキを多用したギラギラは逆に安っぽいですから」
(宮住達朗)
[日経MJ2019年7月5日付掲載]

これからのZOZO。

*[ウェブ進化論]リアルとバーチャルの間をつなげ
ZOZOスーツはあまり普及しなかったらしいが、今度はシューズを計測するらしい。
洋服といい、靴といい、確かに「かゆいところ」にチャレンジしているのがZOZOTOWNなのだと思う。
ユニクロで大量に試着するのは手っ取り早いが「その先」を考えているのだろう。
挑戦者だと思う。
それにしてもイタリアなどでは、一足何十万もする靴職人がいて、バックオーダーが減らないらしい。
靴というのも深いアイテムだと思うが、こうした分野にITが一石を投じることができれば痛快だ。
 
先のZOZOスーツは色々困難があったらしい。
ゾゾスーツ戦略は
(1)いちいち「スーツ」を着て測るのが面倒
(2)詳細データを生かした服を製造することが難しい――という2つの大きな壁にぶち当たった。

 自分は狙いは悪くなかったと思う。

ただもっと言えば「コーディネート」が欲しかった。
サイズはともかく。
「あなたにはコットンの紺パンツとベージュのTシャツとグレーのニットオーバーがいいですよ」とかアドバイスがもらえれば嬉しい。
カジュアルな飲み会ならこのジャケットとジーンズはいかがですか?とか。
それがバーチャルでできればかなり便利だ。
ZOZOがこれから着手すべきもそうしたソフト開発ではないだろうか。
50歳を超えた、自分のような体型と顔つきの男に一体どんなコーディネートがあり得るか。
フォーマル、カジュアル、スポーティ。
そんな話し合いがネットでできればZOZOTOWNはまだまだ伸びるのではないだろうか。
中年以上の男たちは、そんな不安をみんな持っているのではないだろうか。
 
ゾゾマットでサイズ測定に再挑戦 体形データ、SPAのカギに
2019年7月14日 4:30
衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOが、足のサイズをスマートフォンで計測できるツール「ゾゾマット」の無償配布の予約を受け付け始めた。筆者も早速予約をしてみた。
ZOZOのサービスは専用のマットに足を載せて撮影すれば足の形を計測できる
サイズの計測ツールと言えば「ゾゾスーツ」が思い出される。専用のタイツを着てスマホで撮影すると体形が測れると話題になり、自分の身体にぴったりのZOZOのプライベートブランド(PB)の服を購入できるという触れ込みだった。
ゾゾスーツは期待通りの数字に結びつかず、失敗と言われている。それでもZOZOが再び計測ツールに挑戦するのはなぜだろうか。ゾゾタウンの価値が「サイズデータ」にあるからと言える。
もともとゾゾタウンはファッション好きの人にとって、有名ブランドの服を手軽にネットで買えるという価値からスタートしている。各ブランドが出品する服は業界で「ささげ」と呼ばれる採寸、撮影、原稿の作業をZOZO側で手がけてネット販売される。
ユーザーからすると、全ての服をZOZOが採寸した統一基準で購入できることが大きな価値になった。アパレルの世界ではS、M、Lと表示していてもブランドによってサイズはかなり異なる。しかし違うブランドの服でもZOZO上での表示は統一され、ユーザーは初めてのブランドでも安心して買える。
サイズデータの重要性を強く認識していたZOZOだからこそのゾゾスーツ戦略だったと言える。それだけにPBへの誘惑は大きかっただろう。ユニクロを運営するファーストリテイリングを追いかけることを考えれば利益率の高いPB商品を世界展開し、SPA(製造小売り)業態に名乗りをあげたい気持ちに経営としてはなるだろう。
ZOZOの価値は「たくさんのブランドの中から、自分の欲しいデザインでサイズのあった服を選べる」だった。しかしゾゾスーツ戦略は(1)いちいち「スーツ」を着て測るのが面倒(2)詳細データを生かした服を製造することが難しい――という2つの大きな壁にぶち当たった。
そして今回のゾゾマットへの挑戦へと至った。マットの上に足を置いてスマホで撮影するだけという、かなり手軽な手順になっていて最初の課題が改善されている。
ふじもと・けんたろう 電気通信大情報理工卒。野村総合研究所を経て99年にフロントライン・ドット・ジェーピーを設立し社長。02年から現職
オリジナルシューズの開発は諦め、既存ブランドの靴を購入するためのサイズ測定という元来のZOZOの価値を生かした。オンラインでの靴購入の利便性を高めることに十分貢献できそうだ。
ではゾゾスーツが当初描いていたサービスを今後成功させるには何が必要なのだろうか。手軽な測定という意味では、店舗に3次元スキャナーを置いて身体を簡単に測定するのがよいだろう。
個人の身体にあわせたカスタマイズ製造については、服の製造方法でもう一段の技術革新が必要だろう。実現にはやはり、店舗と製造を持つSPA業態の方が有利である。
すでに実験を始めているユニクロはこのあたりを本気で狙ってくる可能性が高い。顧客の体形データを握った状況を想像すると、さらに強力なユニクロの未来が見えてくる。顧客体形データがアパレルの未来の戦いの鍵を握るのは確かだ。
[日経MJ2019年7月12日付]

ファクトフルネス。"Stay humble and curious."

*[ウェブ進化論]好き嫌い、を超える理性。
日経「ファクトフルネス」記念講演より。
それほど目新しい指摘でもなく、しかしこういう著書が注目されるのは世の中の変化がよほど早いからだろうか。
(フリードマンの「フラット化する世界」の時もそんな感じがした。それにしても梅田望夫の"ウェブ進化論"は別物だったと思う)
高い教育を受けた人でも誤った判断をすることがあります。
人間は物語が好きなのでドラマチックに考えてしまうのです。
風変わりで悲劇的なものが好き。
自分に遠い世界のことほどそう考えてしまいます。
でも、実際の物事はゆっくり動いてるし、世の中は少しずつ良くなっているんですよね。

 「ドラマチック」で「風変わり」で「悲劇的」。

多分、世界中の文学作品ってこれじゃないか。
 
で文学作品はそれで良いけれど、現実世界の政治ではそういう「演出だけの世界」はご免こうむりたい。
コツは「Stay humble and curious.」謙虚に好奇心を持ち続ける。
簡単なようだが、自分たちはつい「物語」に追従してしまう。
現実と楽しみの世界、はきちんと分けて考える理性がとても大事なのだ。
政党や政治家の好き嫌いと、政策は違う。
 
「謙虚に好奇心を持ち続ける」アンナ・ロスリング・ロンランド氏 ファクトフルネス著者 #ファクトを活かそう 07
2019年7月14日 6:30
アンナ・ロスリング・ロンランド スウェーデン・ファールン生まれ。統計情報から世界を理解することを目的とするギャップマインダーの共同創立者。専門は社会学や写真。
この本ができる前から名前はありました。夫(共著者のオーラ・ロスリング)のアイデアでマインドフルネスからもじったものです。物事を勘違いしてしまわないため、より良い見方のことを「ファクトフルネス」と名付けました。我々は世界について正確なデータを十分に持っていませんでした。データをたくさん知ることが世界をより知り、勘違いを引き起こす本能を捨てる方法だと考えました。
――アジアと欧米で人間のモノの考え方は違うと思いますか。
そういったデータは持っていませんが、違いがありそうな気がします。というのは、過去50年で多くのアジアの国は欧米より速いピッチで急速に発展してきました。そのためアジア人はポジティブに物事を考えやすい傾向が相対的にあるのではとみています。ただ経済発展が鈍化すると、この傾向は変わるでしょう。
――本を通じて伝えたいことは。
高等教育を受けた人でも、実は平均的な人と同じように勘違いしてしまう、ということです。これは脳の作用に起因するのかもしれません。高い教育を受けた人でも誤った判断をすることがあります。
人間は物語が好きなのでドラマチックに考えてしまうのです。風変わりで悲劇的なものが好き。自分に遠い世界のことほどそう考えてしまいます。でも、実際の物事はゆっくり動いてるし、世の中は少しずつ良くなっているんですよね。
――なぜこんなに本が売れたと思いますか。ご自身はどう分析していますか。
実用的だけれど、難しくないからではないでしょうか。ビジネスパーソンは時間がないので、メッセージが単純で理解しやすいのが好まれたのではないでしょうか。本で訴えていることは、知識を得て、それをアップデートしよう。それだけです。

AIは判断の助けにすぎない

――人工知能(AI)や機械学習の発展は人間の勘違いを防ぐ要因になりえますか。
はい。ただ、AIがいくら発達しても、どのデータが有用かを人間が判断するスキルは必要ではないでしょうか。
確かにAIは人間を助けてくれます。グーグルはたくさんのデータにアクセスするのを助けてくれますよね。でも、AIで山の全部を見ても、頂上はどこにあるかは人間が判断しなければダメです。人々はデータを分析し役立てるデータ・ドリブンの考え方をまだ完全に身につけられていません。
――トランプ大統領が特定メディアを「フェイクニュースだ」と批判しています。
私はメディアの現状を悲観していません。ほとんどのリポーターやジャーナリストはいいことを伝えたいと思っているはずです。一方、フェイクニュースという言葉のせいで、世の中では、ニュース全てが信用できないものなのではないかとの雰囲気ができつつあります。これは悲しいことです。
ニュースが問題なのではなくて、大局観を持ってニュースを捉える力が欠けているのではないかと思います。ニュース番組は常に刺激的なことを伝えようとします。これは人間がドラマチックなことを好む本能があるからです。でも実際は、物事はゆっくり動いているわけですよね。世界を正しく認識するためには脳をコントロールして、事実を基に物事を見るべきです。
――メディアのあり方についてどう考えていますか。
メディアはより良く変われると思います。大局観やトレンド、世界の傾向をもっと多く伝えてほしい。それを少し盛り込むだけで、受け手の理解度は高まるはずです。ある地域で大きな地震が起きて被害が出たとしても、世界全体をみると、地震の被害量そのものは減っています。それは救助技術があがっているからです。世の中はよくなっているんですよ。
――「ファクトフルネス」の中で、「なにか悪いことが起きると人のせいにしがちだが、それはよくない」と指摘していますよね。
犯人捜し本能ですね。犯人捜しをしてしまうと脳は考えを止めてしまいます。それで決着してしまい、それ以上考えなくなる。そうすると何も行動しないんです。典型的な例が、活動家や政治家です。誰かのことを非難したとしても、その先がないことが多いです。大きなことを達成したいなら、意見が違う人と協力しましょう。

世界は変わっている

――感情に流されずビジネスを進めるためにはどうしたらいいですか。
世界は常に変化しているということを認識すべきです。ファクトベースでみないと間違ってしまいます。決めつけを排除しましょう。深呼吸して、データから長期のトレンドを探しましょう。
――米中貿易戦争が世界の論争材料になり、専門家どうしでも見解が食い違っています。ご自身はどうみていますか。
両国の経済規模が非常に大きいということがポイントでしょう。つまり、どのような結論が出ても、インパクトは大きいのです。ということは、慎重に物事を進めるべきだという結論になります。
ファクトフルネスの中でも、「焦り本能」という人間の性質について指摘しています。今すぐ手を打たないと大変なことになる、と勘違いしてしまう気持ちのことです。自分は中国側だ、アメリカ側だとポジションをとる前に、両者の言い分をよく聞きましょう。大事なのは協力・協調と、一歩ずつの改善です。
――日本は参院選の真っただ中です。政治家選びについて、どう判断すべきですか。
ここでも大事なのはデータです。自分に関係ある地域や分野だけではなく、国全体のトレンドを見て何が重要なのことかを判断すべきです。政治家はかなり断片的な情報を出しがちなので気を付けてください。データにアクセスするのはそんなに難しくないです。国家統計などにアクセスし、自分で調べて、比較したり、トレンドを見たりしてほしい。そうしないと自分たちにしっぺ返しが来ます。イデオロギーに走るのは危険です。それは、一番情熱的な人が支持されることにつながります。
――政治家どうしの討論でも同じことが起こりえますか。
多くの政治討論は、同じデータで議論されていません。「自分が持っているデータによると、あなたは大間違い」みたいなことを、お互いに主張するケースが多いです。これを見抜くには、私たち自身がデータに詳しくならないといけない。言っていることをうのみにせず、正しいデータを見つけ出す能力を身につけましょう。そうしないと、解決策がわからなくても話だけがうまい政治家に丸め込まれてしまいます。
――アンナさんの座右の銘はなんですか。
Stay humble and curious!(謙虚に好奇心を持ち続ける)です。
――日本は人口減少期に入り、経済成長も停滞しています。隣の中国が目覚ましく成長しているのを横目でみて、日本人は自分の国の将来について悲観的になりがちです。日本をご覧になってどう感じていますか。
日本は私の生まれたスウェーデンよりはるかに大きい国でいいポジションにいると思いますよ。優れた教育システムを持ち、勤勉な国民。悪い方向に向かっているとは思わないし、これからも変わり続けていくと思っています。
【「#ファクトを活かそう」記事一覧】
(1)データのない世界を歩め インテグラル代表 佐山展生氏
(2)ビジネスは打率で検証を THE GUILD代表 深津貴之氏
(3)エビデンスで考える APU学長 出口治明
(4)問題意識がファクトを生む 社会学者 上野千鶴子
(5)データで解像度を上げる アル代表 古川健介氏
(6)物事を常に問い続けよ CAMPFIRE代表 家入一真
(7)謙虚に好奇心を持ち続ける ファクトフルネス著者 アンナ・ロスリング・ロンランド氏 
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性善説の検証。

*[ビジネス]ワークマンの秘密。
作業服チェーンのワークマンが好調だという。
さらに「ワークマンプラス」というカジュアル作業服のお店は機能とデザインが良くて女性に大好評らしい。
 
が成長の秘訣は決して目新しいものではない。
お得意様・地元密着型の出店計画(夫婦推奨とのこと)。
現場の意見の尊重。
エクセルでの売上データの共有。
製造元との売れ筋・在庫データ交換。 
なんだかこれだけ見ていると昭和の松下電器の経営訓のようではないか。
(製造元とのデータ交換は)ワークマンが持つ需要予測データを基に、納める商品の種類や数量を考えてもらうためだ。
そして同社は、メーカーが提示した数量を全て買い取る。
何か本当にそれっぽい。
メーカー側に悪意があれば、期末などに大量の商品を押しつけられるリスクがある。
だがワークマンは積極的に開示すればサプライチェーン全体で無駄を省け、むしろ味方を増やせると考える。
データを基に工場の稼働を調整すればメーカーは閑散期に大量生産でき、ワークマンはその分、安く商品を仕入れられる。
今後は海外メーカーへの開示も積極化する。
 
現代の、POS管理を徹底して、今後の需要予測をAIにさせるシステムとはかなり違うがとっても人間的だ。
できればこういう企業が成功例になってほしい。日本発。
そのうちワークマンにも優秀なAIロジックが導入されれば、それが最強なのではないだろうか。
 

破竹の勢いワークマン 秘密は「エクセル」

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ワークマンでは18年から新業態のワークマンプラスに注力する

8期連続で最高益更新

作業服チェーン最大手のワークマンは2019年3月期、8期連続で最高益を更新した。アウトドアに特化した新型店が好調の原動力とされるが、理由はもう一つある。徹底したデジタル化だ。高度な人工知能(AI)よりむしろ昔ながらの「エクセル」を駆使。上意下達ではなく、全社員がデータを基に議論するようになった。その強さは販売の最前線に見て取れる。
朝7時。ワークマン足立区役所前店(東京・足立)の開店と同時に、建設作業員が駆け込んできた。当日の作業で必要な商品は現場ごとに異なり、働く人によってサイズもバラバラだ。だが作業員は迷うことなく長靴や安全ベストなどの会計を済ませ、足早に現場に向かっていった。
同店では約100坪(約330平方メートル)の売り場に常時1700品目の商品を陳列する。「以前は発注だけで毎日2時間かかった」と中西千賀子店長は話す。だが17年に導入した自動発注システムを使えば、作業はレジのボタンを押すだけ。時間はわずか10秒になり、6月の同店の売上高は前年比約1割伸びた。
大手アパレルが苦戦する中で、ワークマンが好調だ。19年3月期の単独売上高は669億円と前の期比19%伸び、営業利益率は20%を超えた。
けん引役が昨年立ち上げた新型店「ワークマンプラス」だ。低価格でデザイン性の高いアウトドア衣料が話題となり、客層を女性や若者に拡大した。既存店売上高の改善がそれを下支えする。前期は14%も増え、競合を大きく上回る。

全社員に分析スキル

原動力は全社で進めたデジタル化。入社2年目から研修を徹底し、エクセルの「関数」は必須スキルだ。営業担当者はiPad片手に独自の分析ソフトを駆使し、地域ごとの売れ筋商品や販売ピーク月などをデータベースから導き出す。改革の効果が顕著に表れたのが、需要予測の高度化だ。
アパレルチェーンでは一般的に、何が売れるかを予測し、適正量を仕入れて売り切ることが収益を左右する。見込みを外すと過剰在庫を抱えて苦しむことになる。
ワークマンはこの予測作業を大幅にシステムに任せようとしている。店長がレジ端末の「一括発注」ボタンを押すだけで納品される仕組みを、17年から順次導入する。
作業服は一般的なアパレル商品とは異なり、少なくとも10年程度は売り続ける。ワークマンは品ぞろえの97%を全国で統一し、店舗レイアウトも標準化している。そのため、どの商品を店舗のどこに置けば、いつ売れるかといったデータが膨大に蓄積されている。
このデータや直近の売れ行きを基に、発注すべき商品の種類と量を算出。個別店舗の発注作業を自動化し、適正な在庫を保てるようになった。ワークマンは主に、フランチャイズチェーン(FC)方式で展開する。経験が少ない人が店長になっても、発注作業で戸惑わずに済む。システム未導入店の欠品率は平均7%程度だが、導入店は約4%に改善した。
「データ分析力」を部長への昇進条件とする、「ショック療法」(土屋哲雄専務)も15年に実施した。既存店改革のハードルは、自らの経験をもとに現場の提案を握りつぶしかねない管理職の存在だった。そうした事態を防ぐため、客観的なデータを使って議論するよう求めたのだ。
これがワークマンの社風を形作る。店頭での在庫重複や売れない商品を検出するプログラムは、基幹システムから抽出したデータを活用し、社員がエクセルを使って開発した。土屋専務は「高度なAIよりも、因果関係を理解できるシステムの方が使いやすい。社員全員で使いこなすことが重要だ」と話す。

取引先にデータを開示

7月に入り本格化した夏のセールは、アパレル業界が陥っている悪循環の象徴だ。アパレル企業の多くは収益性よりも売上高を重視し、売れ残ると分かっていながら縫製工場などに生産を発注する。過剰に仕入れた商品を売り切るには、値引きに頼らざるを得ない。
ワークマンがデータ活用を徹底するのは、こうした悪弊と一線を画す狙いもある。焦点は調達量の適正化だ。店頭在庫や倉庫の空き具合といったデータを取引先メーカー31社に開示する。ワークマンが持つ需要予測データを基に、納める商品の種類や数量を考えてもらうためだ。そして同社は、メーカーが提示した数量を全て買い取る。
メーカー側に悪意があれば、期末などに大量の商品を押しつけられるリスクがある。だがワークマンは積極的に開示すればサプライチェーン全体で無駄を省け、むしろ味方を増やせると考える。データを基に工場の稼働を調整すればメーカーは閑散期に大量生産でき、ワークマンはその分、安く商品を仕入れられる。今後は海外メーカーへの開示も積極化する。
取引先と協力し、必要な商品を必要な量だけ生産すれば、利益を削ってセールを実施しなくても済む。作業服という「ニッチ」で勝負しているため、一般的なアパレル企業と競争環境が異なるのも事実だ。だが供給過剰に悩む業界がワークマンから学べる点は多い。

急成長のひずみも

破竹の勢いを続けるワークマンだが、急成長ゆえの弊害も生じている。17年には群馬県に物流センターを新設したが、出店増で「容量は既に不足している」(土屋専務)。
需要予測システムも万能ではない。ワークマンプラスが想定以上に話題を呼んだことで、「人気商品に顧客が集中し、冬場にはかなりの欠品が出た」と小浜英之社長は話す。過剰在庫を気にするあまり、機会損失が生じている。
同社は3月、「生産管理グループ」を新設。生産量のほか、物流センターに入出庫する商品やその時期などの見直しを進めている。「売れる商品を売れるタイミングで店舗に入れるようにする」(小浜社長)方針だ。
ワークマンは25年までに1000店体制を目指し、手薄だったネット通販も強化する計画だ。既存の仕組みを改善するだけでなく、新たな価値を生み出せるかでデータ分析の真価が問われる。
(勝野杏美、前橋支局 木村祐太)

次の人生を思う。

*[次の世代に]昭和の次に行く
空前の人手不足のなかで、企業を中途退職する人が増えているという。
団塊ジュニア世代が50歳に近づき「多くの企業で中高年がボリュームコストになっている」ということらしい。
ボリュームコストて。
 
一方若手は足りないらしい。
つまりアッパー45歳は月に45万円以上ももらい、重たくなっているということだ。
でそれに呼応して「なら早めにやめて次を考えよう」と今思える人は柔軟性がある。
そう。
多分アラフィフたちも今のうちだ。
セカンドキャリア、とか難しいことを言わなくても「定年後三十年」の"百年人生"を考えるようになってきたのだと思う。
こうして雇用が「流動化」してくれば、いい流れが生まれる。
キャリアのある人を柔軟に採用して、仕事を渡せるようになるだろう。
今のように「いったん雇ってしまったらリリースしにくい」という考えとは真反対だ。
「規制で縛るのではなくよりオープンに」は最も強い時代のキーワードである。
正規非正規の論争は早めに止めたほうがいい。

早めに次を考えた人は、早めに行動できる。

早期退職の大波は「高度成長期」を終わりにするための決算なのではないだろうか。
 

早期退職はや8000人、18年の倍 次を見据える中高年 上場企業1~6月

早期にキャリアの再設計に動く中高年も増えている
人手不足が続くにもかかわらず、大企業で定年前の退職を募る早期退職が増えている。2019年1~6月には上場企業の17社が合計で約8200人の早期退職者数を発表し、半期で18年を上回った。製薬など、業績が好調なうちに人員を適正化して事業環境の変化に備える動きも目立つ。応募者側も人生100年時代をにらみ、早期にキャリアの再設計に動く中高年も増えている。
■業績好調な製薬も
調査会社の東京商工リサーチによると、19年1~6月に上場企業が募集(または応募)を発表した早期退職者数は、18年の年間(12社、4126人)の人数の約2倍になった。7月以降もこのペースなら19年は年間で13年以来6年ぶりの1万人超えとなりそうだ。
45歳以上を対象にした早期退職者数が増えている。エーザイでは応募が当初見込みの3倍にのぼり、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスアルペンでも募集より20~35%程度多く集まった。
19年1~6月の17社のうち人員が多かった業界は電機(5社)と製薬(4社)だった。電機は経営再建に揺れるジャパンディスプレイ(JDI)や富士通など経営不振による人員削減だったが、製薬は様子が違う。
中外製薬は4月に45歳以上の早期退職者を募集。応募は172人にのぼった。同社は18年12月期の純利益が2期連続の過去最高を達成したばかり。だが「デジタル化で経営環境が大きく変わり、従来の専門性や技術で競争力を維持するのは困難」(同社)と将来への危機感が強い。希望者に退職金と特別加算金を支給し、外部の専門会社による再就職支援もする。
東京商工リサーチの二木章吉氏は最近の希望退職について、従来のリストラ型から「成長分野に事業転換するため余裕のあるうちに人員構成の見直しを進める『先行実施型』が増えている」と指摘する。
1990年代に大量に採用されたバブル世代(19年に49~52歳)や人口が多い団塊ジュニア世代(45~48歳)を削り、若手を増やして新分野の技能を育てる狙いだ。
■デジタル化に若手必要
年功序列型の賃金では企業の負担が大きい。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると大企業で年齢別に賃金が最も高くなるのは50~54歳(男性)で平均月給は51万円だ。45~49歳も46万円と高い。
団塊ジュニア世代が50歳に近づき「多くの企業で中高年がボリュームコストになっている」(日本総合研究所の山田久主席研究員)。一方で同所の調査では、およそ1千社の約8割が「若手の人材が不足」と答えた。
20年3月期に3期連続で増収増益を見込むエーザイも、デジタル対応や新薬開発に向けて組織の若返りを進める。45歳以上の約300人が3月末までに早期退職した。全従業員の9%にあたる人数だ。新卒採用は例年の約40人から100人規模に増やし、初任給を上げたほか20~30歳代の給与もベースを引き上げた。
日本経済新聞社が今月まとめた「社長100人アンケート」では5割超が年功序列型の賃金制度を見直すと回答した。業績が良く余裕のあるうちに退職金などを上積みして中高年の転職を促す。攻めの早期退職は人事と賃金制度の抜本見直しにもつながりそうだ。
■「人生100年」見据える
中高年の転職は難しいとされてきた。ただスタートアップ企業などの引き合いも強く過去の常識が崩れつつある。
総務省労働力調査では、18年の転職者数は329万人で8年連続で増えた。年齢別では45歳以上の転職者が124万人で5年前に比べ3割以上増えている。
日本人材紹介事業協会(東京・港)がまとめた人材紹介大手3社の紹介実績でも、18年10月~19年3月の41歳以上の転職者数は5028人で、前年同期比40.4%も増えた。世代別でも最も伸び率が大きい。
リクルートワークス研究所によると、企業が年功序列型から成果主義型にシフトするなか、上場企業で40歳代で課長になる人は10年前に比べて2割減った。大久保幸夫所長は「40歳代で会社での自分の先が見えてしまい、モチベーションを持って働くために早期退職で新天地を求める人が多い」と分析する。
また「今のうちに厚待遇を提示してくれる別の会社に移り70歳まで働きたい」(メーカーを早期退職した55歳男性)と長く働ける環境を求める人もいる。
政府は人生100年時代を見据え、中途採用の拡大に力を入れている。大企業には中途採用の比率の公開を求める方針だ。転職先の選択肢が広がれば、成長企業への人材移動が進みやすくなる。
中途採用市場が広がり、年功ではなく実力主義の評価・賃金制度を持つ企業が増えれば、高齢者も60歳を超えて再雇用になって賃金が一律でカットされるといったことがなくなり、モチベーションの維持にもつながる。
(中藤玲)

VCは人による

日経産業より。
*[ビジネス]最後は眼力。
日本勢のVC(ベンチャーキャピタル)の成功例が非常に少ないという記事。
確かに日本の大企業VCでシリコンバレーで成功したという話は聞かない。
日本人の起業家による投資の話もあまり聞かない。
記事では「投資の成功のカギは人脈にある」とされているが、つまりは「VCとしての起業家マインド」なのではないだろうか。

 大企業やファンドからお金を集め、「妥当なところ」に投資する。

日本のVCのように「協調投資」を考えていては、なかなか大きな成果には結びつきにくい。
「何が何でもこの会社(起業家)を応援する」というVC魂がないと投資家の世界も厳しいようだ。
 
翻って日本の金融機関も「その経営者を応援する」という姿勢は乏しいと聞く。
もっとも、そんな担当者の「個性」に頼っていては標準化が難しいが、「投資」とか「融資」というのは実はそういう「一点もの」なのではないだろうか。

 個人相手の消費者金融では「スコアリング」が話題になっているが、事業を志す起業家の「目利き」は当面コンピュータには難しいのではないだろうか。

 
VCの成否は人間力
2019年7月5日 4:30
日本企業でコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)の立ち上げが増えている。CVCはベンチャー・キャピタル(VC)の一種であり、親企業の都合よりもシリコンバレーベンチャーコミュニティーで認められるようでないと情報さえ入ってこない。そういう意味で、CVCはまずVCから基本を学ぶべきだ。しかし日本人によるシリコンバレーのVCで手本となるのは数社程度だ。
めんじょう・ひろし 小西六写真工業で新事業開発に従事。BCGを経て1991年にシリコンバレーに移住。新事業コンサルティングを経て、ベンチャーキャピタル及びファンド・オブ・ファンズを組成。
トランスリンク・キャピタルはそのひとつ。大谷俊哉氏が韓国系と台湾系の米国人2人と2006年に立ち上げた。最初のファンドから5千万ドルを集め、最近の4号ファンドまでの累積投資額は6億ドル以上だ。トランスリンクは当初から良好な投資実績を示したので、次のファンドを組成するに従って規模を広げた。
大谷氏は三菱商事シリコンバレー駐在員から米国の地元ベンチャー企業に転じて活躍。日本企業のCVCを経て、投資仲間だった他の2人と共同創業した。
DNXベンチャーズ(ドレイパー・ネクサスから社名変更)も急成長している。11年に5千万ドルのVCファンドを立ち上げた。その後、16年に1億7500万ドルの2号ファンドの組成に成功してから勢いは止まらず、最近運用を始めた3号ファンドの規模は3億ドルに迫る。
米国側の創業者は元JAIC America(日本アジア投資の米国法人)の北村充崇氏だ。ニューヨークの日本貿易振興機構ジェトロ)で米国ベンチャー企業と日本企業との橋渡しなどをしていた。2000年にシリコンバレーに移り、JAICメンバーとして投資を始めた。
シリコンバレーでは全く無名のJAICであったので、北村氏個人の力で投資案件を発掘するしかなかった。その長い下積みの間に著名VCのティム・ドレーパー氏の知遇を得た。
日本人VCの成功に共通しているのは「シリコンバレーでVCを絶対に立ち上げる」といった強い意思と、長期にわたり資金調達と投資を続ける持続力だ。個々の人間力シリコンバレーでは相互信頼を生み、人のネットワークができる。それが優良な投資案件につながるのだ。
日本のCVCで一番心配なのはこの点だ。大企業のロジックで人員を配置するような考え方では、CVCがシリコンバレーのコミュニティーで存在感を持つことは難しいだろう。逆説的だが、すぐにでも独立して自分のVCを立ち上げるような強烈な人間力のある人をCVCに据えることが成功につながるのだ。
日本企業のCVCでも強烈な人間力の社員が引っ張るようなところが出てきた。そのようなCVCに抜てきされた社員は、能動的に経営トップを動かそうとするくらいの気概がある。このような人物は今までの人事評価軸では収まらないから、経営トップが自らCVCに関わり、社員の「骨を拾ってやる」くらいの度量を持って対処している。
VCとCVCのどちらにおいても、このような先人に続き本物の成功例が次々と出ることを期待しよう。
日経産業新聞2019年7月2日付]

熾烈な競争。

*[ウェブ進化論]技術の色合い。
日経より。
スマホアプリ開発で「プログラミング不要」のサービスが受けているという。
どんどん早く、簡単に。
この流れはとどまるところを知らない。 
というかIT産業のこれまでの流れは「それ一本」だと言ってもいいだろう。
 
しかし。
そんな最前線の競争は熾烈だ。
自分は三十年以上ITの世界にいるが「最前線の仕事」は劇的に変わっている。
群雄割拠、まるで戦国時代のよう。
 
一方「バックヤードの仕組み」は構造的にはそれほど変わってはいない。
「ユーザーとのやり取りの部分」については技術革新が進むが、未だに中央のホストコンピュータは健在だし、業務の流れも大きくは変わっていないと思う。
 
*大変なのは最新のAIやIoTを使って「ユーザーとのやり取り」を作る人たちである。
それこそ日進月歩のハードやセンサーの技術を使いながら、なによりも「ユーザーの商流」に合わせたものを開発せねばならない。

AIの開発で純粋にアルゴリズムの研究だけをしている人はごく少数だ。

多くの技術者は「何のためのAIか」という命題と日々格闘しているのである。
「どんどん早く、簡単に」の波はまだまだ止まることはないだろう。
そんな流れに乗って事業を始めてみるのもいいチャレンジではないだろうか。
 
ヤプリ、プログラミング不要で電子商取引を簡単に
2019年7月12日 4:30
ヤプリ(東京・港)はプログラミング不要でスマートフォンアプリを開発・運用できるクラウドサービス「Yappli(ヤプリ)」を提供している。電子商取引(EC)の拡大や働き方改革を追い風に顧客数が順調に増えており、6月にはベンチャーキャピタル(VC)などから約30億円の調達を決め、成長を加速する。庵原保文社長に今後の戦略などを聞いた。
庵原保文(いはら・やすぶみ)社長 01年(平13年)明治学院大経済卒、トランスワールドジャパン入社。ヤフー、シティバンク銀行を経て13年にファストメディア設立。17年にヤプリに社名変更。東京都出身、42歳

マーケティング支援に注力

――調達資金をどのように使いますか。
「企業のマーケティング支援に力を入れる。主要顧客であるアパレルや飲食業、小売・流通企業ではECの売り上げを増やすため、ゾゾタウンのような様々な店舗が集まるモール型から自社サイトにシフトしようという動きが出ている。これに対応し、各社がスマホアプリでECができる機能を開発している」
「今まではウェブをアプリのように見せていたが、新機能を導入すると自社のサイトとアプリを連携させ、商品を素早く探して快適に購入できる。1社あたりの売り上げを増やせる」
――ヤプリの導入企業は300社を超えました。
日本取引所グループ青山学院大学が導入するなど顧客の幅が広がっている。これまでアプリをつくるにはシステム会社に開発を依頼する必要があり、2000万~3000万円の費用がかかることが多かった。当社はクラウド経由でソフトを提供するSaaS(サース)を通じて、直感的な操作でアプリの開発や運用ができる。初期費用は200万~300万円と、約10分の1に抑えられる」
「IT(情報技術)に詳しい人材が少ない企業もサービスを使いこなせるように顧客サポートに力を入れている。解約率は1%以下で、売上高は前年比2倍のペースで成長している」
――今後の計画は。
「3年後に1000社への導入を目指す。開発プログラマーを中心に採用を増やし、従業員を現在の140人から2020年には200人に増やす。今期と来期は広告宣伝費や人件費などの投資が先行し、赤字が続く。黒字化は3年以内を視野に入れている」
「新たな軸として、社内のビジネスや働き方を効率化するためのアプリも提案する。社内利用の目的ではすでに約20社が導入している。例えばダスキンでは本部から各地の店舗の販売員への情報伝達にアプリを導入することで会議をゼロにして、年間数千万円の経費削減につなげた」
――新規株式公開(IPO)の予定は。
「当初は19年中の上場を考えていたが、投資家から『急いでIPOする必要はない』と助言をもらった。これまでの資金調達額は約10億円。投資効率は良いが、我々の中では『攻めきれなかった』という反省もある。現在は未上場でも資金を調達しやすい環境にある。先行投資で攻めきり、企業価値を大きくしてから上場したい」
プログラミング不要でアプリを開発・運用できる(Yappliの管理画面)

投資効率の維持が課題

 ヤプリは庵原保文社長らが2013年に設立した。プログラミングの知識が必要で、製作に時間も資金もかかっていたアプリ開発クラウドを活用することで「価格破壊」を起こした。売上高は急拡大している。
 これまで3回の増資などで10億円を集めてきたが、昨今のスタートアップ業界では手堅い印象もあった。30億円の大型調達に踏み切ったのは世界の動向もにらみ、成長スピードを上げる狙いがあるようだ。意識するのはカナダのショピファイ。同社は世界で80万以上の企業が使うEC基盤を提供し、日本にも進出している。庵原社長は「今期の売上高は前期の2倍以上に増やしたい」と話す。
 課題は調達資金を有効活用できるかどうか。6月に東京・六本木の高層ビルにオフィスを移転し、スペースを従来の4倍に拡張した。広告宣伝ではテレビCMも検討する。これらの施策は人材採用や認知度向上には有効だが、売り上げが伸びなければ、かえって投資効率が落ちかねない。規模を拡大しつつも、投資効率を維持できるかが問われそうだ。
(企業報道部 鈴木健二朗)
日経産業新聞 2019年7月2日付]
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国の意味。

日経より。
日本人こそ自分のアイデンティティに「国」を強く求めている、と聞く。
一方アメリカほど歴史が浅く、多国籍民族の国が選挙の国籍表示で揉めている。
いったい国籍とはなんだろうか。
その国に住む権利だとすればそもそも「国」とはなんだろうか。
単なる「まつりごと」のための単位ではないのだろうか。
 
かつてないほど技術革新が進む。
ウェブの世界はますます膨れ上がり本当に「あっちがリアル」になる日も近いだろう。
あっちの世界には国はないから「国」を政治の道具にするのではなく、もう少し住みやすい国づくりができるのではないだろうか。
「ウェブのこれから」に、実はリアルの世界をこれから統治していくヒントがあるような気がする。
"国境のない世界"をシミュレーションできるのはあそこだけだから。
 
トランプ政権、国勢調査「国籍欄」で大混乱
2019年7月5日 16:06
米司法省高官は3日、2020年に実施する国勢調査で国籍に関する質問項目を設けるための方法を探るよう指示を受けていることを明らかにした。米政府はこの前日に、調査票に国籍の質問項目を盛り込まずに印刷を始めると公式に発表したばかりだった。
このことは、トランプ米大統領ツイッター上で国籍欄のない調査票の印刷が始まったとする司法省や商務省の公式発表を覆す意向を示した数時間後に、緊急招集された電話会議で明らかになった。
国勢調査での「国籍項目」追加は、米国内で物議を醸している=ロイター
司法省民事局を率いるハント司法次官補は電話会議で「我々は省内で最高裁の決定に沿う形で国勢調査に国籍に関する質問を含めることができるかどうか検討するよう指示されている」と述べた。
同次官補は、司法省が国籍を尋ねる法律上のハードルを越える方法を突き止めたと確信できれば、最高裁に直接不服を申し立てるとした。
ニューヨーク州など「憲法違反」で提訴
こうした発言は、国籍項目を巡る対立が長引くことを示唆している。反対論者にとっては、国勢調査局が2日に「国籍項目なし」の調査票が印刷されるとの発表を喜んだのもつかの間、肩すかしを食らった格好だ。
国勢調査で国籍を問うことに関しては、野党・民主党の支持者が多いニューヨーク州などが憲法違反であるとして商務省を相手取って提訴するなど米国内で物議を醸している。最高裁は6月27日、国籍項目の追加には「正当な理由が必要」だとして、項目の追加を一時保留する判断を下していた。これは、トランプ政権に戦略を練り直す余地を与えたものでもあるが、国勢調査が予定通り来年の実施となれば、それまでに間に合うのかは不明だ。
政府発表を否定する大統領のツイートが、政権内で何が起きているのかを問いただそうとする2人の連邦裁判官を動かした。冒頭の緊急電話会議は、政府に対する申し立てを監視するメリーランド州のヘーゼル判事が招集したものだ。ニューヨーク州で同様の案件を担うファーマン判事も、書面による説明を求めた。
ヘーゼル判事は明確に苦言を呈したうえで、5日午後2時までに国籍項目を削除することを認めるか、そのまま訴訟を続けるのかの回答期限を課した。訴訟を続ける場合、追加される国籍項目に共和党や非ヒスパニックの白人を利する狙いはないことを証明する具体的なスケジュールを示すよう求めている。
■「非常に不愉快」
「言うことがばらばらで非常に不愉快だ。もし米フェイスブック法定代理人がある事実を語り、同社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が書いた記者発表内容が全く別の事実を語っていたとしら、私は代理人ザッカーバーグ氏の双方に出廷を命じるだろう。法定代理人フェイスブックを代弁しているとは思えないからだ」。7月4日の米祝日を踏まえて期限延長を求めた司法省のガートナー弁護士に、ヘーゼル判事はこう憤った。
休暇先から電話会議に参加したとみられるガートナー氏は会議の冒頭、トランプ氏のツイートで「この問題に関する大統領の見解は初耳だ」と述べた。
同氏は「これが現時点で何を意味するのか、大統領がツイートしたこと以外に私にはよく分からない」とした上で、「だがお分かりのように、当然のことながら事態を理解しようと最善を尽くしている」と語った。
ガートナー氏は、国勢調査局が国籍質問のない調査票の印刷作業を継続していることを確認しているとも述べた。
トランプ政権は国籍項目を加える理由として、差別を禁じる連邦選挙法を強化するためだと説明する。最高裁はこの説明に納得していない。
■選挙区振り分け、人口でなく国籍で
国籍項目の追加に反対する人々は、人口ではなく国籍に基づいて選挙区を振り分けることで、共和党を有利にすることが真の狙いだと批判している。かねて共和党支持の選挙区再編の専門家(故人)が「共和党員および非ヒスパニック系白人にとって有利」な国籍項目の導入を強く求めていた経緯があるからだ。
緊急の電話会議が開かれた前日の2日、ロス商務長官は、国勢調査局が「(国籍を問う)質問のない調査票を印刷する作業に着手した」とする声明を発表した。
だがその発表から24時間もたたないうちにトランプ大統領は、商務省は国籍項目を加えるという「目的の追求を諦めてはいない」とツイート。「国籍を答えることはとても重要であるからこそ、我々はこれを実行しなければならず、確実に前進している」としたことで政権内の混乱が明らかになり、冒頭の電話会議が招集されるに至った。
By Kadhim Shubber
(2019年7月4日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/
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自分を計る(3)

*[ウェブ進化論]助言アプリ。
自分のことは、実は一番自分がわかっていないという。
 (ジョハリの窓の「解放、盲点、秘密、未知」というのはなかなか興味深いものです)
相談の技術の一つに「自己覚知」というのがあるのだが「自分の内面」をいくら探しても終わりのない問答のような一面がある。
こういうことにデジタル技術は役に立つ。
 
自分は果たして他人や外部に対してどんな要素を持つのか。
好意的だろうか。
それとも実は攻撃的?
排他的だろうか。
いやそもそも人間なんてみんな排他的ではないの?
共感的?それとも同調してるだけ?
ああ。
わけの分からないことになってくる。
 
そんな自分の会話中に「あなたは今少し感情的になっていますね」とか居酒屋で「そろそろ切り上げたほうがいいですよ」とかこっそりアドバイスしてくれれば実に役に立ちそうだ。
とそんなことを書いていて、普段の自分ってなんて気ままに過ごしているのか、と驚いたりしている。
そのくらいのスマホアプリなら今すぐにでも開発できそうですがどうでしょうか。

自分を計る(2)

*[ウェブ進化論]すべてを記録に。
 "eポートフォリオ"という探究型教育が十年後には成果を出すという。
それはとても楽しみだが、もっと「いろいろ記録」の時代がやってくるだろう。
街中の監視カメラはともかく、自分の毎日を記録する「自分レコーダ」の時代だ。
Google Glassみたいなもの(それすら必要ないかもらしい)で、一日中自分の行動を記録する。
睡眠の様子や毎日の起床時間や健康状態なども分かるから、いろんな助言がもらえるだろう。
仕事や勉強していても、(望めば)セールスフォースのように「そろそろメールしてみてはどうですか」なんて通知が飛んでくるのにちがいない。
 
もっともっと役に立つかもしれない。
自分の過去五十年分のデータ蓄積があるとする。
数百年後には何代分もの記録がたまっているだろう。
 
人類は未だ争うことをやめないけれど、そんな記録が色褪せずに溜まっていけばそのうち「諍いをなくす知恵」が生まれる、と思うのは楽観的過ぎるだろうか。
なんだか貧困と戦争のない世界が来そうな気がしてきた。
(つづく)

自分を計る(1)

*[ウェブ進化論]記録がもたらすアドバイス
神田昌典さんの講演を聞いて驚いた。
本格的な「探究型の教育」がすでに始まっているという。
 
"eポートフォリオ"という名前でそのココロは「学生が探究活動や課外活動、資格・検定等の実績をインターネット上に蓄積する「学びのデータ」」ですと。
つまり「学校の成績や学外活動の履歴や研究の実績」なんかが(改ざんできない)ブロックチェーンで共有されるってことらしい。
企業は優秀な中高校生とコンタクトして、共同研究なんかもできるという。
 
立派だ。
文科省よいつの間に、と。
自分などは学業に熱心ではなかったが、こんな風に「実社会とつながれる仕組み」があればやる気を出す若者は多いだろう。
何せ学生さんは「一人前扱いされないこと」に大きなストレスを持っている。
自立したい若者は多いだろう。
また、そうなれば周囲の同年代の「学びの様子」も共有できるわけで、刺激にもなる。
そうそう引きこもってもいられず「自分も何か探そうか」という気分にもなるだろう。
何をするのも自由な感じがいい。
関心のあるテーマとか、好きな音楽や書物とか、暮らしの習慣とか習い事とか。
壮大な自分の記録が蓄積されていけば、何より「自分で過去を振り返る」ことができる。
そしていろんな人にアドバイスをもらうこともできるだろう。
多様な"生き方の共有化"の時代に入っているようだ。
これまでの教育とは大違いだと思う。
(つづく)

性の複雑。

*[ジェンダー]もはや何が何だか
先日、福祉関係の友人が「もはや世の中は男や女だけではない」と言っていた。
例のトイレ利用の性別の話題が引き金だ。
 
聞くと
「異性という意味では
"女が好きな男(今はノーマル)"
"女が好きな女"
"男が好きな女(今はノーマル)"
"女が好きな女"
"どちらも好きな男"
"どちらも好きな女"
さらには
"女が好きな男(ノーマル)"を好きな女
"女が好きな男(ノーマル)"を好きな男
"女が好きな女"を好きな男…とどんどん増えていくらしい。
 
人の性的指向というのはそれほど複雑なものか。
文学などは、こういうことを微に入り細に入り面白く説明しているのだ、とも取れる。

 性の話が一気にオープンになり、みんなが秘めていた「内なるもの」がどんどん表出しているのだろう。

自分だってかっこいい男性に惹かれることはあるし、女性同士の動画だって…
と自分を深掘りするのはやめよう。
何か知らないものが出てきそうだ。

これが国政

*[次の世代に]モダン・ウーマン。
日経より上野で開催中の紹介。
フィンランドの女性大統領が19世紀から優れた政をしていたという。
列強にはさまれた小国は、芸術・文化で国を強くしようと男女が平等に入学できる美術学校を創り、女性のパイオニアを次々に送り出したのだという。同時代の芸術の都パリでもありえなかった話だ。
つくづくこういう話を聞くと日本には方針がないなぁと嘆息する。
日本が大きすぎるのかもしれないが、国民が多くなると何にしてもまとまらないのだなぁと感じられて仕方ない。
 
税金についても女性の活躍についても労働問題についても年金についても。
どれも話には出るのだが全然結果が見えないな、と感じている人はとても多いだろう。
こんな記事を見ると、どうも世の中は「男が主導権を持っているから上手くいかないのではないか?」とすら思う。
女性に一度世の中のいろんなことを判断してもらったらどうだろうか。
まあ女性のリーダーでも"おっさん気性"な人は結構いるけれど。
 
 
 
春秋
2019年7月6日 2:00
今から15年ほど前のこと、フィンランド最北端ラップランド地方の村で少女が父親に尋ねた。「ねえパパ、男の人も大統領や知事になれるの?」。彼女が暮らしていた行政区の知事はハンネレ・ポッカさん、国の大統領はタルヤ・ハロネンさん、ともに女性だったのだ。
▼東京・上野の国立西洋美術館で始まった美術展開幕時のあいさつでペッカ・オルパナ大使が披露したエピソードである。ポッカさんは今は環境省事務次官を務め、ハロネンさんは12年の在職中、国民に「ムーミン・ママ」と慕われた。くだんの少女は24歳になり、先ごろ母国の緑の党で2人の女性副党首の1人になった。
▼上野で開催中の「モダン・ウーマン」展は、19世紀以降のフィンランドの近代美術を率いた女性アーティストを紹介する。列強にはさまれた小国は、芸術・文化で国を強くしようと男女が平等に入学できる美術学校を創り、女性のパイオニアを次々に送り出したのだという。同時代の芸術の都パリでもありえなかった話だ。
▼4日に公示された参院選では立候補者の女性比率が戦後最高の28%に達した。とはいえ男女が平等な政治参画の実現とはまだまだ言いがたい。どんな世界であっても、道をきりひらくロールモデルが必要だろう。日本の少年少女が誇ることができる「ムーミン・ママ」の一日も早い登場を期待して、一票を投じたいと思う。
 

 

利便が規制を駆逐する。

日経Xトレンドより。
*[ウェブ進化論]当たり前の歴史。
顔認証がいよいよ実用化し、その適用範囲が議論されている。
こんな便利なもの、あっという間に普及するだろう。
 
街中から自宅から、スタジアムやら交通機関や旅行でも顔認証。
電子マネーすら持ち歩く必要もないだろうか。
(そうするとお金はどこにあるのだろう)
それはともかく。
中国のように「国が"全ての国民を把握すること"だけをどうして防ぐか」が唯一の焦点だろう。

 野党が活躍できる大舞台だ。

こんな規制はやり始めだけになるだろう。
例えば、店舗の入り口において、「当店では、『リピート分析』を○月○日より開始します。リピート分析とは、お客様の来店履歴や…(以下略)
こうした技術の普及を聞くにつけ「テクノロジーの進化は人の命よりも重いのか」なぁ、と最近よく思う。
 医療でも車でも宗教だって、毎日大量の人が亡くなっているけれど「便利をやめよう」と自分たちは言わない。
薬の副作用で人が死んでも、全体として人の寿命が延びていたり、
交通事故が起きても移動が便利だったりするのが自分たちの総意なのだと思うと、少し複雑な気分になる。
技術の発達というのはそういうものなのだ、と言われればそれまでだが、けれどもスマホを手放さない自分はやはり「利便追求側」の人間なのであった。
 
日本でも広がる「顔認証」 法的に問題になる点は?
2019年7月6日 4:30
東京五輪パラリンピック大会組織委員会は、選手や大会関係者の会場入場時に顔認証システムを導入する。ボランティアを含む30万人以上の顔情報などを事前に登録し、顔認証によって不正入場等を防止する。今回は、弁護士の二木康晴氏に、顔認証の法的問題点を聞いた。
――顔認証は広がっているのか。
二木康晴弁護士(以下、二木) 従前、本人確認のための顔認証は、撮影時の明暗、顔の向きや角度等によりその精度が大きく左右されてしまうことから、実用化には課題があった。しかしながら人工知能(AI)技術の発展により、現在ではその精度が飛躍的に向上している。スマートフォンやパソコンにおいても顔認証が採用される例が増えており、18年11月までに羽田空港を含む5つの空港の出国審査上および上陸審査場に顔認証ゲートが導入されている。さらに、最近では、決済等でも顔認証を活用し、まさに「顔パス」での代金支払いを実現しようとする試みも検討されているところである。
――顔認証は他の生体認証と比べて何が優れているのか。
二木 顔認証の大きな特徴の一つは、特別な提供動作が必要ないことにある。例えば、指紋認証や静脈認証は、指や手のひらを特定のハードウエアに乗せるという動作が必要となるが、顔は日常的にさらしている部位なので、本人にあまり意識をさせずに認証を行うことができるし、歩きながら認証を行うことも可能である。また、大勢の人がいる中で、特定の個人を探し出すことにも活用できる。例えば、東京ドームで子どもが迷子になった際に、親が子どもの写真さえ持っていれば、東京ドーム中の防犯カメラを活用し、一発で子どもの位置が分かるようになるかもしれない。
――顔認証が問題となることはないのか。
二木 顔認証が過去に問題となった事例は少なくない。例えば、14年4月には、情報通信研究機構が予定していた大阪駅と駅ビル「大阪ステーションシティ」の通路等で顔認証により通行者の動線を把握する実験が、市民や有識者からの懸念を受け、延期された。また、米グーグルが限定的に販売していたメガネ型のウエアラブルデバイスである「Google Glass」も、プライバシーの観点から懸念の声が上がり、15年に販売が中止されている。最近の若者の間では、SNS(交流サイト)によって、顔写真と共に名前や学歴等の個人情報を投稿することが一般的になっており、メガネ型のデバイスで顔認証を行うと相手に全く気づかれることなく、名前や学歴等の情報を検索して当てるという、手品のような芸当すらできてしまう。
――法的にはどのような問題があるか。
二木 一般に、顔認証に用いる顔を認識したデータは、個人識別符号に該当するため個人情報とされている。そのため、その取得、利用に当たっては個人情報保護法を順守しなければならない。例えば、顔認識データの利用目的を特定したうえで(個人情報保護法第15条1項)、取得するに当たっては、利用目的の通知または公表が求められている(個人情報保護法第18条1項)。また、データの漏洩、滅失、毀損の防止のために必要かつ適切な安全管理措置を講じなければならない(個人情報保護法第20条)。
また、個人情報保護法を順守したとしても、その利用態様次第では、肖像権やプライバシー権の侵害に該当することがあるので注意しなければならない。
――プライバシー権の侵害を避けるためには常に相手の同意が必要となるのか。
二木 プライバシー権侵害を避けるためには、相手方の同意を取得するのが原則である。もっとも、来店客に対して顔認証を行う際に、いちいち書面による同意を取得することは現実的ではない。同意は必ずしも書面で明示的に取得する必要はなく、黙示的な同意を取得することも考えられる。
例えば、店舗の入り口において、「当店では、『リピート分析』を○月○日より開始します。リピート分析とは、お客様の来店履歴や店舗内での移動状況などを店舗内カメラの映像情報から把握するものです。この取り組みは、マーケティング(商品開発等)で活用するとともに、快適にお買い物をお楽しみいただけるよう、適切なレイアウトの検討および品揃えの充実、商品棚の欠品防止を図るものです」というポスターを見やすい位置に掲載し、これを承諾した人のみを来店させるという方法もあり得るだろう。
実際の掲示方法や文言等については、IoT推進コンソーシアム、総務省経済産業省がカメラ画像の利活用について整理した「カメラ画像利活用ガイドブック」を公表しているため、参考とするのがよい。
店舗入り口での掲示(ステッカーと告知文面)の例(IoT推進コンソーシアム、総務省経済産業省「カメラ画像利活用ガイドブック」に基づき、日経クロストレンド編集部作成)
店頭入り口での掲示(ポスター)の例(IoT推進コンソーシアム、総務省経済産業省「カメラ画像利活用ガイドブック」に基づき、日経クロストレンド編集部作成)
(Legal Technology代表取締役CEO弁護士 二木康晴)
[日経クロストレンド 2018年11月6日の記事を再構成]
 

 

最後の紙

*[ウェブ進化論]電子チラシ。
日経MJより。
昭和の伝統「折り込みチラシ」もいよいよなくなりそうだ。
その名も「Shufoo!(シュフー)」
チラシを挟む側の新聞といい、いつまで経ってもデジタル化されないものの理由は「利用者側にデジタル習慣がないこと」だ。
ついに80代の世代が携帯電話とメールを使う時代になり、さらに怒涛の「団塊の人たち」が主役になる。
 
紙チラシと違うのは、「リアルタイムの情報」を送れることとか、値段比較や検索が一発で出来ることとか、店長が状況を見ながら「よっしゃ!30分後にタイムセールです!」とかを近隣に対してやれることだ。
客が「半額になったらマグロを買いに行こう」とかいうこともできる。
店長は「あ、今日は値引きはやめておこう」ということもできる。
もちろんポイントも付く。
自宅で頼んで配達してもらってもいい。
決済もできるようになるだろう。
 
そしてそんな電子チラシも、毎日amazonから届くようになるのだろうか。
 
 
電子チラシ「シュフー」、アプリ刷新 店がブログ風発信
2019年7月6日 4:30
電子チラシサービス「Shufoo!(シュフー)」がチラシを超えた情報発信に力を入れている。閲覧数の9割を占めるスマートフォンアプリ向けに、ブログのように独自情報を投稿できる機能を春に加えた。位置情報やポイントなど小売店の販売を後押しするサービスが広がっており、デジタルの時代ならではの「次世代チラシ」を確立させ、より多くの消費者を契約店舗のファンに育てる。
シュフーのスマホアプリは4月に刷新した
デジタルを生かした小売店の販売支援策は広がっている。LINEは位置情報を活用し、決済やポイント戦略を組み合わせたアプリはセブン&アイ・ホールディングスなど小売りの巨人も手掛ける。
そのなかでシュフーは「価格に対する意識の強い消費者が、自分から希望して使ってくれている大きな情報基盤」(和田氏)との強みがある。小売店にとっては、情報をアピールしたい商圏の消費者に対し、正確に無駄なく接触できる利点がある。
シュフーと契約するのは小売店が中心だったが、飲食店や学習塾にも広がっている。自治体や警察署が広報誌を配信したり、出版社が雑誌の一部を試し読み目的で流したりするケースもある。アイデア次第で用途はまだ広がりそうだ。
(藤村広平)
[日経MJ2019年7月3日付]