藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

プロ弁護士の仕事術 矢部正秋著(その7)


自分が影響を受けてきたいくつかの書を通じて、中でも最近感じること。
キーワードは「共感」だ。


共感力、とは誰かが言ってたか。
共感力、とは自分なりには、「我」を捨て、相手の側から者を考え察する能力。


糸川(英夫)理論では「デセンター」(センターを相手がわに移す)と呼んでいたし、7つの習慣では「理解してから理解される」と表現されていた。


ま、本当に「原理原則」は同じようなことなのだな、と思う。
当著にも同様の指摘がある。


リーダーシップと共感について

プロ弁護士の思考術 (PHP新書)

プロ弁護士の思考術 (PHP新書)

<共感の4タイプ>

1. 他人におよそ共感できないタイプ
2. 他人に共感できるが、自分のほうが正しいと思うタイプ
3. 他人に共感でき、相手を理解しようとするタイプ
(p141)


<リーダーの資質>
よく部下の感情を無視して強引に事を進めるのがリーダーシップだと誤解している人がいる。


まったくの誤りである。
われわれは統率力を、ただ力強さや大胆さなどに求めがちであるが、むしろその根本をなすのは、こまやかな他人への共感性である。(中略)


従来、大名といえば部下の生殺与奪の権利をもっていると思いがちである。
だが、実態はそうではない。


横暴な主君はしばしば座敷牢に入れられたり、毒殺されたりしたのである。
江戸時代でさえそうだから、まして下克上の戦国時代は、意のままに家臣を操縦できたわけではない。


「部下を使うことは、夏に火鉢を抱くようなものだ」と(黒田)孝高(よしたか)は息子の長政に語ったという。

  • 三十を超えてやっと実感することだが、武士を使うのにはコツがある。


夏に火鉢を抱くかのような、日照りのときに傘をさすかのような、無駄とも思えるほどの堪忍を守らなければならない。
そうしなくては家臣は自分に服してこないのだ。
(『武士道 サムライ精神の言葉』笠谷和比古監修 青春出版社)(後略)
(p145-6)

リーダーシップも共感力か


夏に火鉢を抱くほどの忍耐。
これはつまり、それほどの「共感を要する」ということではないか。


部下は、先輩はなにを考えているか。
どんな心理状態か。


先方の目線からみた自分は(先ほどの自分の客観視よろしく)驚くほど「自分の抱くイメージと違う」かもしれぬ。


それは相手の「心理状態」を慮(おもんぱか)り切っていないから、だ。


どうしても自分の次、二の次、にしてしまう。


熱を入れて仕事をしない部下。


必ず、何かわけがある。
客先との関係かもしれぬ。
友人や家族のことかもしれない。
自分の健康のことかも。


それをどこまでも追いかけ、「思い巡らす力」もリーダーシップなのだ。


甘やかすのではなく、
共感するのだ。


マサカ、はまさかでなくせる。


<三十%は常に例外を想定せよ>

(前略)私の経験では、一般的には三○パーセント程度、偶然が介入する可能性を考えておいたほうがよいと思う。
(中略)
だから、大丈夫だと思ったことも、三○パーセントくらいは「マサカ」のために引っくり返ってしまうと考えてもいいのではなかろうか。
偶然を取り込まない予想は脆弱である。従来の論理思考や合理的思考は、この点が決定的に弱いので、実務では使えないのである。
(p165)

これも実務上の大いなるヒント。


事業計画でも、
旅行でも、
ベンキョウでも、
遊びでも
デートでも、


「三割は全く予想外のことが起こるかもしれない」と心算しておく。


いざ始めてみて「アレッ?」と思うのと、
「やっぱりこんなことが起きたか」というのでは、受身の取り方が違う。


またこれも例の「オプション発想」に通ず。
あらかじめ「偶然のオプションがあるかもしれない」と思う心の余裕よ。



簡単なことのようだが、これも大切な「心の構え」なのだ。


(その7おわり)