藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

潮の変わり目。


米で電子新聞の幕開け。
日本の新聞も一部タブレット化、pc化していたが、ルパート・マードック率いる「ザ・デイリー」は規模がちがう。

ページ数は最大100ページ。編集者はニューヨーク・ポスト紙や米経済誌フォーブスなどから招き、記者も大手メディアなどから100人ほど雇った。


動画や、360度眺められる写真など、本格的なweb対応の様子も見える。
またマードックは言う。

購読料は週99セント(約80円)、年間契約だと39.99ドル(約3300円)。マードック氏は「数百万人が購読すれば成功。野望は非常に大きいが、コストは非常に低い」と強調。「紙も、数百万ドルの輪転機も、輸送用のトラックもいらない。ここで浮いた分を読者に還元する」と話した。

「紙も、数百万ドルの輪転機も、輸送用のトラックもいらない。ここで浮いた分を読者に還元する」と話した。」
結局「この部分」が費用対効果、つまりwebのメリットの最大の利点となりえるかどうか、だと思う。
週80円の安さと、残るは取材費、編集費に集約されるコスト構造。
これこそが「既存の記者、取材、輪転機、紙代、輸送費、販売費」にとって代われるならば、ついに「紙新聞」の時代は終わるのかもしれない。


紙媒体のオールドエスタブリッシュメントは、注意深く、だが機を逃さないように「紙からweb」へのコンテンツとデリバリーの乗り換え、を行わねばならない。
どうもそれが起こるのは、この数年のことのようである。


キーワードは「広告主のweb化」ということだろうか。
ついに閾値を超えて、web広告の効果が表出してくれば、トレンドは一気に動くに違いない。
2011年は、そんな「紙とweb」の過渡期になるのかもしれないと思う。


iPad新聞発刊 ネット課金普及探る
 普及が進む板状のタブレット端末専用の電子新聞が2日、米国で登場した。「メディア王」ルパート・マードック氏率いる米ニューズ社が、アップルの「iPad」向けに発刊した「ザ・デイリー」だ。新聞業界が長年模索してきたネット新聞への課金を促すきっかけになるのかどうか、注目されている。

■低コストで身軽

 近現代美術の展示で知られるニューヨークのグッゲンハイム美術館。iPadを手に現れた79歳のマードック氏は通る声で演説した。「我々の挑戦は、伝統的な報道の最良の部分と、現代の最高技術とを組みあわせることだ」


指で画面をタッチしたり、スライドさせたりしてページを繰る。大きな写真をあしらった長めの記事や動画、風景を360度眺められる写真も売り物だ。印象は、新聞というより雑誌に近い。記事本数もまだ20本程度と少ない。


ただ毎日更新し、速報にも対応する。発刊初日の2日のトップ記事は、エジプトのルポ。独自の記事を中心に、特ダネや調査報道も手がけるという。ページ数は最大100ページ。編集者はニューヨーク・ポスト紙や米経済誌フォーブスなどから招き、記者も大手メディアなどから100人ほど雇った。


購読料は週99セント(約80円)、年間契約だと39.99ドル(約3300円)。マードック氏は「数百万人が購読すれば成功。野望は非常に大きいが、コストは非常に低い」と強調。「紙も、数百万ドルの輪転機も、輸送用のトラックもいらない。ここで浮いた分を読者に還元する」と話した。


仮に100万人が契約すれば、年間の購読収入は約5千万ドル(約40億円)。広告収入も同程度を期待する。それに対し、初年度の経費は約3千万ドル(約25億円)。収入の一部はアップルへ支払われるが、毎年20億ドル(約1600億円)超の営業経費がかかる大手米紙ニューヨーク・タイムズに比べ、相当身軽だ。


さらにマードック氏は、今後約2年間はiPad専用にするが、その後は主要なタブレット端末すべてに配信する可能性を示した。「ターゲットは、来年に全米で5千万人に達するといわれるタブレット端末の利用者全員だ」

■読者拡大には課題

「ザ・デイリー」が発刊された2日、ニューズ社の株価が2%上がった。さらにライバルのはずのニューヨーク・タイムズの株価は4%、全国紙USAトゥデーを発行するガネット社は7%も上がった。米メディアアナリストのダグラス・アーサー氏は「新聞の『新時代の幕開け』と投資家は歓迎した」とみる。


新聞社はこれまで「ネット新聞」でどう稼ぐかを模索してきた。ニューヨーク・タイムズは2005年、一部のウェブ閲覧に月7.95ドルを課金したが、07年にはやめた。利用者を増やし、広告収入でもうける手法に転換した。


ところが、ネット広告はグーグルやヤフーなどの検索サイト、広告主自身のサイトなどと激しい競争になり、不況の影響も受け、紙の新聞の広告費や購読料の落ち込みを補うまでには至らなかった。


米パシフィック・クレスト証券のITアナリスト、アンディー・ハーグリーブズ氏は、アップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」やiPadなどの普及で「課金ビジネスが成り立つ土壌がようやく整った」と指摘。多くの人々は、こうした機器向けのアカウント(口座)を作って音楽やソフトを買うようになり、「コンテンツにお金を支払うことに消費者が慣れた」というわけだ。


ガネット社などが出資するベンチャー「オンゴー」は1月、月額6.99ドル(約570円)で複数のメディアのニュースをまとめてiPadなど向けに配信するサービスを始めた。ニューヨーク・タイムズも近く、一定以上の記事閲覧への課金を復活する。


だが、みなが簡単に収益増を見込めるとは限らない。有料配信で最大のウォールストリート・ジャーナルでも、課金読者は約40万人。ザ・デイリーが目標とする数百万人はたやすくない。ハーグリーブズ氏は「ザ・デイリーが実績を作るまで、iPad専用新聞が続々出てくることにはならないだろう」と話す。


また、伝統的な新聞社にとっては「課金すれば閲読者が減り、広告収入が減るという恐れもある」(アーサー氏)ため、課金の範囲や料金設定のさじ加減が依然大きな問題として残っている。(ニューヨーク=山川一基)