藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

残業ゼロの主題。

残業代ゼロ制度、を厚労省が決定するという。
それにしても、政治家がヘタに民間に口を出すとこうなる、という典型である。
おそらく人気のある漫才師や芸人なら「こういう外し」はまずあり得ない、というくらい議論の核心を欠いているのである。

第一次安倍政権から。
労働時間の規制を外すというこれまでの民主政権の真反対の方針は分かるが、定義が仕切れない。
今さら「ディーラーやファンドマネージャや"世界レベルの高度専門職"」の誰が残業代をもらっているのだろうか。
結局自分は政治が踏み込む話題ではないと思っている。

必要な措置は「労働で対価が欲しい」という人にはそう言う選択肢を残す、ということに尽きる。
『逆に言えば「労働以外で対価が欲しい」という人に「そういう道」を示すことである。』
この部分の議論が完全に欠落している。

世間で面白おかしく「ブラック企業」と揶揄されるが、労働が「時間と成果の間」で今もなお難しい評価基準に直面している事実は変わらない。
2000年代から、IT系のメーカーやソフト開発企業が成果主義などの導入でこの問題に挑戦したが、結果は思わしくない。
成果主義は廃れ、自分自身も一敗地にまみれた思いが強い。
「肉体労働とホワイトカラーをいかに評価するか」ということを国を挙げて、いや民間企業が自由にそうした基準を設定し、試行錯誤ができるような援護こそが、日本の政治や行政の役目である。

現場をリアルに分かっていない人たちが基準だけを作る、というのはまったくナンセンスな方法でしかない。

残業代ゼロ、導入の方針 厚労省、成長戦略に明記へ
労働時間の長さにかかわらず賃金が一定になる働き方を、厚生労働省が導入する方針を固めた。働き手が「残業代ゼロ」で長時間労働を強いられることを懸念し、厚労省は当初は慎重だったが、生産性向上に役立つとする産業界の要請を受け入れる。働き過ぎを助長する恐れがあり、反発が強まりそうだ。

田村厚労相低所得者が対象ありえない」
 厚労省は28日の産業競争力会議(議長=安倍晋三首相)に、働いた時間と関係なく、成果で賃金を決める仕組みを提案する。労働規制を所管する厚労省が導入方針を固め、6月末に改定される政府の成長戦略に盛り込まれることが確実だ。

 厚労省案は、為替ディーラーやファンドマネジャーなど「世界レベルの高度専門職」を対象に労働時間の規制を外す。ただ、具体的な対象の範囲や年収条件は、労使代表が加わる厚労省の審議会で検討する。

 いまは1日8時間を超えて従業員を働かせると、企業は賃金に上乗せしてお金を払う義務がある。企業に負担させることで長時間労働を防ぐ仕組みだ。厚労省案は、この規制を外す。労働時間を想定して賃金を決める「裁量労働制」と異なり、働き過ぎを防ぐために深夜や休日労働に割増賃金を支払わせる規制もない。

 同様の仕組みは、第1次安倍政権でも、労働時間の規制を除外する「ホワイトカラー・エグゼンプション」として、年収900万円以上の労働者を対象に検討された。ただ、「過労死を招く」と世論の反発を招き、導入を断念している。

 28日の会合には、新制度導入を4月に提案した競争力会議の民間議員である長谷川閑史(やすちか)・経済同友会代表幹事も修正案を出す。当初案は対象に一般社員も含めたが、修正案は年収条件を外し、「幹部候補」などに限定する。厚労省に対象者の拡大を求める。

 成長戦略に明記されることで「残業代ゼロ」となる働き方が実現に向けて大きく動き出す。具体化には労働基準法改正が必要で、野党や労働組合から批判が強まることも予想される。(山本知弘)