藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

報道の在り方。

二万人に上る犠牲者を出した自身からまもなく丸二年。
ビジネスでも"トラブル"は「起こったこと」よりもその後の対応が重要だ、と言われるがさもありなん。

逆に起こった事故を教訓に、「次につなげる」ということもできる。
ということを自分たちはよく日常生活で体験する。
仕事のミスとか、エラーとか抜けとか、そうしたことが起こったのは誠に遺憾ではある。
時にはそれが損失を生んだり、人の命にかかわったりもする。
しかし、その事故は、「その後もマイナスばかり」ではない。

それを機に、より深い対策を立てたり、そもそもの問題を提起したりする貴重な材料でもある。

トラブルは「起こった後」が最も重要なポイントになるということは覚えておいて損はない。

「起きたこと」そのものを嘆くのは、ずっと後にお酒を飲みながらでよいのである。
記事にあるような災害の支援も、「どれだけ真剣に現地に密着しながら対策しているか」ということが肝である。
よく言われる「除染太り」とか「補助金漬けのパチンコ三昧」などは愚策の骨頂。
地元の政治家も合わせ、本当の復興について、またこれからも起るだろう災害の支援の在り方についての叡智を集積せねば、単なる大事故の記憶、しか残らない。

それにしても、被災地からのそうした報道も日を追うごとにどんどん少なくなっている。
メディアの報道姿勢も今一度本質的な「現場主義」に帰らねば、メディア自身もネットにその場を奪われ、希薄になる一方ではないだろうか。

【「住まい」はどこに】東日本大震災2年(2) 重くのしかかる二重ローン 復興計画遅れ…制度利用進まず
2013.2.24 13:21
 ところどころに残るブロック塀や建物の基礎が、かろうじて生活の痕跡をうかがわせる。仙台市の沿岸部。自宅跡に立った会社員、安達正男さん(57)は、東日本大震災による大津波で流されたわが家を再現してくれた。
 「ここが門で、ここが玄関、台所はこっち…」
 幸い、一家6人に犠牲者はいなかったものの、10年前に購入した2階建ての自宅は約2500万円のローンを残したまま消えた。
 「当時は涙すら出てこなかった。周りの人も同じだったから」
 現在は、東京へ転居した次男(23)を除き仮設住宅で暮らす。近くの造成地で家を建て直そうと考えているが、失った家のローンが肩に重くのしかかる。
 勤務先のメーカーは2年後に定年を迎える。退職金を流された家のローン返済に充てる予定だが、「まさか新しくローンを組むことになるとは…」。定年後は収入が激減するため、次男と2人で「親子リレーローン」を組む計画という。  「何とか少しでも息子たちへの負担を減らしたい。そのための蓄えも残しておかないと将来が不安で」
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 被災者が住宅の自力再建をするにあたり、「二重ローン問題」は大きな壁となっている。こうした問題を解決するため、債務整理を調停する第三者機関は、金融機関との協議で元の家のローンを減免できる指針「個人版私的整理ガイドライン」を策定し、平成23年8月から運用を始めた。
 安達さんもこの指針に基づく債務整理を申請した。だが、認められるかどうかは不透明だ。
 安達さんは「借りた金を返す義務があるのは重々承知している。でも建物がなくなっているのにローンだけ支払い続けるのは…」と複雑な心の内を明かす。
 仙台弁護士会が扱った宮城県石巻市の40代女性のケースでは、2階建ての自宅の1階部分が被災。1900万円のローンが残った上、リフォーム代に約800万円を要した。
 女性は母子家庭で、震災の影響により年収が200万円まで減少。元のローンが残っているため新たなローンを組めず、義援金のほか親族から資金をかき集めるなどしてリフォーム代を工面した。
 この女性も購入時のローンの減免を求めて私的整理を申請中だが、成立しなければ、自宅を手放さざるを得ない恐れもあるという。
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 被災者に最高300万円を支給する「被災者生活再建支援法」は、19年から対象外とされていた住宅再建関連費にも使えるようになった。自治体独自の支援の動きもあり、岩手県では義援金を含めて最高支援額が1千万円超となる。
 それでも仙台弁護士会の山(やま)谷(や)澄雄弁護士(55)は「自治体にも体力的に限界があり、国の支援拡大が重要となる」と指摘する。
 一方、阪神大震災から被災者支援に取り組む津久井進弁護士(43)によると、行政による集団移転計画やまちづくりが遅れているため、住宅の自力再建にも影響が出ているという。
 被災者を対象に住宅工事の金利を優遇する住宅金融支援機構の復興融資の申し込みは、昨年末時点で国が想定する6万戸を大幅に下回る9155戸で、運用開始当初から低水準で頭打ちの状態が続いている。
 私的整理も今月15日までに成立したのは248件にとどまり、相談数も3708件と利用の動きは鈍い。
 自宅の再建を考えている安達さんは、仮設の住民同士で定期的にまちづくりについて話し合っている。
 「国の支援は少ないしスピードも遅い。周りには将来の計画が立たず、前に踏み出せない人たちもいる」
 津波が持ち去り、また残していったものは、あまりにも大きい。
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 【用語解説 二重ローン問題】
 住宅ローンなどを抱えた人が被災し、住宅再建のため新たな借金を背負う問題。東日本大震災では、債務整理を調停する第三者機関「個人版私的整理ガイドライン運営委員会」が自己破産や法的倒産手続きによらず、債権者の合意を取りつけ債務を減免する指針を運用。信用情報機関ブラックリストに載らず、自由資金として手元に500万円まで残せるなどの利点がある。