藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ようやく関西。

大阪の高層ビルにある「空中庭園」がいたく外国人観光客に人気だという報道があったが、なかなかこれまで「大阪発」「大阪唯一」というものがなく(たこ焼きとかくらい)、関西出身者としては「いつも頭の隅にあった思い」のような二番手根性が染みついていたのだが、そろそろそうしたトラウマから抜け出て、大阪は大阪だからできる独自のものを考えればよい、という時代になってきたのかもしれない。

東京に来てみれば、日本全国(さらには欧米、新興国、中東も)の「郷土自慢」が実に鮮明なのに驚く。
特に札・仙・広・福・大阪などよりもよほど地方都市の方がオリジナリティを持つ努力をしており、またそれを全国にアピールする力も強いのである。
地方都市ほど郷土愛が強いし、出身者同士の結束も固い。
(悲しき大阪など阪神タイガースを除けば、大体バラバラである。)

(1)自由に出入りできる緑豊かなスペースの確保
(2)世界に強く印象づける「大阪の顔」となる街区
(3)地域防災機能の強化など――。

東京よろしく、大阪も今にょきにょきと超高層住宅が建設ラッシュだけれど、こうした中心部の開発にこそ「ここにしかないもの」をぜひ考えてもらいたいと思う。
今回の大阪駅の開発の公募条件はなかなか筋が良いではないか。

(透視図)うめきた2期 世界に唯一無二の機能を
2013年11月16日17時56分
 【多賀谷克彦】JR大阪駅北側のグランフロント大阪(GFO)から西側を見ると、広大な空き地が広がる。JR貨物駅跡の未開発部分。うめきた2期の約17ヘクタールだ。GFOの2倍以上、阪神甲子園球場が四つ、すっぽり納まる。この西日本最大の交通ターミナル前の空き地を何に使うか。

* 「透視図」の一覧はこちら

 来月中旬、国鉄民営化時に売却が決まったこの一等地の再開発が最終段階に入る。大阪市が設計、開発構想の一次募集を始めるのだ。安藤忠雄氏や隈研吾氏、室崎益輝氏ら建築や都市計画、防災の専門家6人が審査し、年度内に優秀案を絞り込む。再来年、実際の開発事業者を募るが、一次審査の結果は再開発の行方を左右する。
 公募する側の大阪府・市と関西経済界は、いくつかの開発条件を公表している。(1)自由に出入りできる緑豊かなスペースの確保(2)世界に強く印象づける「大阪の顔」となる街区(3)地域防災機能の強化など――。今の大阪という都市に欠ける機能を考えると(1)と(3)に異論はない。
 問題は(2)をどうするかだ。行政と経済界はこうも言う。「世界から人材や投資を呼び込み、我が国の国際競争力の強化に寄与する」。思いは同じだが、これが最も難しい。GFOと大阪の現状を見れば、もう高層ビルと商業施設を組み合わせた旧来型の再開発はありえない。
 もう一つ。常識的な発想では(2)は実現できない。現状の再開発ルール、都市整備の法律、企業誘致の方法を超える構想でなければ、ありきたりの再開発になる。「こんな街区をつくる」という構想を描いたら、それを実現するための規制緩和税制改正などの施策を、政府にのませる論理と根気がいる。
 また、広大な用地は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構保有する。政府は高値売却を望んでいるが、利益を生みにくい防災拠点や公共緑地を設けるのなら、民間事業者だけでは荷が重い。それには、大阪府・市へ譲渡してもらう大義名分と交渉力もいる。
 GFOにあるナレッジサロンには、半年で1500人の有料会員が登録し、人の出入りが絶えない。海外からの視察も多い。なぜか。小さな空間だが、これまでの日本にはなかった場であり、異なる分野の人々と知り合う機会があるからだ。時間はかかるだろう。だが、そこからビジネスや文化が生まれる可能性はある。うめきた2期の開発は大阪、関西と言わず日本、世界にもない唯一無二の機能をもつ街でなければならない。