藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

子供とスマホ。

スマホ、というか通信機器と子供の関係について。
もう電話が各家庭に普及したころから同根の問題は発生していた。
通信機器が完全にポータブルになり、もう親の管理の範囲も超えているのだと思う。

それにしてもこの一文を読んで反射的に思い出したことがある。

これから先の長い人生を考えた際に、スマホでたくさんの時間を浪費することがよいかというと、決してそうではありません。そのことをよく理解した上で、時間をちゃんとコントロールすることを約束できるならば、何歳であっても持たせてあげてよいと思います。

先日、もう何十年かぶりにトイレを拝借しにパチンコ屋さんに入った時のこと。
昼間だったせいもあるのだろうが揃いも揃って「煙草をくわえた中年女性」が多いのには驚いた。
台の前に座りながら、弁当を食べていたり、スマホをいじっていたり、電話をしていたり。
通販の雑誌を見ている人もいて、もうパチンコ店に住んでいるのじゃないか、というくらいの寛ぎっぷりでさらに驚いたのである。

「未熟な子供にスマホを持たせる危険性」と大人たちはいうけれど、「未熟な大人にパチンコ(つまりギャンブル)を許可する危険性」をとっさに感じた。

一日の大半をパチンコ屋で、何万円も使ったり、時には稼いだりして過ごす大人。
スマホほどの人口はいないだろうが、ゲーム脳ならぬギャンブル依存症については禁止というよりも事前の教育が必要なのではないだろうか。
刺激的なゲーム機に出会ってハマってしまった、という不幸をなくすには、スマホもゲームも、ギャンブルも「社会に存在するそういうもの」ということを若いうちから教えることが「行きすぎないためのハザード」になるのではないかと思う。
知らずに「刺激に反応している人間」というのは動物に近いものがある。
それを頭で理解して、理性を使えるのが人間である。
臭いものに蓋、ではなく積極的に知らしめる教育を大人たちは実践してはどうだろうか。
自分もやってみようと思う。

(承前)

 ――前回のお話ですと、子どもにスマホを持たせるには、都会の繁華街の入り口あたりを一人で歩いて大丈夫かどうかが目安という話でしたが、実際にはまだそういった「資格」を持たない小学生も所持しています。内閣府の平成25年度調査では、小学生(4年生以上)のスマホ所有率は16.3%にのぼります。リスクも大きいのではないでしょうか。

 「一番怖いのは、直接出会って犯罪の被害にあうことですね。性的な関心で子どもを狙う者は一定数いますから。女子のほうは当然被害になりやすいのですが、男子だからといって安全ではありません。出会い系以外にも、子どもがよく使うゲーム・アプリでメッセージを交換できるものがあります。その気になれば、悪意のあるおとながいい人を装って子どもに近づき、実際に会うことができます。しっかりした子どもは会ったりしませんが、家庭環境に不満を持っていたり、判断能力が未熟なうちにスマホを持ったりすると、会ってしまったりする。だまされて出会って、わいせつな行為をされたり、わいせつな写真を撮られたりすることはありえますし、実際に小学生ぐらいの子どもでそうした被害にあっている子どももいます。

 ――スマホを持たせなければ、そうした被害から子どもを守ることができるのでは……。

 「通りで声をかけられ性的ないたずらをされたり、誘拐されたり、子どもが町中で犯罪被害にあうことは、昔からあるわけですよ。スマホが普及する前にも、テレクラとかダイヤルQ2がそうした子どもの誘い出しに使われた時代もありますし、ネットが普及し始めるとそれが利用され始めました。かつては、町中でおとなの目が光っていて、地域の防犯によって、ある程度、そういった被害は防げていたのですが、ネット上ではそうした目が行き届きません。スマホを持たなければ安全とも言えませんが、持てばその分、危険性は高いということです。フィルタリングをつけて危ないサイトを利用できなくすることや、ネットの向こうの相手について批判的に想像できるようにするネットリテラシーを高めることが必要です。

 ――多くの保護者は未熟な子どもにスマホを持たせる危険性について気がついていると思います。なぜ、持たせるのでしょうか。

 「理由は、いろいろですね。子どもが欲しがるから面倒だから渡してしまうという人もいます。親の都合、たとえば夫婦共働きで家にあまりいないから、子どもと連絡をつけるために持たせる人もいます。あるいは子どもを塾に通わせる際、持たせていると便利だからという理由もある。最近は町中で公衆電話を見かけることが少なくなりましたから、持たせていると便利なことは間違いありません」

要は時間をコントロールできるかどうか

 ――子どもにスマホをねだられた際、保護者はどう対応すればよいのでしょう。

 「なぜ必要なのか、互いによく話し合うことですね。子どもがスマホを欲しがる理由の一つが『ゲームをしたい』です。あとはLINEとかで『友だちと連絡をとりあいたい』とか、最近は『動画を見たい』という理由も増えています。もし、スマホを欲しがる理由がそういったものでしたら、それが子どもにとってはたして許されるべきことかどうかを話し合う必要があります。

 スマホを持つと、とくに持ち始めの時期は、子どもがスマホでたくさんの時間を浪費してしまうことがよくあります。はたしてそれがよいことなのかどうか。子どもの時期には、友だちと会話を楽しむとか、本を読むとか、運動に汗を流すとか、ほかにやるべきことがたくさんあります。これから先の長い人生を考えた際に、スマホでたくさんの時間を浪費することがよいかというと、決してそうではありません。そのことをよく理解した上で、時間をちゃんとコントロールすることを約束できるならば、何歳であっても持たせてあげてよいと思います。

 ――かつて指摘された「ゲーム脳」については、どうお考えですか?

 「いわゆる『ゲーム脳』論については批判も出されており、ゲームやネットを使うことが直接的に脳に悪影響を及ぼすと言えるかは疑問です。ただ、長時間ゲームをして、時間を浪費することは間違いなく問題です。乳幼児の時期からメディア接触時間をコントロールする必要があります」(続く)(聞き手・構成 メディア局編集部 二居隆司)


12歳からのスマホのマナー入門
藤川大祐/著 大空出版/ 864円
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プロフィル
藤川大祐(ふじかわ・だいすけ)
千葉大学教育学部教授(教育方法学・授業実践開発)

 1965年、東京生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学(教育学修士)。2010年より現職。メディアリテラシーディベート、環境、数学、アーティストとの連携授業、企業との連携授業等、さまざまな分野の新しい授業づくりに取り組む。学級経営やいじめに関しても詳しい。

 文部科学省「ネット安全安心全国推進会議」委員(2007年〜)、文部科学省いじめ防止基本方針策定協議会委員(2013年)、NPO法人企業教育研究会理事長、NPO法人全国教室ディベート連盟理事長・関東甲信越支部長、日本メディアリテラシー教育推進機構(JMEC)理事長等をつとめる。主な著書に、『いじめで子どもが壊れる前に』(角川oneテーマ21、2012年)、『教科書を飛び出した数学』(丸善出版、2013年)、『12歳からのスマホのマナー入門』(大空出版、2014年)など。