藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

若者の優位。

固定電話もなくなりつつある。
Faxもいつまであるだろうか。
何より今の新入社員はそんな機器を知らない人さえいる。
テクノロジーの進化が「最も急勾配」な現在、もう30年前の感覚は、今の十代の感覚ではなさそうだ。

これから上の世代を生きることになる立場の私達は、謙虚に若者に学びを乞う姿勢を持つ必要があるのではないかと思います。

「単なる知識の量」での勝負がほぼなくなりつつある今に、「それ以外の競争力」を自分たちはどれほど持っているか。
さらに背後からはAIがどんどんパターン化をして追い上げてくる。
今までの自分たちの時間の使い方を、根本的に覆してこれからの世代は生きていくのかもしれない。

知識やデータが最重要ではない時代に、いよいよ自分たちは直面しつつある。
若い人の行動様式を注意深く観察しておく必要がありそうだ。

なぜいつの時代でも若い世代は上の世代より優秀なのか? --- 黒坂 岳央
こんにちは!肥後庵の黒坂です。

「最近の若いものはバカだ!」

このようなセリフはいつの時代にもずっとあるものです。しかし、先日「若い世代は上の世代より常に優秀である 」と主張している人物がおり、主張の全てではないにしろ部分的に共感できる部分がありましたので、今回取り上げたいと思います。

社会人になると、「仕事や人生の知恵は、人生経験豊富な年配者に教わりなさい」と言われるものですが、逆に優秀な若い人 に頭を下げて教えを請う必要性も感じるのです。

なぜ若者と上の世代で差がつくと考えるのでしょうか?その根拠を下記の通り展開します。
人類のIQは時代の流れとともに向上している

「人類のIQは時代の流れとともに向上している」とアメリカ・シカゴ大学のジェームス・フリン教授はTEDの中で主張しています。100年前の人の平均的な知能指数は現代の基準でいえば70程度、逆に現代人の知能指数を100年前の基準で測ると130になると言っています。IQ130といえば会員の知能指数レベルです。このように年数を経るごとに人類が賢くなる現象を「フリン効果」といいます。

なぜIQが向上するのか?フリン教授やその他専門家の主張によると、「問題や課題の分類化が促進され、また論理を持って抽象概念を取り扱う思考習慣を持つことにより、IQテストの「分類・類推能力」が問われる分野のスコアが向上したことによる」とあります。また、「これからはモバイルデバイスから提供される多くの情報を短時間に処理する習慣により、情報処理能力が向上する」とみる科学者もいるのです。なるほど、納得が出来る主張だと感じます。

ビジネスの現場に目を移すと、アイデアやひらめきといった抽象的なものを、プレゼンテーションというツールでパートナーや大衆に分かりやすく伝えるメッセージ力が重視される場面はいくらでもあります。こうしたビジネスや生活環境の変化により、必要に迫られた結果として現代人は昔に比べてIQの向上があったと考えます。

教育水準の改善も知性向上に寄与

また、教育水準の向上は紛れもなく、現代人の賢さに寄与したと考えていいでしょう。

今の学生はとてもうらやましい学習環境にあると思わされます。例えば数学で学習する抽象概念を学ぶにあたり、私の義務教育時代では本や身近な教師からしか学ぶ手段がありませんでした。これはひとたび躓いてしまうと、独力ではなかなか立ち上がることは難しい状況を意味します。

しかし、今はネットで検索すれば優しく丁寧に図解入りの解説が無料で手に入りますし、動画でわかりやすく教えてくれる教師を見つけるさえとても簡単にできてしまいます。ットの力を活用することにより、勉強への意欲さえあれば独学でも極めて高度な教育を無料で受けることが出来る素晴らしい時代 になっているわけです。独習における引っかかりを取り除く手段の獲得したことでIQ向上に寄与したのではないでしょうか。

何よりデカい世代間のリープフロッグ現象

しかし、これまでお話をしてきたもの以上に、世代間のIQに大きな差をつける要素があると私は考えています。それは「世代間におけるリープフロッグ現象」です。

リープフロッグとはいわゆる、「蛙跳び」と呼ばれるもので、技術革新により、新しい技術を取り入れた体制が一気に飛躍することを意味します。例えば中国や東南アジアでは固定電話回線のインフラ整備が整う前に、携帯電話が入ってきました。既存の通信産業との摩擦や、法規制の影響を受けなかった中国では携帯電話が一気に普及しました。

これは固定回線から徐々に携帯電話へと移行していった日本とはかなり対照的です。アメリカや日本などは既存のサービスとの摩擦があるため、法改正を待たなければならず、それにより先進的なテクノロジーの普及が遅れるといった現象が見られます。中国はいきなり携帯電話が一気に普及したために、多くの国民が携帯電話を持ち、それにより中国はスマホによる電子マネー決済やシェア自転車などの先進国になりました 。

このリープフロッグ現象は一般的には国家間に見られる差異ですが、「世代間のテクノロジーへの受容度」の違いにも当てはめて考えることが出来ます。例えば上の世代はテクノロジーの変遷を経験してきています。電話を例に上げると、最初は固定電話、FAX、ガラケーそしてスマホと移り変わっていっています。そして、上の世代は使っている機器がバラバラです。

“未だに固定電話しか持っていないおじいちゃん”

ガラケーを使い続けてスマホを持たないおばさん”

“取引先やご近所との連絡手段がFAXのおじさん”

本当に様々です。しかし、今の若い人は物心をついたときから携帯電話があったので、思春期にいきなりiPhoneAndroidスマホなどの最新テクノロジーに触れることになります。若者はFAXや固定回線といったレガシーテクノロジーの概念を持っていないのです。最新スマホを使う先で提供されている商品やサービスもまた、先端のテクノロジーの結果生み出されたものですから彼らは常にcutting edge(最先端)な技術に触れ続ける事になります。これが世代間のテクノロジーへの受容度の違い、引いては「賢さ」につながっていると考えます。

先端のテクノロジーは常に効率的である

例えばテキストによるコミュニケーション を考えてみて下さい。テキストによる連絡手段にFAXを用いる世代はまだまだ多くいます。FAXでコミュニケーションをするには、手書きで原稿を書かなければいけませんし、先方にFAXが確実に届いているかを確認するため、「FAX届いた?」という電話によるフォローアップを余儀なくされます。また、送信の度に通信料を払うことになります。これはコスト高で、手間も時間もかかるコミュニケーション手段です。スマホではなく、ガラケーを使っている世代も「お」や「こ」を入力するためにボタンを5回も押すという「高い入力コスト」を払い続けています。

しかし、最新の入力コストは極めて低くなりました。AIによる音声認識の向上により、現在の最速のテキスト入力手段は「音声入力」です 。音声入力はPCのキーボードの入力速度を遥かに超えており、またインターフェースが物理的に存在しませんから、歩行中や車の移動中にすらテキスト入力ができます。これにより、音声認識によるテキスト入力をするユーザーは入力の手間もコストも排除された極めて効率性の高い情報伝達手段を持っていることになります。

とはいえ、音声入力が効率性に優れているという話を聞いても、FAXユーザーやガラケーユーザーの多くは依然として音声入力にスイッチすることはありません。それは「面倒くさい」という「気持ちの問題」によるものです。心理的なハードルが最新テクノロジーへの障壁となることにより、音声入力が存在する時代を生きていても、既存のテクノロジーを使い続ける上の世代と、リープフロッグにより、思春期の頃から先端のデバイスを使い、テキスト入力に音声認識を使う若い世代との間にはどうしても差が生まれるというわけです。

効率性に圧倒的な違いがある以上、先端のテクノロジーから入ってくる若者世代と、レガシーのテクノロジーを使い続ける上の世代とではどうしても差が生まれてしまうのです。

これからのデジタルネイティブ世代
私の2歳の息子は時々、こんなことをします。私のスマホを手にとって、「ゴミ収集車!」というのです。私がスマホのロックを解除し、YouTubeを起動すると彼は私からスマホを奪い取り、勝手に動画のアイコンをタップしてお目当てのゴミ収集車の動画を探し、見つけると楽しそうに見ています。これには正直、私は驚異を感じました。

この行為、私が2歳の頃とは比べ物にならない違いがあります。2歳にして、「スマホで情報を検索するという概念」を持っているということです。今の幼児は「情報とはモバイルデバイスで検索をして能動的に取りに行くもの」という感覚を持っており、これからも先端のテクノロジーに触れ続けるわけですから、彼が私と同い年になる頃には少なくとも「情報」の分野においては大きな差をつけられてしまいそうです。

これから上の世代を生きることになる立場の私達は、謙虚に若者に学びを乞う姿勢を持つ必要があるのではないかと思います。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表(http://www.higoan.jp/