藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

報道の構図。

番組があって、スポンサーがいて、視聴読者がいる。
国営でもない限りはこの図式からは抜けられない。
「権力を監視する」「真実を報道する」とはいうものの柵(しがらみ)から逃れるのは苦労のいることだと思う。
それはともかく。

マネー◯◯なんていう名前のメディアはそういう傾向が強いと思う。

「学歴なんて関係ない」の真実 生涯賃金これだけ違うという記事。

興味本位でへぇーとは思うが。
これから働く若者が「高学歴は高年収なんだね」と思うだろう。
こうした記事には「だから何なのか」が欠けている。
「だから学歴をつけよう」なのか「学歴は人生に関係するか」とか。
さらに「幸せと学歴はどうか」というところにまで突っ込んでくれないと、特に若者には???という感じではないだろうか。

思えば「生涯賃金」という指標も相当モロ出しで、身も蓋もない指標だと思う。

いろんな価値観がある中で、「自分はこれだな」と思える理屈を身につけることが一番大事なのに違いない。

大人の風説は、実は実に「くだらない価値観に基づいている」ということは若い人に知っておいてもらいたいことである。

「学歴なんて関係ない」の真実 生涯賃金これだけ違う|マネー研究所|NIKKEI STYLE

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そう言われると思ったので、学歴別・年齢別の年収(税込み。ボーナス含む、残業代などの超過勤務分の給与は含まず)を男女別にまとめてみたわ。これも厚労省のデータからよ。

25〜29歳の年収は学歴が違ってもそんなに大きな差はないような……って、あれ? 年齢が上がるにつれて差が開いていきますね。

図2 男性の学歴別の年収比較。年収にはボーナスを含む。残業代など超過勤務による給与は含まず 出所:厚生労働省 平成28年賃金構造基本統計調査

図3 女性の学歴別の年収比較。年収にはボーナスを含む。残業代など超過勤務による給与は含まず 出所:厚生労働省 平成28年賃金構造基本統計調査

25〜29歳時点の高卒と大卒の年収を比較すると、男性では10%程度の差だけど、年齢が上がるにつれて差が開いていくわ。40〜44歳時点では20%の差、50〜54歳では25%差になるわね。女性はさらに差が大きくて、最大で34%の差がつくわ。ちなみに金額はこんな感じよ。

表1 男性の学歴別の年収比較。年収にはボーナスを含む。残業代など超過勤務による給与は含まず 出所:厚生労働省 平成28年賃金構造基本統計調査

表2 女性の学歴別の年収比較。年収にはボーナスを含む。残業代など超過勤務による給与は含まず 出所:厚生労働省 平成28年賃金構造基本統計調査

男性だと、大卒は40〜44歳で年収900万円くらいになるけど、高卒だと660万円くらいなんですね。50〜54歳だと大卒は970万円で高卒が720万円。金額で見るとやっぱり差は大きいなあ。トータルだとどのくらい変わってくるのかな?

生涯賃金の差は4600万円

じゃあ、学歴別の推定生涯賃金を見てみましょうか。下のグラフを見てもらえる? 前述の「平成28年 賃金構造基本統計調査」から、生涯に受け取る給与とボーナスの総額を計算して、そこに退職金のデータを加えたの。同調査には退職金に関するデータがなかったので、別途厚労省の「平成25年就労条件総合調査」から推計したわ。退職金の月収換算データは大卒が41.4カ月、高卒が43.8カ月よ。ただ、高専・短大と中卒の退職金データは示されていないので、それぞれ大卒、高卒に準じるものとしたわ。

えーと、男性の場合は高卒と高専・短大卒がだいたい2億4000万円ですか。生涯を通してだと、すごい金額になるんですね。一方、大卒は2億8650万円……2割ほど違ってくるんだ。金額で見ると、4600万円ほどの差になるのかあ。マンションが買えそうな金額ですね。

図4 男性の学歴別生涯賃金。賃金データは厚生労働省平成28年賃金構造基本統計調査から、退職金データは平成25年就労条件総合調査から推定

図4 女性の学歴別生涯賃金。賃金データは厚生労働省平成28年賃金構造基本統計調査から、退職金データは平成25年就労条件総合調査から推定

女性も、高卒と大卒の生涯賃金の差は2割ほどになるわね。

ところで退職金って必ずもらえるものなんですか? 小さな会社だとなかったりするとか聞きますけど。

前出の「平成25年就労条件総合調査」によれば、退職金制度を有する企業は全体の75.5%。従業員1000人以上の大企業は93.6%が、30〜99人の小さな企業でも72.0%が制度を整えているそうよ。

■有名大学卒なら生涯賃金はプラス1億円以上

お義母さんの言う「暮らしていくに困らない」収入がいくらなのか想像つきませんけど、データで見る限り、やっぱり学歴と収入の間には比例関係があるというのが現実なんですね。

このデータは現時点の収入を年代別に切り出してみたものなので、将来にわたってこの通りに収入が右肩上がりになるかは分からないわよ。ただ、勉強して学歴を積んだ方が、将来、高い収入を得られる可能性があるとは言えそうね。

ところで、いわゆる有名大学を出たら、収入はどのくらいになるんでしょう?

……やっぱり知りたい?

……はい。東大とか早稲田とか慶応とか、やっぱり気になりますもん。

さすがに公的なデータはどこにもないので、各大学の卒業生の就職先およびその人数(上位20社まで)と、それらの企業の推計賃金データを基に、大学ごとの「平均的な」収入と生涯賃金を割り出してみたわ。

 卒業生の就職先データはいずれも2015年のもので、早稲田大学慶応義塾大学については大学公表の情報を使用。一方で東京大学については、大学が公表していないので「東京大学新聞社」の調査データを使ったわ。それと、賃金の推計については、データが明らかになっている一部上場企業のみを対象にしているの。なので、例えば外資系企業や非上場企業については考慮していないわ。公務員や医師、弁護士なども対象外よ。あくまで参考程度に見ておいてね。

図6 東京大学早稲田大学慶応義塾大学出身者の年収推移。各大学の卒業生の就職先データ(一部上場企業のみ、上位20社まで)を基にAFGが試算

図7 東京大学早稲田大学慶応義塾大学出身者の生涯賃金比較。各大学の卒業生の就職先データ(一部上場企業のみ、上位20社まで)を基にAFGが試算

わっ、30代後半から40代前半で軒並み年収1000万円コースですか。生涯年収は早稲田が3億8785万円、慶応が4億3983万円、東大は4億6126万円……。平均的な大卒の男性と比べても、1億〜1億7000万円も多いんだ。

さっきも言ったけど、卒業生の就職先の上位20社までのデータを使った推計値にすぎないからね。そこは覚えておいて。

それでもやっぱり違いますね……。勉強になりました。

あと、分かっているとは思うけど、親が良かれと思って教育に力を入れても、子供にとってそれが幸せとは限らないわ。ただ一方で、教育を通じて得た知識や問題解決能力、そして学校などを通じて培った人間関係は、子供の人生を豊かにしてくれるとも思うの。

はい、私もそう思います。

おしゅうとめさんの気持ちも分かるけど、子供にどんな人生を歩んでほしいのか、そのためにどういった教育を与えるのかは、沙織ちゃんと旦那さんでよく話し合って決めるべきものじゃないのかしら。

ありがとうございます。今度、夫婦でゆっくり話し合ってみますね。

■試算・監修
AFG
金融機関向けのソフトウエア開発やコンサルティング業務を手掛けるほか、個人向けの人生シミュレーションプラットフォーム「シミュライズ」(http://simulizer.com/)を提供。給与や生活費のデータを入力すれば、現時点の生活費などの診断に加えて、将来の収支予測なども提示する。

(マネー研究所 川崎慎介)