藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

進化の途中で。

よく「あの人はいい人」という。
いいってどういう意味だろうか。
お人よしなのか親切なのか、義理堅いのだろうか。
他人に厳しい意見を敢えて言う人もいい人だ。
腹が立ってもニコニコしている人もいい人だ。
実に主観的なものだ。

というか言葉とはそういうものなのだ。
三十年も前に流行った記号論じゃないが言葉の意味は使い方とか前後関係とかでくるくると変わってゆく。
話し上手な人というのは、相手に対してより細かく正確な表現ができる人のことだろう。
もちろん話下手でも、きちんと思いを伝える人もいるけれど。

言葉遣いの巧みな人というのは、相手に言語で伝えるということについて「相手が想像もしなかった切り口」で印象に残る、相手の心を揺さぶることが出来るのに違いない。
音楽とか美術と同じだ。
だから文学って芸術なのだろう。

日常生きていく上で、呼吸するように使うのが言葉なのに、時としてまったく違う効果をもたらす。
逆に使い方次第では大半の意味が相手に伝わらなかったり、あるいは傷つけることだってある。
もう人間は言葉を使うようになって何千年もたっているけれど、まだその使い方を完全に掌握は出来ていないのではないだろうか。
国を跨いだり、違う生き物同士の言葉もまだまだこなれていない。
遠い将来、いつかは動物や植物とも会話ができる日がやってくるのではないだろうか。