藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

それを目的にしないこと。

日経スタイル、HIS沢田さんの記事より。

・時流とタイミングを見ること。
・運の悪い人とは付き合わないこと
・正々堂々とやること

成功した経営者の話って「そうか!」と感じるものと「何を言ってるのかなぁ」というものに割とはっきり分かれる。
沢田さんの話は、ごく当然のことをサラリと話しているようだが示唆に富む。
なぜだろう、と。
あ。

多分。
「運をつかむ方法」と題しているが、内容がそれを目的にしていないからだ。
つまり"how toもの"ではないのだ。

やることの「意味そのもの」をよく考えて。
時期をよーく見計らって。
ごまかしをしないこと。

むむむ。
気をつけてちゃんとやれば成功しそうだ。
大したスキル、とも言えそうだ。
「1人ぐらいなら運の悪い人をメンバーに入れてもいい。」というのもとっても面白い。

ビジネスで「運気」をつかむ方法 HISの沢田氏|出世ナビ|NIKKEI STYLE

 大手旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)を興した沢田秀雄さんは、世間の常識を破るようなビジネスを次々と創出し、注目を集めてきました。1990年代には、現在の格安航空会社(LCC)に先んじて、運賃の安さが売りもののスカイマークを設立。証券、金融、運輸などの分野でも業界を驚かす新機軸で既存の勢力に挑戦しました。なかには失敗もありますが、沢田氏は「挑戦こそすべて」と意に介しません。今回は挑戦を成功につなげるポイントを語ってもらいました。

 30年以上になる私のビジネス人生はチャレンジの連続でした。「なぜ挑戦するのか」と聞かれますが、答えは「チャレンジしないと新しいものが何も生まれないから」です。時には失敗しながら色々学んで、改良していくことが成功につながるのです。

■ビジネスの「運気」に注目

 成功するには運も大事です。いい企業やいい人と大切に付き合い、時流に乗るように心がけるとビジネスの「運気」が上がる気がします。そのために、いつも周囲への注意を怠らないようにしています。今やったら損するけど、時期をずらせばうまくいくとか、時流とタイミングを見る必要があるのです。ただがむしゃらにチャレンジしてもいい結果は出ません。

 私が2010年に再建に乗り出したハウステンボスでは、はやっていたアニメ・漫画の「ワンピース」の海賊船を模した遊覧船を建造し、話題づくりをしました。ワンピースは120万人以上を動員し、長く業績不振に苦しんでいたハウステンボスにお客を呼び戻すのに貢献しました。日本一のイルミネーションイベントを始めたのも、LED(発光ダイオード)が安くなったときを捉えたのです。今はVR(仮想現実感)が「時流」だから、様々なVRでこれまでにない知覚体験を味わえる「仮想現実の館」をオープンしました。こうして時流に乗るように心がけると、運も良くなると思います。

■事業立ち上げ、「タイミング」見極めて

 今は時期が早いと思って、じっくり温めている構想もいくつかあります。例えば、エネルギー。新しいエネルギーを企画・開発して、社会を変えたいですね。原子力化石燃料は社会の持続可能性という面で限界にきている、と多くの人が感じているのではないでしょうか。そこで太陽光発電で新しいことをやってみたり、再生可能エネルギーを貯める蓄電池の研究開発を行ったりしています。これらは18年から徐々に動きだす予定です。

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 何をやるにも人材は大切です。経営者の資質として、人の実力を見抜くだけでなく、「運」を見分ける力も欠かせないと思います。例えば、人と接する態度が悪い人は運がいいとは思えないですよね。そんなふうに運が悪い雰囲気を醸し出している人とは、付き合わないようにしています。

太陽光パネルをバックに取材にこたえる沢田氏

 実は運の悪そうな人を集めて事業をやってみたこともあるんです。そうしたら僕の運が落ちた(笑)。2005年ごろ、ライブドア事件に巻き込まれた時期です(編集部注:ライブドアが企業買収に使った投資事業組合にHIS子会社が関与していたという疑念が広がりました。後に取引は適法だったことが明らかになりました。またHISが買収した証券会社でも証券取引法違反などの不祥事が相次ぎました)。あんな苦い経験はもうこりごりです。

 ただ、1人ぐらいなら運の悪い人をメンバーに入れてもいい。チームの刺激になるし、その人を助けることにもなりますから。たくさん集めすぎると危険ですね。7人も8人も運の悪い人が集まったら、組織がそっちに引っ張られて停滞します。

■組むなら「正々堂々」の企業と

 ビジネスを共にする企業は、正々堂々としているところでないとダメです。ごまかしてみたり、だましてみたり、大げさに言ってみたりする企業は信頼できません。何事もきちっとフェアにやる企業がいい。そうでない企業と組むと、たとえ一時期は儲かっても後で辛い目に遭います。

 最近、大企業で不正会計などの不祥事が相次いでいます。こうした問題が起こるのは、企業理念が社内に浸透していないからではないでしょうか。経営者が「何のためにこの会社をやっているのか」という理念をきちっと下(組織)に落としていく必要があります。会計ルールを整備し、コンプライアンス(法令順守)を繰り返し唱えるのは簡単です。でも組織が守らなかったら、やっていないのと同じです。むしろ「人をだますとか、嘘の報告をしたりするといった行為は絶対やってはいけない」と、組織に一本筋を通す方が不祥事が起こりにくくなると思います。

 トップが嘘をつけば、組織の底辺まで嘘をつくようになります。上の人間がルールを破れば、組織は腐ります。企業のありようを決めるのは人であり、さらに言えば上に立つ者の人間性です。だから挑戦していい結果を出そうと思うなら、運を持つ人を選んでいかなければならないのです。

 1951年大阪府生まれ。73年、西ドイツのマインツ大学に留学。日本に戻り、毛皮製品の輸入販売などを手掛ける会社を設立。80年にインターナショナルツアーズ(現HIS)を設立し社長に。96年、スカイマークエアラインズ(現スカイマーク)を設立。2010年、ハウステンボス社長に就任。

(シニア・エディター 木ノ内敏久)