藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

和をもたずして。

ネットフリックス怪しからん、と。

「映画館ビジネスが衰退に追い込まれることを仏映画界もスピルバーグ監督も快く思っていない」と分析。
反発ムードが広がれば、実力制作者らによるコンテンツづくりでの協力も得にくくなる。

ネットフリックスの「包囲網」を形づくるのは映画界だけではない。
ウォルト・ディズニーは年内いっぱいで「ディズニー」ブランドの映画などのネットフリックスへの供給をとりやめる。
ディズニーは代わりに19年から自社独自の動画配信サービスを始める計画。
さらに21世紀フォックスのコンテンツ事業も買収し真っ向勝負を挑む構えだ。ネットフリックスの台頭はメディア再編のきっかけとなり、新たな競争相手が生まれようとしている。

自分は正直、競争とか争いというのが好きではない。
巷には「他者との競争」とか「勝負」こそが生きがいだ、というアントニオ猪木のような人がたまにいるが、そういう人はともかく。

けれども「競争のない状態」がいかにぬるま湯状態で、自己研鑽を鈍らせるかというのも目の当たりにしてきた。
他者と競争することなく、自分だけで自分を高める境地になるには相当の修行が必要だ。

競争を排し、むしろ既得権益を守り、「予定調和」を志すようになれば、組織は動脈硬化を起こす。
今の行政官僚は典型だと思う。
動脈硬化は致命傷になるだろう。

アメリカでは新興勢力のネットフリックスが摩擦を起こしているが、いい意味で「こうしたケンカが堂々とやれる」のがアメリカの強みだろう。
敗者はそれでも認められ、蔑まれることはない。
(フェアかどうかはともかく)表舞台で勝負して、勝ち負けがはっきりする。
日本のように、(一罰百戒のような)よく分からない行政の規制とか、業界独自のルールとか、商慣習とかで"官・民・政"が腹芸を使って「消費者不在」になるのとは真反対だと思う。

「どっちがユーザーに支持されているか、白日のもとに晒してみよう」という勝負の場を避けてばかりいては「その後の発展」が止まってしまう。
忖度でなく真っ向勝負、も日本には必要なのではないだろうか。

ネットフリックス膨張に映画界反発 カンヌ締め出し
 破竹の勢いで成長する動画配信最大手の米ネットフリックスに映画界が反発している。著名映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏が同社の作品を「アカデミー賞に適さない」とコメントしたほか、仏カンヌ国際映画祭が作品の締め出しを決めた。コンテンツ力を強みとする同社にとり映画界は作品の大事な供給元。急拡大が摩擦を生むシリコンバレー企業のジレンマに直面しはじめた。

 「米通信大手のコムキャストに英放送大手のスカイ。彼らとの協業で我々のユーザー獲得もしやすくなる」。16日の2018年1〜3月期の決算発表会見で、ネットフリックスのリード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)は既存メディア業界と進めている提携を誇らしげに説明した。

 ケーブルテレビ最大手のコムキャストは、テレビ視聴者を奪うネットフリックスとは利害が対立する関係だった。それでも今回、コムキャストは番組パッケージにネットフリックスを導入すると決めた。いまやケーブル視聴者をつなぎ留めるにはネットフリックスに頼らざるを得ない状況にある。

 それほどに今のネットフリックスは勢いがある。この日発表した決算では純利益は63%増の2億9012万ドル(約300億円)。3月末の米会員は17年12月末から約200万人増え、昨年10月に米国で主力プランの月額料金を1割引き上げた影響はほとんど見られない。海外も546万人増となり、グローバルの会員数は1億2500万人にのぼる。

 シリコンバレーを代表する急成長企業となったネットフリックスだが、思わぬ難題が見えてきた。映画界の重鎮たちが同社を公然と批判し始めたのだ。

 「いい作品だがしょせんは(テレビドラマの)エミー賞レベルだ」。3月下旬、「ET」などの作品で知られるスピルバーグ監督が英メディアの取材の中でネットフリックスの独自作品を批判した。今年のアカデミー賞でドキュメンタリー部門賞を獲得した作品についての発言だ。

 反発は米国外でも広がる。

 「カンヌ映画祭に参加できずに残念だ」。16日、ネットフリックスは投資家向けのレターの中でこうコメントした。5月に開催されるカンヌ映画祭の運営組織が今年から出品基準を「映画館で上映後、3年間はネットで配信しない」とする内容に変更。映画館とネットでの同日配信をビジネスモデルとしてきたネットフリックスを事実上締め出した。

 アカデミーやカンヌといった著名な映画祭で賞を取ることで「コンテンツ企業」としての評価を固めてきたネットフリックスだが、映画界は複雑な思いを抱く。一部米メディアは「映画館ビジネスが衰退に追い込まれることを仏映画界もスピルバーグ監督も快く思っていない」と分析。反発ムードが広がれば、実力制作者らによるコンテンツづくりでの協力も得にくくなる。

 ネットフリックスの「包囲網」を形づくるのは映画界だけではない。ウォルト・ディズニーは年内いっぱいで「ディズニー」ブランドの映画などのネットフリックスへの供給をとりやめる。ディズニーは代わりに19年から自社独自の動画配信サービスを始める計画。さらに21世紀フォックスのコンテンツ事業も買収し真っ向勝負を挑む構えだ。ネットフリックスの台頭はメディア再編のきっかけとなり、新たな競争相手が生まれようとしている。

 米アマゾン・ドット・コムと書店、配車大手のウーバーテクノロジーズとタクシー業界など、「ディスラプター(創造的破壊者)」と既存の産業界による摩擦はつきものだ。世界展開を進めれば、各国の産業やそれを保護しようとする政府の思惑も絡む。ヘイスティングスCEOは「ライバルとの競争はコンテンツが左右する」と言うが、その道のりは容易に見えて実は険しい。

シリコンバレー支局=中西豊紀)