*[ウェブ進化論]その次にあるもの。
結局1990年ごろから始まったネットの時代は「スピードの勝負の時代」だったと思う。
どんどん通信速度が速くなり、それにつれてどんどん「送るものの量」も増えてきた。
今やロードショウの絵以外映画1本分くらいは軽くストリーミングできるくらいになっている。
しかしさて、まだもう少し「スピード勝負」は続きそうだ。
おそらく、「あらゆるコンテンツやセンサーの情報がリアルタイムに届く」ようになれば、ようやく「通信速度の競争」は無くなるだろう。
つまりそれが「5Gの世界」の可能性は高いと思う。
「量」や「質」や「速さ」が満たされて、ようやく自分達は次のことを考え始める。
今の100倍くらいの速度があってこそ、さらに次のことを追求するのが現代の習わしなのかもしれない。
「もっと速く」の先にあるものをそろそろ想像しておきたいと思う。
沸騰する5G、あらゆる産業に革新
2019年3月20日 21:30
従来の100倍の実効速度、10倍の精度で通信できる次世代通信規格「5G」の商用化が2019年から世界で始まる。その影響は携帯電話市場にとどまらず、製造業、医療などあらゆる産業を再定義することになりそうだ。5Gがもたらす果実を得ようと、世界中の企業がその動きを加速し始めている。
5キロメートル先の患者に遠隔操作で手術
スペイン・バルセロナで開催された世界最大の携帯関連見本市「MWC19」には多数の企業が出展した。
19年中には世界で続々と5G商用サービスが始まる見込みだ。携帯電話の業界団体GSMアソシエーション(GSMA)によると、一部地域で既に5Gの商用化が始まった米国、韓国に加え、19年にはチェコ共和国やフィンランド、サウジアラビア、スイス、オーストラリア、カタール、スペイン、ポルトガル、香港、英国などでも5Gの商用サービスが始まる見込み。25年の5G普及率は世界で15%、韓国では約6割、米国や日本では約5割に達する見通しだ。
ドコモは18年から5Gの協業を始め、現在は約2300の企業や自治体が参画している。今月8日の展示会では5G商用化時に有望なサービスを50以上用意した。
パナソニックと共同開発したサービスではスポーツの試合会場で撮影した複数の動画を遠隔地の利用者がスマホ上で好きなアングルから視聴できる。NECと共同開発した「スマート街路灯」は内蔵カメラを使って年齢層や男女を判別する。
普及のペース加速も収益化は道半ば
5Gを使えば複数人でVR空間でゲームを楽しめる
5Gによって技術的に難しかったサービスの現実味が高まり、提供しようとする企業が続々と市場に参入してくる。それが多くの消費者の関心を5Gが集めることで、普及のペースが加速する、という構図だ。
質的・量的変革をもたらす5Gは、携帯電話事業者にビジネスモデルの変革を突きつける。ただ、遠隔医療やスマート工場、自動運転など新たなビジネスの種をどのように収益に結びつけるのかについて、世界の多くの企業はまだ模索を続けている。
当面、世界の携帯電話事業者は現在のスマホの延長上のビジネスからスタートするだろう。動画や仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などのコンテンツ配信などだ。その後、徐々に5Gのカバーエリアを広げていくなかで、企業向けの用途を拡大し、スマホを超えた新たな収益源に注力していくと見られる。
誰が最初に5Gという新たな果実をもぎ取れるのか。世界的な競争がいま始まろうとしている。(堀越功)