藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

技術と対等に付き合う時代に。

定年延長を声高に唱えつつも、日本の働き手は減ってゆく。
特にIT人材はとても足りないということらしい。

ただ、一方では人材不足を解消する「起爆剤」としての新テクノロジーの採用という考え方があり、クラウドAPIの中にもそこで役立ちそうなものもすでに出て来ています。

もうすでに、多くの企業の主戦場は「ネット市場」に巻き込まれている。
そのIT(EC)市場では、売り子はおらず、データー分析者が控えている時代だ。

つまり「営業を企画する人」と「データを扱う人」が同居する時代になっている。

ITはいよいよ営業ツールそのものになってしまった。

つまりようやく「IT」が事業の焦点になる時代なのだろう。
この先に「さらなるIT」というデータ分析社会が来るという予想もある。

「人に、必要なモノやサービスを提供する」という基本路線において、どこまでITを使いこなすか。
それでいて、人の仕事をどこまで自動化できるか。
これからはテクノロジーとの共生社会になるのだろう。

 IoTやAIといった新たなテクノロジーが注目され、多くの企業がその波に乗り遅れまいと取り組みを開始しているが、人材不足をはじめとする課題も山積している。大学院 国際マネジメント研究科 教授の井田昌之氏がその現状を捉えつつ、変化の時代を日本企業はいかにして生き残っていくことができるか説いた。●情シスではなく、事業部門がテクノロジーを扱う時代

青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 教授の井田昌之氏は、1993年と2002年の2期にわたって米国マサチューセッツ工科大学(MIT)人工知能研究所 Visiting ScientistとしてAI研究に携わり、現職ではデジタルビジネスインフラやEコマース関連分野を専門とし、ITマネジメント、グローバルIT、特論(人工知能)などを担当している研究者だ。

約40年にわたるそのキャリアを通じて常に最先端を追い続けてきた井田教授は、デジタルトランスフォーメーションが加速する今の時代をどのように捉えているのか。

IDC Enterprise Infrastructure Vision Japan 2018において、「デジタル化×グローバル化をチャンスに変える〜さまざまな動きを大きな地殻変動への予兆現象と捉える〜」と題して行われた井田教授へのインタビューの概要を以下に紹介する。

インタビュアーを務めたのは、IDC Japanエンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの鈴木康介氏である。

(鈴木氏)──現在、テクノロジーとビジネス戦略はどのように関連しあっているのでしょうか。

井田教授:端的に言えば、事業部門がテクノロジーそのものを扱っていく必要性が高まっています。従来のような情報システム部門ではなく、事業部門自身が「そのテクノロジーはどこから調達できるのか?」「そのテクノロジーは何なのか?」「自社のビジネスをそれによってどうリードするのか?」など、ITの主導権を握るようになりました。

これが、事業部門におけるビジネス戦略の変化です。これまで情システム部門が担当してきたバックオフィス機能の基盤構築とはまったく次元が異なり、「ビジネスを推進するプロフィットセンターとしての情報基盤をいかに構築するか」「誰がどうやってそのビジネスのロジックをITで組み上げるのか」「どうやってその効果を測定するのか」といったところに議論が及んでいます。

●アジアにおいて、日本はどういうプレーヤーになるか

──デジタル化とグローバル化の動向についても教えてください。

井田教授:グローバル化という動きそのものは決して新しいものではありませんが、現場レベルの動きは非常に激しさを増しています。教科書のない時代において、大学院の教員も学生も手探りしている状況です。

一方のグローバル化については、積極的な動きだけではなく、否が応でも行わなくてはならないグローバル化やグローバル協業もあります。「日本国内で人材をまかないきれなくなっている」「IT基盤はすでにグローバル化している」というのがその理由です。

また、日本はアジアの中にあるという根本課題を忘れてはなりません。デジタル化にせよグローバル化にせよ、現実として中国はどんどん先を進んでおり、このままでは日本は“置いてけぼり”にされてしまう恐れがあります。

OECD経済協力開発機構)などの調査でも、中国とインドが20年後の世界のミドルクラス層の人口、すなわち消費の最も大きな層の半分を占めるようになると予測されています。アジアを単なる安価な労働力の供給源として見るのではなく、安定した高信頼の労働力の供給源、ならびに確かな市場として捉えていく必要があります。
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●人材不足の課題にテクノロジーはどう向き合うか

──現在のITの大きなトレンドである人工知能(AI)をどのように見ていますか。

井田教授:AIについては、1993年と2002年に所属していたMITでも新しいITのフロンティアを探るべく研究を進めてきました。そこからも言えるのは、AIではここ30〜40年にわたる歴史の中で、「熱い期待と失望のサイクル」が繰り返されてきたことです。

現在のAIの大きな特徴は、大脳生理学や生物学的な観点からもアプローチしている点にあります。たとえばディープラーニング(深層学習)の進化は、画像認識など従来のアルゴリズムでは困難だった処理のコンピューター化を可能としました。

また、ドイツを発信源とするIndustry 4.0の潮流が、新しいタイプのAI とIoTの融合をもたらしています。多様なテクノロジーが複合的に混ざり合う中から、これまでになかったサービスや商品を生み出そうとしています。

──とはいえ、私たちの目の前には人材不足という現実もあります。

井田教授:確かに電子決済、RPA、IoT、AI、越境EC、ビッグデータ活用、デジタルビジネスモデルの確立など、対応すべき課題は山積みで人はまったく足りていません。先述したように、事業部門がITの主導権を握り人材を確保しようとしていることも、人材不足を加速させる一因となっています。

ただ、一方では人材不足を解消する「起爆剤」としての新テクノロジーの採用という考え方があり、クラウドAPIの中にもそこで役立ちそうなものもすでに出て来ています。

●“ゆでがえる”にもリープフロッグにもなるな、すでに「前兆」は起こっている

──今後のITに向けて私たち日本企業はどのような視点を持つべきなのでしょうか。

井田教授:「地殻変動」とも言うべき大きな変化が起こる際には、たくさんの小さな前兆のような現象が伴っています。そうした個別の事象の流れが大きなうねりを生み出していくのです。

日本は生産年齢人口の減少という深刻な課題も抱えていますが、米国と中国のはざまで“ゆでがえる”にならないための取り組みが重要です。

さまざまなテクノロジーが独立して存在しているわけではなく、実は連動しあっていることを意識しなければなりません。たとえばデジタルビジネスの手前にInternet of ServiceそしてIoTがあり、そこでのスマートな処理を実現するためにAIがあります。そうしたテクノロジーの関連性の中で、変革が激しいスピードで進んでいます。

──最後に、日本企業がデジタルトランスフォーメーション時代を生き抜いていくために、提言をお願いします。

井田教授:井田教授:たとえば中国SNS最大手テンセントのクラウド上に日本企業が本気でサービスを構築し、運営していくというような大胆さがあれば、時代は大きく変わるでしょう。

三菱UFJフィナンシャル・グループのFinTech子会社であるジャパン・デジタル・デザイン(JDD)が先日テンセントと提携し、微信ウィーチャット)内で動画投稿のサービスを始めると発表しました。

訪日中国人がアップする動画を分析することで、彼らの潜在需要を見極め、リピーター獲得に向けたさまざまなサービスを開発したり、日本の地方を活性化したりすることを目的とするものです。こうした施策がどんな変化をもたらしていくのか、他の日本企業もしっかり注目する必要があります。

テクノロジーの変化は、表面上の方針転換や模索がピボットとして見えていることが多いのですが、着実な市場対応としての施策が実は本質的な変化を捉えていることがよくあります。

リープフロッグになるな、つまり、大きなジャンプをしてもしばらくしたら元に戻るだけでは何をやったかわからなくなるのではダメ、大きな飛躍にかけるなら一緒に大きく挑戦して一段も二段も上がることが重要だし、そうでないとおいてけぼりでゆでがえるになる、というわけです。どっちもまずいですね、日本が前進しなくなる。